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風雲は急を告げている5
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ファイはセレンを神殿に送り届けるとギルドに足を運んでいた。22の鐘が鳴ったというのに、ギルドには煌々と明かりがついている。ふむ、やはり何かあったかと玄関の扉を開ける。すると一人の女性職員、ライラは一人資料を積み上げてカウンターで頭を抱えていた。ファイが声を掛けるとライラは手を強く握ってきた。
「ギルドチョ~・・・アタジどうしたらいいのかわからなくって~。」
「どうしたんですか・・・まずは鼻をチーンしなさい。」
そう言って白いハンカチを手渡すと、それを奪い取り盛大に鼻をかむ。確か、高級なものだったのだが、やれやれしょうがないと首を振る。ライラは子供だ。分けあって9歳の時に仕事をはじめ、現在では13歳・・・本人には神殿に助けを求めるように言ったのだが、自分の力で何とかしたいとのことだったので、ここで冒険者ではなく事務員の仕事をさせつつ、彼女の母親の面倒をギルドぐるみで面倒を見ている。今は少し成長し、女性にとって特徴的な部分が出てきているのだが、こういうところは子供だなとファイは思う。ちなみに裏でおじさまと呼ばせていることは秘密だ。
「うへぇー、ありがとごじゃいます。」
「やれやれ、でどうしたんですか?この時間は絶対に家に帰るように言っているはずですが・・・何かありましたか。」
カウンターの席を見ればわかる。彼女は一人で何とかしようと思ったのだろう。資料の山の中には彼女が書き取った紙が置かれている。ファイは良くやりましたと頭を撫でるとえへへと笑い嬉しそうに笑い、この笑顔の為に生きていると強くこぶしを握る。・・・念のために説明するとファイは子供好きと言うだけで決して少女趣味ではない。
その資料をザっと見る。内容は妖精族の里の本が多い。
「もしかして妖精族の誰かが依頼を出したのではないですか?」
「うん、おじさ・・・いえ、ギルド長。これを・・・。」
それは依頼用紙の書き写しだった。内容を見て、ファイは青ざめる。依頼人は族長イフェーリカ、内容は魔物の群れの討伐。内容自体は珍しくないが、その魔物が問題だった。ビッグベアーの群れ・・・通常、ビッグベアーは群れることはない。個々の個体同士が強靭な強さを持ち、互いに縄張り意識が激しい。春になると森ではビッグベアー同士の闘争が度々起き、暫くして傷ついたところを狙い撃つと言った依頼が領主から出される。群れを作るなどファイゼンベルグも聞いたこと、見たことが無い・・・そう、ありえないのだ。
「ライラ君、これは書き写しですが、この依頼を受けた方がいるのですか?」
「はい!それで依頼書を書き写して割り印を押してもらったのですが・・・妖精族なんて会ったことが無くて・・・それにすぐに出て行ってしまいましたし、良くわからなくて・・・それで資料で情報を集めていたんですが、難しいことばかり書いてあって、それで・・・。」
こんな時間まで勉強していたとのことだった。神殿では一週間に3日ほど外部の子供を集めて勉強会を開いている。貴族と平民、孤児院の子供との軋轢を生まないように、助け合いを普段から身に着けるようにとの領主と神殿長の計らいで開催されているものであるが、その内容の中に妖精族の講義がある。ただ、講義内容は人族と妖精族との交流に関してのものが多く歴史に関してはあまり教わらない。また、妖精族と人族はほとんど見分けがつかないということもある。彼らは滅多に表に出ないため、知るものは少ないことに起因する。
妖精族の数え方は一人、神殿関係者は一柱と数える。人類とは違い、強大な魔力を保持する彼らは神に等しい存在として扱われるが、人懐っこく、また人間の食べる料理が好きでファイはたまに来る顔なじみを誘ってはガルナの宿屋で飲んでいる。・・・そんな彼らが依頼を出す。しかも依頼人は妖精族の中でも強大な存在イフェーリカ・・・ファイでさえ傅く、そんな存在が頼んできているのだ。
「・・・ライラ君。申し訳ないが、これを握って、神殿に走り、セレン君をここに連れてきてください。私は通信魔道具で頼りになる方に連絡を入れます。」
「え!」
ファイは人避け、魔物看破の貴重な魔道具を胸ポケットから出すとライラの手に握らせた。普段は送り迎えはアルカにお願いしているのだが、彼女を呼んでいる暇はない。風雲急を告げている事態。そんな中、頼りになるのはライラただ一人であった。少女は困惑しているが、ファイの真剣な表情に首を横に振り覚悟を決める。
「わかりました。行ってきます!」
「お願いします。その魔道具は報酬です。私は念のために持っていますが、頑張ってくれたら差し上げます。」
「え!この魔道具って高いんじゃ・・・。」
「大丈夫です。あなたは私にとって大切な孫娘です。さあ、頼みましたよ。」
「うん!」
スカートを翻し彼女はギルドを出て行った。
