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依頼3
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悲鳴を聞いて、モグラ達は近くの茂みに隠れながら様子を見ていた。どうやら馬車を集団で襲っているようだが、様子がおかしい。
「モグ君・・・あの馬車・・・」
「ああ、王家の紋章だな。」
馬車の凝った金の装飾、竜と剣の紋章はこの大陸を統べる王家の紋章。一度王に謁見した時に背後に掛かる旗を見たことを思い出す。
「戦っている男・・・名前はなんと言ったか。謁見の時よりも大分老けたようだ。」
「10年経ってるからね。て言うか、人のこと言えないと思うんだけど・・・。」
「角のことか、これは・・・。」
頭に生えている角の先端をツンツンと触ると、セレンはハァとため息をつく。天然もここまで来ると見事な物だなと思いながら、さっきの告白も好意というものでは無いだろうと思い2度ため息をついた。
「そんなことよりどうするの?助ける?」
「フム、ここは茂み。向こうは気付いていない。ならば、奇襲という形が良いが・・・セレン、頼みがある。」
「はい、何でしょうか。」
「攻撃魔法は使えるか?」
魔法。攻撃魔法、防御魔法、支援魔法、回復魔法。分類によってはいろいろあるが、この世界では一般的に攻撃魔法系統は黒魔法、防御系や回復系は白魔法と呼ばれている。ただ、勇者や聖女のように固定ジョブをもつものは、特化型の魔法しか使用できない・・・と言うのがあるが、それを可能にする媒体が存在する。魔導書である。魔導書があればマナの操作や知識、それを統合する技術があれば老若男女問わず魔法を使用することが出来る。実際に多くの冒険者や行商人は野宿の際、これを使用して旅をしている。ただ、魔導書の中でも危険な物は魔道士ギルドによって管理されている。
セレンは腰にぶら下げた小さい魔導書の中で三つを手に取るとモグラに見せる。
「ファイアボール、ウインドカッター、サンダーボール・・・使うならサンダーボールがいいかな。」
「よし、では・・・それでいこう。」
「でもモグ君一人でも大丈夫なんじゃ。」
「それは駄目だな。全員殺すのは1秒で足りるが、後に迎える結末は恐らく牢屋だろう。先日の襲撃の件で騎士団から目を付けられているのだ。それは避けたい。」
「そっか。」
「戦略的にも良くない。向こうはこちらに気付いていない。今回、重要なのは派手に出ていって向こうの危険を減らし、且つ同時攻撃をして馬車を護ることにある。馬車の周囲に敵が居て且つ森の中で狙いを定めている弓使いがいる状態では見落としてしまう可能性がある。ここに来る道中何人かやったが、まだ居るようだ。盗賊の格好をしているが・・・剣を見ろ。」
「?」
そう言われ、セレンは目を凝らす。よく見ると手前で戦っている剣士と他の者が使っている剣は同様の細工が施されている。竜と盾の紋章・・・。
「これって!」
「そうだ。あれは騎士だ。つまり・・・。」
「革命軍。」
「或いは、他の軍閥の者が馬車に乗っているものを狙っている可能性すらある。前者の場合なら散って逃げるが、後者の場合いは最後の一人になっても殺しに掛かるだろう。確か現在の王位継承者は4名・・・時期を考えるに他の3名に所属する騎士と考えるのが妥当だろうな。」
「モグ君・・・。」
「セレン・・・すまない。俺は見捨てることが出来ない。政治だろうと何だろうと、今ここに在る正義は俺には歪んだ物に見える。戦争なら捨て置く。だが、これはただの殺人として片付けられる事案だ。やったのはシルドの街の誰かになった時、きっと俺は正気を保つことは出来ないだろう、ならば。」
モグラは立ち上がった。
「今ここに在る正義を正す。この世に善悪が存在するならば目の前で広がるこの景色は俺にとってはただの悪だ。勧善懲悪。悪を討たん!!」
