メカニカル・ガールズ・ファンタジー ~アーマード・コンフリクト~

藤谷葵

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第39話:検証

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 ゴキブリ退治をして胴上げ。みんな騒いで疲れ切った後に、冷静になり考える。

「これってロボットなんですかね?」

 梓ちゃんが不思議そうに聞いてくる。それに真夕ちゃんが答える。

「梓さん、索敵レーダーに映ったんですよね? 索敵レーダーに映るのは敵だけです」

 そこに恭子ちゃんが口を挟む。

「この世界の魔物ってことはないのか?」

 あたしは魔物を想像してみる。例えばスライムとかが沢山いるように、こんなゴキブリもどきも沢山いるのを想像して、背筋がぞわっとした。
 そんなことを考えていたら、真夕ちゃんが否定をした。

「異世界知識では、索敵レーダーに映るのは敵のみとなっており、魔物は保護の対象になっています」
「魔物を保護? なんでや?」
「この世界の人達の生活に必要だからです。素材を採集したり、食材に使ったり、それらを行う仕事をしてお金を稼いだり」

 あたしはゴキブリ型ロボットに視線を向ける。これが魔物だったら保護しなきゃいけないとか気持ち悪いが、倒せと言われても気持ち悪い。
 あたしはその心境を吐露した。

「ねえ、今後もゴキブリが出てくるかもしれないってことだよね? その場合どうするの?」

 全員が「はっ!」と気づいたように、あたしの方に視線を向けた。

「……検証……しておいて、これがロボットと認識しておいた方が戦いやすいでしょうか?」
「どうやって検証なさるんですか?」
「えっと、じゃあ花鈴さん。剣でゴキブリの脚でも斬ってみて下さい」
「ええ~! やだよ! 剣になんかぬめぬめとした液とかつきそうじゃん! それなら綾乃ちゃんか恭子ちゃんのマジックソードで斬る方がいいじゃん! 物理ではなく魔法だから変な液とかつかないでしょ?」

 そう言い二人の方を見ると、二人ともたじろいでいる。

「「……いや、あの、その……」」

 二人でハモリつつ、言い訳を考えているようだ。あたしは言い訳を考えつく前に、逃げ場を封鎖することにした。

「じゃあ二人でじゃんけんして、負けた方がゴキブリの脚を斬るのね」

 すると二人は視線を合わせて火花を散らした。同志だったものが敵対した瞬間である。

「「じゃ~んけ~ん、ぽん!」」

 負けたのは恭子ちゃんであった。絵面的には女子高校生が嫌がる女子小学生に、無理やりゴキブリを触らせようとしているように見えるのは、気のせいだろう。

「うりゃー!」

 恭子ちゃんは、泣きながらマジックソードでゴキブリの脚を切り裂いた。斬ったところから緑色の液体がドロッと出てきて、恭子ちゃんは高速で後退った。
 とりあえず液体が飛ばないことを確認した後、みんなで恐る恐る切断面を覗いてみる。外殻部分は確かに金属パーツでできている。

「ねえねえ、ロボットみたいだけど、この緑色の液体は何? 冷却オイルじゃないよね?」
「えっと……違いますね。どうやら私たちに対抗すべく兵器として試作されたのかもしれません」
「どういうことや?」

 脳筋の佳那子ちゃんが質問をする。まあ脳筋じゃない私でも分からないけど……。

「つまり敵は私たちの『苦手な物』を調べて、ロボットを製造しているのかもしれないということですね」
「そんなことまで敵は分かっちゃうの?」
「いえ、これは推測ですよ」
「……あ、あの……敵のロボットが昆虫型って、もしかしてそのロボットのモデルの魔物が、実在するということでしょうか?」
「「「!?」」」

 梓ちゃんが言葉にできないような、驚くべきことを言い出した。もしそれが本当ならば、ごきぶりの魔物がいると……。
 それを悟った全員が青ざめた。空気を変えようと試みたのか、真夕ちゃんが口を開いた。

「と、とりあえず検証を続けましょう。今後のゴキブリ型ロボット対策として」

 空気は変わらず、むしろ余計に気が重くなりつつ、みんなで検証を行った。

「ふぅ~」

 やっとゴキブリ型ロボットの検証が終わった。攻撃力も防御力も大したことなく、機能が嫌がらせ特化ということが分かった。どうやらこれは、あたしたちメカ少女に対する試作機らしいという結論になった。

「みなさん、今後は怯えたり、恐怖したりしてみせないで下さいね。敵がどのようにこちらの状況を把握しているのかは分かりませんが、こちらが怯んだら、これを大量に製造されると、心に刻んでおいてください。そんな状況いやでしょ?」
「「「は……はい」」」

 みんな声が力なく返事をする。今後これに出くわしても、悲鳴を上げても逃げてもいけない。もしもこれを破ってしまい逃げたりしたものなら、大量に生産されるであろう。頭の中に、気持ち悪い光景が浮かぶ。
 そんな光景を、頭をブンブンと振り、かき消す。

「よし! とにかく進もう! いつまでもここに居ると、ビビっているように見られちゃうかもしれないしね」
「そ、そうですわね」

 あたしと綾乃ちゃんに続いて他の人も無言で頷く。コメントすることすら、既に疲れている様子である。こんなことで平気なのか?
 堂々と胸を張っているが、実のところ内心、びくびくしつつ歩いていく。恐らく他の人もそうだろうと、チラッと横目で確認してしまう。

 しばらく歩くが敵の気配はない。
 日も暮れつつあるので、野営にすることにした。
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