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第十六章 蒼炎の石
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「アスティ様、皆さんも、お願いがあります」
ギルドの食堂で昼食を食べ終え、食後のお茶を飲んでいるときにオクタヴィアが言った。
「どうしたんだ、オクタヴィアさん?」
「何か相談事?」
ジュリアスとアンナが心配そうな視線でオクタヴィアを見つめた。
「いえ……。そうではなくて、その呼び方なんですが……。私が一番年下ですし、新参でもあるので呼び捨てて頂けませんか?」
真剣な表情で告げられたオクタヴィアの言葉に、アンナたちは顔を見合わせると笑いを浮かべた。
「それもそうね。じゃあ、オクタヴィアって呼ばせてもらうわ」
「はい、皆さんもそれでお願いします」
嬉しそうに微笑みを浮かべると、オクタヴィアが頭を下げた。
「そう言えば、オクタヴィアさん……オクタヴィアも私とアンナに様付けはやめてくださいね。呼び捨てで構いませんよ」
「そんな……恐れ多いです」
ゾルヴァラタ教の主神であり、神聖不可侵の女神アストレアを呼び捨てることなど、オクタヴィアに出来るはずもなかった。
「恐れ多いというなら、未だにアスティにさん付けで呼ばれる俺はもっと恐れ多いな」
ジュリアスが笑いながらアストレアに告げた。
「そうだな。では、<女王の騎士>ではメンバーの敬称は禁止にしよう。全員が呼び捨てだ。少なくても、アスティがこの格好の時はな」
『女王の騎士』のリーダーであるセイリオスが提案をした。それに頷くと、黒曜石の瞳をいたずらっぽく輝かせながら、アストレアがオクタヴィアに言った。
「そうですね。それではオクタヴィア、練習です。私のことを呼んでください」
「は、はい。その……アスティ……様」
「ハードル高そうね。じゃあ、あたしで練習しなさい」
顔を真っ赤に染めて緊張しきったオクタヴィアに、アンナが笑いかけながら告げた。
「はい……あ、アンナ……」
「うん、その調子ね。次はアスティの番よ」
ニヤリと笑みを浮かべると、アンナはオクタヴィアに再びアストレアの名前を呼ぶように促した。
「はい……アスティ……。だめです! アスティ様だけはお許しください」
オクタヴィアは両手で顔を隠すと、恥ずかしそうに俯きながら言った。
「まあ、仕方ないか。アスティはアレだしね」
「そうだな。アレじゃしようがないな」
アンナとジュリウスが楽しそうにお互いを見つめ合った。
「二人とも、アレは止めてください。オクタヴィア、徐々にで構いませんので私のことも呼び捨てにしてくださいね」
アンナとジュリウスに文句を言うと、アストレアはオクタヴィアを見つめて優しく微笑んだ。
「ところで、今日はジュリアスの剣とオクタヴィアの装備を買うんだったよな? 武器屋と魔道具屋だから、二手に分かれよう。俺はジュリアスに付き合うから、アスティたちはオクタヴィアの装備を調えてくれ」
「分かりました、セイリオス。待ち合わせは『銀の竪琴』でいいですか?」
信頼と愛情を込めた眼差しでセイリオスを見つめながら、アストレアが訊ねた。
「ああ、構わない。夜の四つ鐘を目安に、『銀の竪琴』の食堂で待ち合わせよう。部屋割りはそうだな。オクタヴィアを一人にするわけにもいかないから、男女で分かれるか」
昨夜もお預けを食ったセイリオスは、少し残念そうな表情でアストレアに言った。
「はい。では、セイリオスのギルド証を貸してください。白金貨三千枚を入金してきますから……」
「頼む」
アストレアの言葉に、セイリオスが首からブルーダイヤモンド製のギルド証を外して渡した。
「では、少し待っていてくださいね」
セイリオスのギルド証を受け取ると、アストレアが手を振りながら受付に向かった。
「私のギルド証から、こっちのギルド証にお金を移したいのですが……」
ギルドの受付で二つのギルド証を渡しながら、アストレアが先ほどの受付嬢に言った。
「はい、お預かりします。おいくらを入金されますか?」
「白金貨三千枚をお願いします」
アストレアの告げた金額に、受付嬢は目を見開いて驚いた。白金貨三千枚あれば、大貴族の屋敷が丸ごと買えるのだ。
「し、失礼いたしました。では、入金処理をして参りますので、少々お待ちください」
二つのブルーダイヤモンド製のギルド証を手にして、受付嬢が奥へ向かった。しばらく待つと、受付嬢が戻ってきてギルド証をアストレアに手渡しながら告げた。
「こちらのセイリオス様のギルド証に、白金貨三千枚を入金いたしました。アスティ様のギルド証の残金は、白金貨八千五百六十枚となります」
「え……?」
受付嬢の告げた残額に、アストレアは驚いた。セイリオスと初めて出逢った『タスマニアの氷穴』の魔石代で白金貨六十枚、セイリオスたちから魔道杖代として預かったのが白金貨六千枚だった。そこから三千枚をセイリオスのギルド証に移したのだから、残金は白金貨三千六十枚のはずだ。白金貨五千五百枚も多かった。
「あの……ちょっと計算が合わないので、入金の明細は分かりますか?」
「はい。こちらが明細になります」
受付嬢が入出金の明細が書かれた羊皮紙をアストレアに手渡した。それを見て、アストレアは驚愕して言葉を失った。
『入金 白金貨五千五百枚 ローブお買い上げ代として 魔女の箒屋』
(ロウメテールで一着金貨三枚で買ったローブが、白金貨五千五百枚……?)