そう言うと冬月を握りしめ、茂みから出る。セレンは別の場所に移動すると魔導書を両手で握りしめ、神様に祈った。
「モグ君・・・あの馬車・・・」
「ああ、王家の紋章だな。」
馬車の凝った金の装飾、竜と剣の紋章はこの大陸を統べる王家の紋章。一度王に謁見した時に背後に掛かる旗を見たことを思い出す。
「戦っている男・・・名前はなんと言ったか。謁見の時よりも大分老けたようだ。」
「10年経ってるからね。て言うか、人のこと言えないと思うんだけど・・・。」
「角のことか、これは・・・。」
頭に生えている角の先端をツンツンと触ると、セレンはハァとため息をつく。天然もここまで来ると見事な物だなと思いながら、さっきの告白も好意というものでは無いだろうと思い2度ため息をついた。
「そんなことよりどうするの?助ける?」
「フム、ここは茂み。向こうは気付いていない。ならば、奇襲という形が良いが・・・セレン、頼みがある。」
「はい、何でしょうか。」
「攻撃魔法は使えるか?」
魔法。攻撃魔法、防御魔法、支援魔法、回復魔法。分類によってはいろいろあるが、この世界では一般的に攻撃魔法系統は黒魔法、防御系や回復系は白魔法と呼ばれている。ただ、勇者や聖女のように固定ジョブをもつものは、特化型の魔法しか使用できない・・・と言うのがあるが、それを可能にする媒体が存在する。魔導書である。魔導書があればマナの操作や知識、それを統合する技術があれば老若男女問わず魔法を使用することが出来る。実際に多くの冒険者や行商人は野宿の際、これを使用して旅をしている。ただ、魔導書の中でも危険な物は魔道士ギルドによって管理されている。
セレンは腰にぶら下げた小さい魔導書の中で三つを手に取るとモグラに見せる。
「ファイアボール、ウインドカッター、サンダーボール・・・使うならサンダーボールがいいかな。」
「よし、では・・・それでいこう。」
「でもモグ君一人でも大丈夫なんじゃ。」
「それは駄目だな。全員殺すのは1秒で足りるが、後に迎える結末は恐らく牢屋だろう。先日の襲撃の件で騎士団から目を付けられているのだ。それは避けたい。」
「そっか。」
「戦略的にも良くない。向こうはこちらに気付いていない。今回、重要なのは派手に出ていって向こうの危険を減らし、且つ同時攻撃をして馬車を護ることにある。馬車の周囲に敵が居て且つ森の中で狙いを定めている弓使いがいる状態では見落としてしまう可能性がある。ここに来る道中何人かやったが、まだ居るようだ。盗賊の格好をしているが・・・剣を見ろ。」
「?」
そう言われ、セレンは目を凝らす。よく見ると手前で戦っている剣士と他の者が使っている剣は同様の細工が施されている。竜と盾の紋章・・・。
「これって!」
「そうだ。あれは騎士だ。つまり・・・。」
「革命軍。」
「或いは、他の軍閥の者が馬車に乗っているものを狙っている可能性すらある。前者の場合なら散って逃げるが、後者の場合いは最後の一人になっても殺しに掛かるだろう。確か現在の王位継承者は4名・・・時期を考えるに他の3名に所属する騎士と考えるのが妥当だろうな。」
「モグ君・・・。」
「セレン・・・すまない。俺は見捨てることが出来ない。政治だろうと何だろうと、今ここに在る正義は俺には歪んだ物に見える。戦争なら捨て置く。だが、これはただの殺人として片付けられる事案だ。やったのはシルドの街の誰かになった時、きっと俺は正気を保つことは出来ないだろう、ならば。」
モグラは立ち上がった。
「今ここに在る正義を正す。この世に善悪が存在するならば目の前で広がるこの景色は俺にとってはただの悪だ。勧善懲悪。悪を討たん!!」
そう言うと冬月を握りしめ、茂みから出る。セレンは別の場所に移動すると魔導書を両手で握りしめ、神様に祈った。
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