異世界!? 神!? なんで!?

藤谷葵

文字の大きさ
109 / 121
第2章

第50話:闇妖精からの報告

「あんた、物騒なものを持ってるわね……」

 翌日の朝、着替えをしていると、メイちゃんがダガーを見つめて呟いた。私は理由を話す。

「あ、うん、なんか噂で盗賊が貴族のお屋敷を襲っているって聞いたから、護身用に必要かなって思って……」
「……ふうん……領主様の暗殺を企んでいると誤解されないといいわね」

 その言葉を聞いて、私は硬直した。そこまで考えていなかった。いや、暗殺をする気はないが、貴族を襲っている者がいるという話が出たら、武器を持って屋敷内にいる人間は、怪しまれてもおかしくはない。とりあえず、スカートで隠れるようにする。

「まあ、あんたのことだから、そんなことはしないでしょう。他の人には黙っててあげるわよ」
「ありがとう!」

 心の中で感激した。やっぱりメイちゃんは優しさがある。ツンツンしたところもあるけれど。それがまたいいかもしれない。新しい扉を開きそうだ。

 いつものように、使用人棟を掃除していると、闇妖精が戻ってきた。他の人には見えないと分かっているが、見れる人もいるのかではないかと、内心びくびくしている。
 闇妖精が耳元で囁く。

『ルーバン伯爵ですが、自分の食い扶持を増やすために、スラム街の住人を殺そうとしたみたいです……』
「え!? どうやって!?」

 思わず口にした言葉を、メイちゃんが訝し気に尋ねてくる。

「……あんた……何独り言を話しているの? 頭大丈夫? 本当に領主様を襲ったりしないでしょうね……」

 私は慌てて首を横に振る。

「い、いや、そんなことはしないよ。ただ、ぼーっと考え事をしていたら、つい口に出ちゃっただけ」
「あっそ……」

 メイちゃんはジト目で私を見た後、視線を戻して仕事を再開した。私は内心でほっとしつつ、闇妖精の報告をさらに聞く。

『アンガス街の川の上流に、猛毒の石を放り込んだらしいです。主にスラム街の住人の飲み水ですから、それでスラム街の住民を殺そうとしたらしいです』
(あれか! あの猛毒の石がそうだったのか! そういえば、馬車の轍もあそこまであった。ルーバン伯爵の指示で、使いの者がやったのであろう。いや、使いの者ではなく、ルーバン伯爵自身かもしれない。人にばれるとまずそうな案件。いや、事件というべきか)

 私はまた口からこぼれそうになった言葉を、手で塞いで、メイちゃんの方をちらりと横目で見る。どうやら、今度は気づかれていないようだ。

 そうなると、どうなのだろう? 貴族の屋敷を襲撃する事件も、ルーバン伯爵なのだろうか? 視線で闇妖精に報告を求めるが、他に情報はなかった。

(このことは、ジェームスさんに話すべきなのだろうか? いや、でももう私が猛毒の石は回収しちゃったしな~。そもそも、ルーバン伯爵がやったという証拠もない)

 私がもやもやしていると、メイちゃんの雷が落ちた。

「あんた! 手が止まっているわよ! ちゃんと仕事をしなさいよ! 私の仕事が増えるじゃないの!」
「あ、ご、ごめん」

 私は、一旦その件は保留にしておいて、掃除の続きを行った。
感想 2

あなたにおすすめの小説

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

転生したらスキル転生って・・・!?

ノトア
ファンタジー
世界に危機が訪れて転生することに・・・。 〜あれ?ここは何処?〜 転生した場所は森の中・・・右も左も分からない状態ですが、天然?な女神にサポートされながらも何とか生きて行きます。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 初めて書くので、誤字脱字や違和感はご了承ください。

充実した人生の送り方 ~妹よ、俺は今異世界に居ます~

中畑 道
ファンタジー
「充実した人生を送ってください。私が創造した剣と魔法の世界で」 唯一の肉親だった妹の葬儀を終えた帰り道、不慮の事故で命を落とした世良登希雄は異世界の創造神に召喚される。弟子である第一女神の願いを叶えるために。 人類未開の地、魔獣の大森林最奥地で異世界の常識や習慣、魔法やスキル、身の守り方や戦い方を学んだトキオ セラは、女神から遣わされた御供のコタローと街へ向かう。 目的は一つ。充実した人生を送ること。

転生少年は、魔道具で貧乏領地を発展させたい~アイボウと『ジョウカ魔法』で恩返し

gari@七柚カリン
ファンタジー
 男(30歳)は、仕事中に命を落とし異世界へ転生する。  捨て子となった男は男爵親子に拾われ、養子として迎えられることになった。  前世で可愛がっていた甥のような兄と、命を救ってくれた父のため、幼い弟は立ち上がる。  魔道具で、僕が領地を発展させる!  これは、家族と領地のために頑張る男(児)の物語。

猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める

遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】 猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。 そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。 まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。

元万能技術者の冒険者にして釣り人な日々

於田縫紀
ファンタジー
俺は神殿技術者だったが過労死して転生。そして冒険者となった日の夜に記憶や技能・魔法を取り戻した。しかしかつて持っていた能力や魔法の他に、釣りに必要だと神が判断した様々な技能や魔法がおまけされていた。 今世はこれらを利用してのんびり釣り、最小限に仕事をしようと思ったのだが…… (タイトルは異なりますが、カクヨム投稿中の『何でも作れる元神殿技術者の冒険者にして釣り人な日々』と同じお話です。更新が追いつくまでは毎日更新、追いついた後は隔日更新となります)

能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?

火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…? 24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?

この状況には、訳がある

兎田りん
ファンタジー
 どうしてこんなことになったのか…    ファルムファス・メロディアスは頭を抱えていた。  居なくてもいい場所に、しなくてもいい装いをしている事の居心地の悪さといったら!  俺の関係ない所でやってくれ!  ファルムファスの握りしめた拳の行方はどこに ○更新状況○ 2023/2/15投稿開始 毎週水曜20時頃次回投稿の予定