54 / 79
悔恨と戦争4
しおりを挟む
土竜が旅立った頃、魔王城の一室で魔王はうなだれていた。大きな机に似つかわしくないくらいの身体で先ほどからうーうー唸っている。その魔族こそ魔王である。メイドのジュークは呆れかえり、魔王様と声を掛ける。原因は送られてきた【果たし状】と書かれたオーガからの手紙だ。確認するとそこには『ギルティア、ギルガメッシュの首を差し出さなければ全軍を以て貴様を殺す。かれており、先ほどまでやばいを何回連呼したかわからない。
「魔王様、玄武の里の周が殺害されていたことをご存じなかったんですか?」
「知るわけないじゃん!なにそれ!それとこの調査報告書の内容!もう事実でしかないじゃん!」
はああああと溜息を付き、スライムの様にドロドロと溶け始める。
「ギルバジア、ギルダラグ、ギルビード、ギルガメッシュ、ギルティア・・・先代魔王のパーティーメンバー全員で周を襲撃・・・なるほどね。僕が受けた報告は三人が勇者に打たれたってことだったから、5人共これを狙ってたんだなーって。まあ、先代をはめたのは僕なんだけどね。」
「なぜそのようなことを・・・先代様は強く凛々しいお方でした。」
「そこが問題なんだよね。」
「?」
先代魔王は最強の魔王として君臨していた。丁度50年前に周によって打たれたのだが、その性格は冷徹にして残忍な魔王として恐れられ、帝国と王国が和平を結んだきっかけともなっている。そんな彼が目を付けたのはオーガだった。そのきっかけを作ったのが現魔王である。名はハーウェックという。彼が君臨してから比較的に穏やかになったと言われているが、裏でギルティアとギルガメッシュが画策し、各国に戦争を仕掛けていたことを魔王は全く知らなかった。つまり無能である。だが、強さは魔将7人が相手になったところで勝てるわけでもなく・・・。
「オーガをたきつけて僕を殺そうって腹だねこれは・・・。」
「ですが、ギルティア様は別ではないですか?あなたを買っていましたし・・・。」
「それって4天皇時代の僕でしょ。魔王になってからの僕じゃないじゃん・・・珍しく勇者じゃなくて、聖職者だったし、頭いいし・・・出来れば宰相として迎え入れたかったんだけど・・・断ってたのはこれが理由か?」
「百発百中、十中八九それでしょうね。」
「まーじかーーー・・・。」
ジュークは溜息を吐くとお茶を入れる。ジュークは現魔王にこうい好意を持っている。先代魔王にいいように弄ばれたものは、数少なくなく、恨みを持つものもたくさんいた。だが、彼になってから魔族の隷属化を禁止し、現体制を作り上げた。忙しさにかまけ、政策を進行していく中で一番重要なことを見逃していたことも彼の自信を無くすきっかけとなっていた。
「ねえこれって次はどう動くと思う?」
「うーん・・・わかりかねます。この手紙が到着したあたりから二人とも実は行方が分からなくなってしまっていて。」
「魔族領にいないってこと!!」
「ええ、そうですが・・・ってこれはまずいですよ。もし、国境を越えて自分たちの領土にいるとしたら!」
「僕が手を出せないじゃないか!!」
魔王が直接魔王領を離れる。これはどういうことを意味するか。それは勇者が集結し、全力を以て魔王を殺しに来ることを意味する。ハーウェックは優しい性格であるが、それは魔族に対してだけである。彼が魔族となったのは、人間に対しての恨みが原因だった。その為、心の底から人間は滅ぶべきと思っている。だが、魔族がいたずらに死んでいくこの状況は得心を得ないものとなっていた。
その為、自分から戦争をするというのは稀で、どちらかと言うと防衛が主である。そんな状況で起きた事態だ。冷静に、冷静になれと自分を鎮める。一口お茶を飲むが手が震える。
「・・・ジュークさん、いやジューク。オーガに使いを出せ。その二人に関しては僕の政敵だ。この領土に踏み入った瞬間、僕が殺すと伝えろ。急げ!」
「わ、わかりました。では、すぐに手配をします。」
ハーウェックは吐きそうだった。魔族の中で現最強は僕だ。そう呟きながら立ち上がり、窓越しに空を見る。その日の天気は雷雨だった。
「魔王様、玄武の里の周が殺害されていたことをご存じなかったんですか?」
「知るわけないじゃん!なにそれ!それとこの調査報告書の内容!もう事実でしかないじゃん!」
はああああと溜息を付き、スライムの様にドロドロと溶け始める。