黒曜石の瞳を大きく見開くと、アストレアは受付嬢にお礼を言って慌ててアンナの元に戻った。
「セイリオス、白金貨三千枚をこのギルド証に入金しました。それと、アンナ、ちょっと来てください!」
ブルーダイヤモンドのギルド証をセイリオスに手渡すと、アストレアはジュリアスの隣でお茶を飲んでいたアンナの腕を引っ張った。
「ち、ちょっと危ない。紅茶がこぼれるわ。どうしたの、アスティ?」
「いいから、ちょっと……早く」
普段冷静なアストレアの慌てようにアンナは怪訝な表情を浮かべて、彼女の後に続いて食堂を出た。アストレアはそのまま冒険者ギルドの入口から外へ出ると、一番近くの脇道に入ってアンナを振り向いた。
「アンナ、大変です!」
「どうしたの、落ち着きなさいよ」
「落ち着いてなんて、いられません。これを見てください!」
アストレアは明細が書かれた羊皮紙をアンナに渡した。それを見たアンナが、驚愕の声を上げた。
「どういうことなの、いったいッ!」
「分かりません。ですが、ベイルートさんはあの時に確かこう言っていたと思います。『些細な金額ですが、ローブの買い上げ代も一緒に入金させて頂いております』って……」
白金貨五千五百枚といえば、些細どころか莫大な金額だった。
「あのローブは、ロウメテールで買った安物よね?」
「はい。一着で金貨三枚でした。二着合わせても白金貨一枚にもなりません」
金貨十枚で白金貨一枚と同額だった。アストレアが慌てるのも無理はなかった。
「アスティ、ベイルートさんが何で白金貨五千五百枚も入金したか、何となく分かったわ」
アストレアの様子を見ながら、アンナはベイルートの考えを読み取った。
「教えてください、何でですか?」
「おそらくだけど、女神アストレア様がお召しになっていたローブに価値を見出したんだと思う。そして、返金額が白金貨四千五百枚だったから、キリのいい数字で白金貨一万枚を入金したのよ。たぶん、間違っていないと思うわ」
アンナが自信を持ってアストレアに告げた。
「そんな……。私が着ていただけですよ? それも金貨三枚の安物ですよ?」
アンナの言うことが信じられなくて、アストレアが訊ねた。
「あのローブをいくらで買ったかなんて、関係ないのよ。いい、アスティ? 女神アストレア様は、このゾルヴァラタ神国を興した創世神よ。ゾルヴァラータ教の主神であり、何物にも代えがたい神聖不可侵な存在なの。そのアストレア様が召されていたローブよ。白金貨五千五百枚でも安いと思うわ。本来であれば、国宝になってもおかしくないのよ」
「そんな……。私は女神でも何でもない、ただのエルフですよ。ゾルヴァラタ神国だって、私は悪魔を駆逐しただけで、実際に国を興したのはミッシェルです」
アンナの説明を理解はしたものの、アストレアはとても納得できなかった。自分にそこまでの価値がないことは、自分自身が一番よく知っていた。
「とにかく、ベイルートさんにお金をお返ししましょう」
「それはやめた方がいいわ。ベイルートさんは熱心なゾルヴァラータ教の信者よ。まして、崇拝する女神アストレア様のお姿を直接眼にして、少しでもアストレア様に協力したいと考えたのよ。商人である彼は、悪魔王ルシファーとの戦いで役立つことは出来ない。だから、その資金を提供したのだと思うわ」
アンナはベイルートの考えを読み切っていた。その考えでおそらく間違いないだろうと、アンナは思った。
「だから、あたしたちが彼の厚意に報いるのは、悪魔王ルシファーを倒すことよ。もしどうしても納得いかないのであれば、そのお金で装備を調えることね。ちょうど、オクタヴィアの装備を買うところだし……」
「ベイルートさんのお店で、弓士の装備って揃いますか?」
アンナの言う意味を理解し、アストレアが訊ねた。どうせ装備を買うのであれば、魔女の箒屋で購入した方がベイルートのためにもなるはずだった。
「揃うと思うわ。あそこはこの首都で最も大きな魔道具屋だから。魔法が付与された弓士用の装備もきっと置いてあると思う」
「分かりました。それでは、オクタヴィアの装備は魔女の箒屋で買うことにします。ベイルートさんにもお礼も言えるし、そうしましょう」
「そうね、あたしもそれがいいと思う。ルシファー相手なんだから、オクタヴィアにも最高の装備を揃えて上げましょう」
アストレアの提案に、アンナも笑顔で頷いた。
「でも、アスティ……」