「・・・さて、船長に連絡しますか。久しぶりの出港です。・・・船長が魔力炉を壊してなければいいのですが・・・まあ、どうにかなるでしょう。私はアレを用意しなくては・・・。」
ファイはギルド長室に行くと引き出しから水晶を取りだ出して、それに向かって話し出す。
「総員出撃体制を取れ。出港準備だ。」
「ギルドチョ~・・・アタジどうしたらいいのかわからなくって~。」
「どうしたんですか・・・まずは鼻をチーンしなさい。」
そう言って白いハンカチを手渡すと、それを奪い取り盛大に鼻をかむ。確か、高級なものだったのだが、やれやれしょうがないと首を振る。ライラは子供だ。分けあって9歳の時に仕事をはじめ、現在では13歳・・・本人には神殿に助けを求めるように言ったのだが、自分の力で何とかしたいとのことだったので、ここで冒険者ではなく事務員の仕事をさせつつ、彼女の母親の面倒をギルドぐるみで面倒を見ている。今は少し成長し、女性にとって特徴的な部分が出てきているのだが、こういうところは子供だなとファイは思う。ちなみに裏でおじさまと呼ばせていることは秘密だ。
「うへぇー、ありがとごじゃいます。」
「やれやれ、でどうしたんですか?この時間は絶対に家に帰るように言っているはずですが・・・何かありましたか。」
カウンターの席を見ればわかる。彼女は一人で何とかしようと思ったのだろう。資料の山の中には彼女が書き取った紙が置かれている。ファイは良くやりましたと頭を撫でるとえへへと笑い嬉しそうに笑い、この笑顔の為に生きていると強くこぶしを握る。・・・念のために説明するとファイは子供好きと言うだけで決して少女趣味ではない。
その資料をザっと見る。内容は妖精族の里の本が多い。
「もしかして妖精族の誰かが依頼を出したのではないですか?」
「うん、おじさ・・・いえ、ギルド長。これを・・・。」
それは依頼用紙の書き写しだった。内容を見て、ファイは青ざめる。依頼人は族長イフェーリカ、内容は魔物の群れの討伐。内容自体は珍しくないが、その魔物が問題だった。ビッグベアーの群れ・・・通常、ビッグベアーは群れることはない。個々の個体同士が強靭な強さを持ち、互いに縄張り意識が激しい。春になると森ではビッグベアー同士の闘争が度々起き、暫くして傷ついたところを狙い撃つと言った依頼が領主から出される。群れを作るなどファイゼンベルグも聞いたこと、見たことが無い・・・そう、ありえないのだ。
「ライラ君、これは書き写しですが、この依頼を受けた方がいるのですか?」
「はい!それで依頼書を書き写して割り印を押してもらったのですが・・・妖精族なんて会ったことが無くて・・・それにすぐに出て行ってしまいましたし、良くわからなくて・・・それで資料で情報を集めていたんですが、難しいことばかり書いてあって、それで・・・。」
こんな時間まで勉強していたとのことだった。神殿では一週間に3日ほど外部の子供を集めて勉強会を開いている。貴族と平民、孤児院の子供との軋轢を生まないように、助け合いを普段から身に着けるようにとの領主と神殿長の計らいで開催されているものであるが、その内容の中に妖精族の講義がある。ただ、講義内容は人族と妖精族との交流に関してのものが多く歴史に関してはあまり教わらない。また、妖精族と人族はほとんど見分けがつかないということもある。彼らは滅多に表に出ないため、知るものは少ないことに起因する。
妖精族の数え方は一人、神殿関係者は一柱と数える。人類とは違い、強大な魔力を保持する彼らは神に等しい存在として扱われるが、人懐っこく、また人間の食べる料理が好きでファイはたまに来る顔なじみを誘ってはガルナの宿屋で飲んでいる。・・・そんな彼らが依頼を出す。しかも依頼人は妖精族の中でも強大な存在イフェーリカ・・・ファイでさえ傅く、そんな存在が頼んできているのだ。
「・・・ライラ君。申し訳ないが、これを握って、神殿に走り、セレン君をここに連れてきてください。私は通信魔道具で頼りになる方に連絡を入れます。」
「え!」
ファイは人避け、魔物看破の貴重な魔道具を胸ポケットから出すとライラの手に握らせた。普段は送り迎えはアルカにお願いしているのだが、彼女を呼んでいる暇はない。風雲急を告げている事態。そんな中、頼りになるのはライラただ一人であった。少女は困惑しているが、ファイの真剣な表情に首を横に振り覚悟を決める。
「わかりました。行ってきます!」
「お願いします。その魔道具は報酬です。私は念のために持っていますが、頑張ってくれたら差し上げます。」
「え!この魔道具って高いんじゃ・・・。」
「大丈夫です。あなたは私にとって大切な孫娘です。さあ、頼みましたよ。」
「うん!」
スカートを翻し彼女はギルドを出て行った。
「・・・さて、船長に連絡しますか。久しぶりの出港です。・・・船長が魔力炉を壊してなければいいのですが・・・まあ、どうにかなるでしょう。私はアレを用意しなくては・・・。」
ファイはギルド長室に行くと引き出しから水晶を取りだ出して、それに向かって話し出す。
「総員出撃体制を取れ。出港準備だ。」
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