「ギルバジア、ギルダラグ、ギルビード、ギルガメッシュ、ギルティア・・・先代魔王のパーティーメンバー全員で周を襲撃・・・なるほどね。僕が受けた報告は三人が勇者に打たれたってことだったから、5人共これを狙ってたんだなーって。まあ、先代をはめたのは僕なんだけどね。」
「なぜそのようなことを・・・先代様は強く凛々しいお方でした。」
「そこが問題なんだよね。」
「?」
先代魔王は最強の魔王として君臨していた。丁度50年前に周によって打たれたのだが、その性格は冷徹にして残忍な魔王として恐れられ、帝国と王国が和平を結んだきっかけともなっている。そんな彼が目を付けたのはオーガだった。そのきっかけを作ったのが現魔王である。名はハーウェックという。彼が君臨してから比較的に穏やかになったと言われているが、裏でギルティアとギルガメッシュが画策し、各国に戦争を仕掛けていたことを魔王は全く知らなかった。つまり無能である。だが、強さは魔将7人が相手になったところで勝てるわけでもなく・・・。
「オーガをたきつけて僕を殺そうって腹だねこれは・・・。」
「ですが、ギルティア様は別ではないですか?あなたを買っていましたし・・・。」
「それって4天皇時代の僕でしょ。魔王になってからの僕じゃないじゃん・・・珍しく勇者じゃなくて、聖職者だったし、頭いいし・・・出来れば宰相として迎え入れたかったんだけど・・・断ってたのはこれが理由か?」
「百発百中、十中八九それでしょうね。」
「まーじかーーー・・・。」
ジュークは溜息を吐くとお茶を入れる。ジュークは現魔王にこうい好意を持っている。先代魔王にいいように弄ばれたものは、数少なくなく、恨みを持つものもたくさんいた。だが、彼になってから魔族の隷属化を禁止し、現体制を作り上げた。忙しさにかまけ、政策を進行していく中で一番重要なことを見逃していたことも彼の自信を無くすきっかけとなっていた。
「ねえこれって次はどう動くと思う?」
「うーん・・・わかりかねます。この手紙が到着したあたりから二人とも実は行方が分からなくなってしまっていて。」
「魔族領にいないってこと!!」
「ええ、そうですが・・・ってこれはまずいですよ。もし、国境を越えて自分たちの領土にいるとしたら!」
「僕が手を出せないじゃないか!!」
魔王が直接魔王領を離れる。これはどういうことを意味するか。それは勇者が集結し、全力を以て魔王を殺しに来ることを意味する。ハーウェックは優しい性格であるが、それは魔族に対してだけである。彼が魔族となったのは、人間に対しての恨みが原因だった。その為、心の底から人間は滅ぶべきと思っている。だが、魔族がいたずらに死んでいくこの状況は得心を得ないものとなっていた。
その為、自分から戦争をするというのは稀で、どちらかと言うと防衛が主である。そんな状況で起きた事態だ。冷静に、冷静になれと自分を鎮める。一口お茶を飲むが手が震える。
「・・・ジュークさん、いやジューク。オーガに使いを出せ。その二人に関しては僕の政敵だ。この領土に踏み入った瞬間、僕が殺すと伝えろ。急げ!」
「わ、わかりました。では、すぐに手配をします。」
ハーウェックは吐きそうだった。魔族の中で現最強は僕だ。そう呟きながら立ち上がり、窓越しに空を見る。その日の天気は雷雨だった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
甲斐ノ副将、八幡原ニテ散……ラズ
朽縄咲良
歴史・時代
【第8回歴史時代小説大賞奨励賞受賞作品】
戦国の雄武田信玄の次弟にして、“稀代の副将”として、同時代の戦国武将たちはもちろん、後代の歴史家の間でも評価の高い武将、武田典厩信繁。
永禄四年、武田信玄と強敵上杉輝虎とが雌雄を決する“第四次川中島合戦”に於いて討ち死にするはずだった彼は、家臣の必死の奮闘により、その命を拾う。
信繁の生存によって、甲斐武田家と日本が辿るべき歴史の流れは徐々にずれてゆく――。
この作品は、武田信繁というひとりの武将の生存によって、史実とは異なっていく戦国時代を書いた、大河if戦記である。
*ノベルアッププラス・小説家になろうにも、同内容の作品を掲載しております(一部差異あり)。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる