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地図アプリ
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熱い夏だ。連日気温が35℃以上の真夏日を連日記録していた。コウジもこの暑さに嫌気が差していた。テレビのニュースでもアナウンサーがこの暑さと異常気象のことをエアコンが恐らくガンガンに効いている涼しい部屋から淡々と読み上げている。
「温室効果ガスの増加に伴う長期的な温暖化傾向に加え、チベット高気圧と太平洋高気圧が日本上空で二重に重なる『背の高い高気圧』が形成されたことが、近年の異常な暑さの直接的な要因となっています…」
「これによりここ数年アメリカ北西部やアルゼンチンでの穀倉地帯では大規模な不作が連年発生しており…食糧問題は日本へも大きな影響が…政府は…」
プツン!とコウジはリモコンでテレビを消した。
こんな暑くて暇な時はと頭の中で考えるよりも身体が先に動いていた。コウジはテーブルの上にあるスマートフォンを取り出し、「地図アプリ」を開いた。
このアプリは世界的に有名なIT企業が手掛けた地図アプリだ。
これがあれば美味しいご飯を提供しているお店やコンビニやスーパーそれにATMの場所も検索すればすぐに場所が分かる。
彼女とのデートスポット探しや迷ったときも便利。とまさに至れり尽くせりの今の生活には必須アイテムとなったアプリだ。
コウジ自身も日本の中小IT企業に勤めている。その若手社員だがこのアプリの凄さやそれを運営している企業には同業者として頭が上がらない。
そして、コウジにはこのアプリが使った機能でとある趣味にハマっていた。
「ストリートビュー探索」だ。
このアプリにはストリートビューという機能がある。この機能を使えば地図で選択した場所を実際にそこにいるかのように探索できる機能だ。これがとてもおもしろい物で日本や世界的に有名な名所、昔行ったことある場所に子供の頃に過ごした思い出の場所なんかあっとい間に選択しその場所を見ることができるのだ。
まるで世界旅行をしているかのようだった。
そんなことをここ最近コウジは趣味レベルで暇があれば「地図アプリ」を開き、遊んでいた。
「そいえば…オレが住んでるアパートって…昔どんな感じだったのかなぁ…」
突然の思い付きだった。
この「ストリートビュー機能」は5年前や3年前など昔その場所の風景を探索することができるのだ。このアプリのサービスが始まってからの現在までの期間だけではあるが、10年以上続いてるサービスだ。
場所によっては10年前の風景を見ることもでき、まるでタイムマシンのような機能とも言える物がこのアプリには搭載されているのだ。
「ええーと…俺の家の住所を打ち込んでっと…」
コウジは慣れた手付きでスマートフォンを操作し、自分の家の住所を検索し始めた。
すると、まずは最新の家の周りの状況がスマートフォンに写し出され、即座に5年前の風景を映し出すよう画面を操作し始めた。
すると、スマートフォンの画面には5年前のコウジの家の周りの風景が展開された。
「へぇーこのアパート5年前は何にもなかったのかぁ」
画面には建物が建つ前の何もない更地の状態になっていた。
こんな状態から自分が今住んでいるアパートができたんだなと考えると建築というものはスゴいなと染み染み感じた。
よく見ると住んでいるアパートの近くに建っている一軒家で今でも残っている家もあり、町の小さな歴史を見るのも感じられ、この機能のスゴさを再認識していた。
「……………ん?」
コウジはあるところに目が止まった。
「1ヶ月前…?」
このアプリの機能でも珍しいつい最近の情報だった。
場所によって差はあるが最新の情報を表すところでも1年前や2年前の状態を映し出すこともある。だが、コウジの家がある場所はそれよりも遥かに最新である状態だった。
「まぁ…あれかたまたま最近ここを撮影していたんだろぉ…」
この地図アプリの風景の更新をしている作業がホントに偶然タイミングよく発生したと状況を整理した。
そうして、早速1ヶ月前の画像を開いた。
「これは……」
一ヶ月前の画像のにはアパートの前に、見たこともない「黒いワンボックスカー」が止まっている状態が映し出された。
ピコン、という通知音がスマホから鳴り響いた。
すると、更新日時が2週間前のストリートビューが目の前で更新されたのだ。
「えっ……なんでこんなタイミングで………」
その風景を見ると、ネイビーのセットアップに、黒のバックパック。左手には、最近買い替えたばかりの、少し珍しいデザインのスマートウォッチ。そう正しく自分だった。そして何より目に止まるものが写っていた。
「誰だ………これ?…」
コウジと入れ替わるようにアパートに入る黒ずくめのスーツの男がいた。目元はサングラスに覆われて、口元はマスクが付けられていた。それは一人ではなく3人いた。そのグループの人間達は同じ背丈、同じ格好をしていた。少し気持ち悪い感覚になった。
さらに奇妙な感覚が背中を走った。
