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第2章
第50話:闇妖精からの報告
「あんた、物騒なものを持ってるわね……」
翌日の朝、着替えをしていると、メイちゃんがダガーを見つめて呟いた。私は理由を話す。
「あ、うん、なんか噂で盗賊が貴族のお屋敷を襲っているって聞いたから、護身用に必要かなって思って……」
「……ふうん……領主様の暗殺を企んでいると誤解されないといいわね」
その言葉を聞いて、私は硬直した。そこまで考えていなかった。いや、暗殺をする気はないが、貴族を襲っている者がいるという話が出たら、武器を持って屋敷内にいる人間は、怪しまれてもおかしくはない。とりあえず、スカートで隠れるようにする。
「まあ、あんたのことだから、そんなことはしないでしょう。他の人には黙っててあげるわよ」
「ありがとう!」
心の中で感激した。やっぱりメイちゃんは優しさがある。ツンツンしたところもあるけれど。それがまたいいかもしれない。新しい扉を開きそうだ。
いつものように、使用人棟を掃除していると、闇妖精が戻ってきた。他の人には見えないと分かっているが、見れる人もいるのかではないかと、内心びくびくしている。
闇妖精が耳元で囁く。
『ルーバン伯爵ですが、自分の食い扶持を増やすために、スラム街の住人を殺そうとしたみたいです……』
「え!? どうやって!?」
思わず口にした言葉を、メイちゃんが訝し気に尋ねてくる。
「……あんた……何独り言を話しているの? 頭大丈夫? 本当に領主様を襲ったりしないでしょうね……」
私は慌てて首を横に振る。
「い、いや、そんなことはしないよ。ただ、ぼーっと考え事をしていたら、つい口に出ちゃっただけ」
「あっそ……」
メイちゃんはジト目で私を見た後、視線を戻して仕事を再開した。私は内心でほっとしつつ、闇妖精の報告をさらに聞く。
『アンガス街の川の上流に、猛毒の石を放り込んだらしいです。主にスラム街の住人の飲み水ですから、それでスラム街の住民を殺そうとしたらしいです』
(あれか! あの猛毒の石がそうだったのか! そういえば、馬車の轍もあそこまであった。ルーバン伯爵の指示で、使いの者がやったのであろう。いや、使いの者ではなく、ルーバン伯爵自身かもしれない。人にばれるとまずそうな案件。いや、事件というべきか)
私はまた口からこぼれそうになった言葉を、手で塞いで、メイちゃんの方をちらりと横目で見る。どうやら、今度は気づかれていないようだ。
そうなると、どうなのだろう? 貴族の屋敷を襲撃する事件も、ルーバン伯爵なのだろうか? 視線で闇妖精に報告を求めるが、他に情報はなかった。
(このことは、ジェームスさんに話すべきなのだろうか? いや、でももう私が猛毒の石は回収しちゃったしな~。そもそも、ルーバン伯爵がやったという証拠もない)
私がもやもやしていると、メイちゃんの雷が落ちた。
「あんた! 手が止まっているわよ! ちゃんと仕事をしなさいよ! 私の仕事が増えるじゃないの!」
「あ、ご、ごめん」
私は、一旦その件は保留にしておいて、掃除の続きを行った。
翌日の朝、着替えをしていると、メイちゃんがダガーを見つめて呟いた。私は理由を話す。
「あ、うん、なんか噂で盗賊が貴族のお屋敷を襲っているって聞いたから、護身用に必要かなって思って……」
「……ふうん……領主様の暗殺を企んでいると誤解されないといいわね」
その言葉を聞いて、私は硬直した。そこまで考えていなかった。いや、暗殺をする気はないが、貴族を襲っている者がいるという話が出たら、武器を持って屋敷内にいる人間は、怪しまれてもおかしくはない。とりあえず、スカートで隠れるようにする。
「まあ、あんたのことだから、そんなことはしないでしょう。他の人には黙っててあげるわよ」
「ありがとう!」
心の中で感激した。やっぱりメイちゃんは優しさがある。ツンツンしたところもあるけれど。それがまたいいかもしれない。新しい扉を開きそうだ。
いつものように、使用人棟を掃除していると、闇妖精が戻ってきた。他の人には見えないと分かっているが、見れる人もいるのかではないかと、内心びくびくしている。
闇妖精が耳元で囁く。
『ルーバン伯爵ですが、自分の食い扶持を増やすために、スラム街の住人を殺そうとしたみたいです……』
「え!? どうやって!?」
思わず口にした言葉を、メイちゃんが訝し気に尋ねてくる。
「……あんた……何独り言を話しているの? 頭大丈夫? 本当に領主様を襲ったりしないでしょうね……」
私は慌てて首を横に振る。
「い、いや、そんなことはしないよ。ただ、ぼーっと考え事をしていたら、つい口に出ちゃっただけ」
「あっそ……」
メイちゃんはジト目で私を見た後、視線を戻して仕事を再開した。私は内心でほっとしつつ、闇妖精の報告をさらに聞く。
『アンガス街の川の上流に、猛毒の石を放り込んだらしいです。主にスラム街の住人の飲み水ですから、それでスラム街の住民を殺そうとしたらしいです』
(あれか! あの猛毒の石がそうだったのか! そういえば、馬車の轍もあそこまであった。ルーバン伯爵の指示で、使いの者がやったのであろう。いや、使いの者ではなく、ルーバン伯爵自身かもしれない。人にばれるとまずそうな案件。いや、事件というべきか)
私はまた口からこぼれそうになった言葉を、手で塞いで、メイちゃんの方をちらりと横目で見る。どうやら、今度は気づかれていないようだ。
そうなると、どうなのだろう? 貴族の屋敷を襲撃する事件も、ルーバン伯爵なのだろうか? 視線で闇妖精に報告を求めるが、他に情報はなかった。
(このことは、ジェームスさんに話すべきなのだろうか? いや、でももう私が猛毒の石は回収しちゃったしな~。そもそも、ルーバン伯爵がやったという証拠もない)
私がもやもやしていると、メイちゃんの雷が落ちた。
「あんた! 手が止まっているわよ! ちゃんと仕事をしなさいよ! 私の仕事が増えるじゃないの!」
「あ、ご、ごめん」
私は、一旦その件は保留にしておいて、掃除の続きを行った。
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○更新状況○
2023/2/15投稿開始
毎週水曜20時頃次回投稿の予定