虹色の海

名無しの灰

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虹色の海

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『深海』
   そこは人がたどり着くことの無い全くの未知の世界。どうなっているのかも何が存在するのかも私には分かりえない。
   そもそも私が知っていることなんてほとんどないのだから。

『夢』
   よく沈む夢を見る。
   大体そんな時は不安や落胆、無気力状態の時に見るそうだ。
   私が感じていることはどれなんだろう。
   何も考えてない無気力状態なんだろうか。私には分からない。
   沈む夢すら見てないのかもしれない。
   夢を見てない時は熟睡出来ているともいうがそれは何も考えてないだけだ。
   だからきっとみんな沈んでるんだ。
   そんなことを考えては大切なものと呼ばれるようなことは全く考えてない。

『水族館』
   夜の水族館は暗闇である。
   当たり前のことかもしれないけどそれこそ深海に居るようだ。深海に行ったことは無いけれど。それに多分もっと深海はくらい。
   少し遠くで親子連れの楽しそうな会話が聞こえてくる。
   とても楽しそう。私には全く無縁のようなもの。何も考えてない私には。

『群れ』
   何気なく大水槽を見た。
   イワシの群れだろうか?ものすごい数のイワシが群れ大きなひとつの塊を作り上げている。
   その群れの動きは大きな波、畝り、そんなものを感じさせる。人が群れてるようなものでは無い。
    1匹じゃ何も出来ないから群れている。
   まさしく人間のようだ。
   ひとりじゃ何も出来ない。なら『何故ひとりにするの?』ひとりが好きな人間なんて居ないのに。そんなこと誰もが1番理解してるはずなのに。
  そんな欲深い人間と魚を同じように見るのは魚に失礼なのかもしれない。
   必死で生き残るために群れる。 まぁ人間もそんか感じなんだろうか。
   そんなことどうでもいいんだけどさ。

                         1人の私には。

『鮫』
   サメといえばとても強そうに見える。
   食物連鎖というものがあるがサメはそれのかなり上の方にいると思う。
   食物連鎖のように人にも格差、レベル、上下関係といったものが存在する。
   人は皆平等なんてそんなのは嘘だ。
   そんなの綺麗事だ。気持ち悪い。そもそも人が皆平等なら上下関係なんて要らないじゃないか。でもそれがなかったらきっと世界は成り立たない。そもそもそれなら弱肉強食みたいなそんな言葉は存在しないんだ。
   サメは水槽で優美に泳いでいる。
   それに魅了される人。歓喜する人。恐怖を覚える人。たくさんの感情が渦巻くだろう。
   私は何を思うのだろう。
   深海に落ちた時何を思うのだろう。
   本当に1人になった時に何を思うのだろう。
   分からない。だって多分何も考えてないから。

『価値観』
  価値観は人それぞれ。

                           だから面白い。

   何がだよ。意味がわからない。
   たくさんの感情が渦巻く。
   今日は本当に疲れる日だ。いや、毎日本当に疲れるよ。退屈で何もしないから。何もしたくないから。でもなにかしようと考えてしまうから。

   まぁ水族館に来て考えることじゃないよな。

『希望』
   たとえ絶望したとしても希望が待ってるなんて誰もが信じてしまう。
   でも幸福なんてとても小さい。その幸福にすら気づかない奴だっている。現に私はそうだった。いや、そうなんだ。
   幸福なんて気づけるものじゃない。
   とても小さいから。

   そう考えることで真っ暗な心に光が差すときがある。勿論夜の水族館のような小さく弱いそこまで明るくもない光だけど。
   それでも光が射した時とても。とても。なんだろう。分からないけど不思議な気持ちになれる。虹のように明るい色があれば暗い色も存在してる。
   水族館の水槽に光が当たり水が虹色がみえる。少しだけ。

   その希望が大きな海のように。光り輝く虹のようになればいいのに…

   なんて考えて一日が終わった。

『おわり』
   何を伝えたいなんてこの物語(?)文章には何も無い。何か伝わったならそれだけの話。
   それから何かが起きるわけじゃない。
   起きたならきっとそれは自分が頑張ったから。サボったから。飽きたから。死にたくなったから。疲れたから。楽しんだから。一生懸命になったから。生きてたから。
   本当に疲れるよ。この人生は。でもだから面白いって言われるんだろうね。
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