2週間前に自分が何をしていたかは覚えている。確かにこのアパートから外出をしていた。彼女と会うために。
だが、奇妙なのがこのストリートビューを撮影している撮影車とすれ違った記憶が無いのだ。
この黒ずくめの男達も奇妙だが、何よりもこれをどこから撮影しているのかが分からない。
「どういうことだ……?何がどうなっているんだよ……」
急に襲ってきた気味の悪さそして、何者かに狙われているかのような恐怖。それが何気ない趣味で始めた行為から始まり、コウジは茹だる暑さを感じているが、背中に一抹の冷たさが生まれていた。
ピコン
そんな得体の知れない恐怖が立て続けに襲って来てる中またスマホから通知音が鳴った
画面には『最新情報に更新しました』という一文の通知が表示された。
恐る恐るコウジは震える指で画面をタッチし、ストリートビューを最新情報に更新した。
すると、画面には黒いワンボックスカー、それに自分の部屋の窓ガラスが割れ、黒い服の男たちに拘束され、車に押し込まれる自分の姿だった。
画像の中の自分は、必死に抵抗しながら、画面の方に向かって何かを叫んでいる。その口の形は「に・げ・ろ」と動いているように見えた。
「うわぁぁぁぁ…………!!!」
恐怖のあまり叫び声が挙がった。そしてスマホを壁に投げつけた。確定した現実に抵抗するかのように、スマホの画面にはヒビが入っていた。
「なんだよこれ……なんで……」
恐怖に震え、身体の震えは止まらず、そのあまりの怖さにベッドの布団に包まり身動きが取れなくなった。
その時だった。
現実の窓の外から、聞き慣れない低く重いエンジン音が近づいてくるのが聞こえる。
コウジは恐る恐るカーテンの隙間から下を覗き込むと、そこにはストリートビューの画像と全く同じ、黒いワンボックスカーが停車するのが見えた。
──── 一週間後。
「遅いなぁ………あいつ………」
コウジの彼女であるユキは待ち合わせの駅前広場で、コウジのことを待っていた。そして外は歴史的に類を見ない猛暑。この暑さの中約束の時間になっても来ない彼氏に苛立ちを隠せなかった。
ユキはスマホを見ながら、SNSを更新しコウジが来るまでの暇つぶしをしていた。SNSには世界的な猛暑による食糧問題やそれに対し政府は施策を早急に打ち出すことなどを書き出した記事などが掲載されていたが、そんなことには見向きもせず、ただ面白い話題や動画、最新のトレンドの方に目を向けていた。
約束の時間から30分は過ぎた………。
我慢の限界だった。ユキは通話アプリを使い、コウジに電話を掛けた。
プルルルル…プルルルル…プルルルル…
中々電話に出ない。
「ホントにあいつ…こんなことするやつだと思わなかったわ…」
ガチャ
電話に出た。
「ちょっと!!コウジ!!今何時だ…」
「お掛けになったアカウントは現在使われておりません。申し訳ございませんが、もう一度アカウントのお間違いが無いかご確認の方をお願い致します。」
「温室効果ガスの増加に伴う長期的な温暖化傾向に加え、チベット高気圧と太平洋高気圧が日本上空で二重に重なる『背の高い高気圧』が形成されたことが、近年の異常な暑さの直接的な要因となっています…」
「これによりここ数年アメリカ北西部やアルゼンチンでの穀倉地帯では大規模な不作が連年発生しており…食糧問題は日本へも大きな影響が…政府は…」
プツン!とコウジはリモコンでテレビを消した。
こんな暑くて暇な時はと頭の中で考えるよりも身体が先に動いていた。コウジはテーブルの上にあるスマートフォンを取り出し、「地図アプリ」を開いた。
このアプリは世界的に有名なIT企業が手掛けた地図アプリだ。
これがあれば美味しいご飯を提供しているお店やコンビニやスーパーそれにATMの場所も検索すればすぐに場所が分かる。
彼女とのデートスポット探しや迷ったときも便利。とまさに至れり尽くせりの今の生活には必須アイテムとなったアプリだ。
コウジ自身も日本の中小IT企業に勤めている。その若手社員だがこのアプリの凄さやそれを運営している企業には同業者として頭が上がらない。
そして、コウジにはこのアプリが使った機能でとある趣味にハマっていた。
「ストリートビュー探索」だ。
このアプリにはストリートビューという機能がある。この機能を使えば地図で選択した場所を実際にそこにいるかのように探索できる機能だ。これがとてもおもしろい物で日本や世界的に有名な名所、昔行ったことある場所に子供の頃に過ごした思い出の場所なんかあっとい間に選択しその場所を見ることができるのだ。
まるで世界旅行をしているかのようだった。
そんなことをここ最近コウジは趣味レベルで暇があれば「地図アプリ」を開き、遊んでいた。
「そいえば…オレが住んでるアパートって…昔どんな感じだったのかなぁ…」
突然の思い付きだった。
この「ストリートビュー機能」は5年前や3年前など昔その場所の風景を探索することができるのだ。このアプリのサービスが始まってからの現在までの期間だけではあるが、10年以上続いてるサービスだ。
場所によっては10年前の風景を見ることもでき、まるでタイムマシンのような機能とも言える物がこのアプリには搭載されているのだ。
「ええーと…俺の家の住所を打ち込んでっと…」
コウジは慣れた手付きでスマートフォンを操作し、自分の家の住所を検索し始めた。
すると、まずは最新の家の周りの状況がスマートフォンに写し出され、即座に5年前の風景を映し出すよう画面を操作し始めた。
すると、スマートフォンの画面には5年前のコウジの家の周りの風景が展開された。
「へぇーこのアパート5年前は何にもなかったのかぁ」
画面には建物が建つ前の何もない更地の状態になっていた。
こんな状態から自分が今住んでいるアパートができたんだなと考えると建築というものはスゴいなと染み染み感じた。
よく見ると住んでいるアパートの近くに建っている一軒家で今でも残っている家もあり、町の小さな歴史を見るのも感じられ、この機能のスゴさを再認識していた。
「……………ん?」
コウジはあるところに目が止まった。
「1ヶ月前…?」
このアプリの機能でも珍しいつい最近の情報だった。
場所によって差はあるが最新の情報を表すところでも1年前や2年前の状態を映し出すこともある。だが、コウジの家がある場所はそれよりも遥かに最新である状態だった。
「まぁ…あれかたまたま最近ここを撮影していたんだろぉ…」
この地図アプリの風景の更新をしている作業がホントに偶然タイミングよく発生したと状況を整理した。
そうして、早速1ヶ月前の画像を開いた。
「これは……」
一ヶ月前の画像のにはアパートの前に、見たこともない「黒いワンボックスカー」が止まっている状態が映し出された。
ピコン、という通知音がスマホから鳴り響いた。
すると、更新日時が2週間前のストリートビューが目の前で更新されたのだ。
「えっ……なんでこんなタイミングで………」
その風景を見ると、ネイビーのセットアップに、黒のバックパック。左手には、最近買い替えたばかりの、少し珍しいデザインのスマートウォッチ。そう正しく自分だった。そして何より目に止まるものが写っていた。
「誰だ………これ?…」
コウジと入れ替わるようにアパートに入る黒ずくめのスーツの男がいた。目元はサングラスに覆われて、口元はマスクが付けられていた。それは一人ではなく3人いた。そのグループの人間達は同じ背丈、同じ格好をしていた。少し気持ち悪い感覚になった。
さらに奇妙な感覚が背中を走った。
2週間前に自分が何をしていたかは覚えている。確かにこのアパートから外出をしていた。彼女と会うために。
だが、奇妙なのがこのストリートビューを撮影している撮影車とすれ違った記憶が無いのだ。
この黒ずくめの男達も奇妙だが、何よりもこれをどこから撮影しているのかが分からない。
「どういうことだ……?何がどうなっているんだよ……」
急に襲ってきた気味の悪さそして、何者かに狙われているかのような恐怖。それが何気ない趣味で始めた行為から始まり、コウジは茹だる暑さを感じているが、背中に一抹の冷たさが生まれていた。
ピコン
そんな得体の知れない恐怖が立て続けに襲って来てる中またスマホから通知音が鳴った
画面には『最新情報に更新しました』という一文の通知が表示された。
恐る恐るコウジは震える指で画面をタッチし、ストリートビューを最新情報に更新した。
すると、画面には黒いワンボックスカー、それに自分の部屋の窓ガラスが割れ、黒い服の男たちに拘束され、車に押し込まれる自分の姿だった。
画像の中の自分は、必死に抵抗しながら、画面の方に向かって何かを叫んでいる。その口の形は「に・げ・ろ」と動いているように見えた。
「うわぁぁぁぁ…………!!!」
恐怖のあまり叫び声が挙がった。そしてスマホを壁に投げつけた。確定した現実に抵抗するかのように、スマホの画面にはヒビが入っていた。
「なんだよこれ……なんで……」
恐怖に震え、身体の震えは止まらず、そのあまりの怖さにベッドの布団に包まり身動きが取れなくなった。
その時だった。
現実の窓の外から、聞き慣れない低く重いエンジン音が近づいてくるのが聞こえる。
コウジは恐る恐るカーテンの隙間から下を覗き込むと、そこにはストリートビューの画像と全く同じ、黒いワンボックスカーが停車するのが見えた。
──── 一週間後。
「遅いなぁ………あいつ………」
コウジの彼女であるユキは待ち合わせの駅前広場で、コウジのことを待っていた。そして外は歴史的に類を見ない猛暑。この暑さの中約束の時間になっても来ない彼氏に苛立ちを隠せなかった。
ユキはスマホを見ながら、SNSを更新しコウジが来るまでの暇つぶしをしていた。SNSには世界的な猛暑による食糧問題やそれに対し政府は施策を早急に打ち出すことなどを書き出した記事などが掲載されていたが、そんなことには見向きもせず、ただ面白い話題や動画、最新のトレンドの方に目を向けていた。
約束の時間から30分は過ぎた………。
我慢の限界だった。ユキは通話アプリを使い、コウジに電話を掛けた。
プルルルル…プルルルル…プルルルル…
中々電話に出ない。
「ホントにあいつ…こんなことするやつだと思わなかったわ…」
ガチャ
電話に出た。
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