アンナがニヤリと意地の悪そうな笑みを浮かべた。
「はい?」
「女神アストレア様の昨夜の乱れまくったお姿を見たら、ベイルートさんの心臓は間違いなくショックで止まるわね」
「アンナ! 知りません……」
アンナに朝方まで女の悦びを刻みつけられたことを思い出して、アストレアはその美貌を真っ赤に染めて彼女を睨み付けた。
ギルドの食堂で昼食を食べ終え、食後のお茶を飲んでいるときにオクタヴィアが言った。
「どうしたんだ、オクタヴィアさん?」
「何か相談事?」
ジュリアスとアンナが心配そうな視線でオクタヴィアを見つめた。
「いえ……。そうではなくて、その呼び方なんですが……。私が一番年下ですし、新参でもあるので呼び捨てて頂けませんか?」
真剣な表情で告げられたオクタヴィアの言葉に、アンナたちは顔を見合わせると笑いを浮かべた。
「それもそうね。じゃあ、オクタヴィアって呼ばせてもらうわ」
「はい、皆さんもそれでお願いします」
嬉しそうに微笑みを浮かべると、オクタヴィアが頭を下げた。
「そう言えば、オクタヴィアさん……オクタヴィアも私とアンナに様付けはやめてくださいね。呼び捨てで構いませんよ」
「そんな……恐れ多いです」
ゾルヴァラタ教の主神であり、神聖不可侵の女神アストレアを呼び捨てることなど、オクタヴィアに出来るはずもなかった。
「恐れ多いというなら、未だにアスティにさん付けで呼ばれる俺はもっと恐れ多いな」
ジュリアスが笑いながらアストレアに告げた。
「そうだな。では、<女王の騎士>ではメンバーの敬称は禁止にしよう。全員が呼び捨てだ。少なくても、アスティがこの格好の時はな」
『女王の騎士』のリーダーであるセイリオスが提案をした。それに頷くと、黒曜石の瞳をいたずらっぽく輝かせながら、アストレアがオクタヴィアに言った。
「そうですね。それではオクタヴィア、練習です。私のことを呼んでください」
「は、はい。その……アスティ……様」
「ハードル高そうね。じゃあ、あたしで練習しなさい」
顔を真っ赤に染めて緊張しきったオクタヴィアに、アンナが笑いかけながら告げた。
「はい……あ、アンナ……」
「うん、その調子ね。次はアスティの番よ」
ニヤリと笑みを浮かべると、アンナはオクタヴィアに再びアストレアの名前を呼ぶように促した。
「はい……アスティ……。だめです! アスティ様だけはお許しください」
オクタヴィアは両手で顔を隠すと、恥ずかしそうに俯きながら言った。
「まあ、仕方ないか。アスティはアレだしね」
「そうだな。アレじゃしようがないな」
アンナとジュリウスが楽しそうにお互いを見つめ合った。
「二人とも、アレは止めてください。オクタヴィア、徐々にで構いませんので私のことも呼び捨てにしてくださいね」
アンナとジュリウスに文句を言うと、アストレアはオクタヴィアを見つめて優しく微笑んだ。
「ところで、今日はジュリアスの剣とオクタヴィアの装備を買うんだったよな? 武器屋と魔道具屋だから、二手に分かれよう。俺はジュリアスに付き合うから、アスティたちはオクタヴィアの装備を調えてくれ」
「分かりました、セイリオス。待ち合わせは『銀の竪琴』でいいですか?」
信頼と愛情を込めた眼差しでセイリオスを見つめながら、アストレアが訊ねた。
「ああ、構わない。夜の四つ鐘を目安に、『銀の竪琴』の食堂で待ち合わせよう。部屋割りはそうだな。オクタヴィアを一人にするわけにもいかないから、男女で分かれるか」
昨夜もお預けを食ったセイリオスは、少し残念そうな表情でアストレアに言った。
「はい。では、セイリオスのギルド証を貸してください。白金貨三千枚を入金してきますから……」
「頼む」
アストレアの言葉に、セイリオスが首からブルーダイヤモンド製のギルド証を外して渡した。
「では、少し待っていてくださいね」
セイリオスのギルド証を受け取ると、アストレアが手を振りながら受付に向かった。
「私のギルド証から、こっちのギルド証にお金を移したいのですが……」
ギルドの受付で二つのギルド証を渡しながら、アストレアが先ほどの受付嬢に言った。
「はい、お預かりします。おいくらを入金されますか?」
「白金貨三千枚をお願いします」
アストレアの告げた金額に、受付嬢は目を見開いて驚いた。白金貨三千枚あれば、大貴族の屋敷が丸ごと買えるのだ。
「し、失礼いたしました。では、入金処理をして参りますので、少々お待ちください」
二つのブルーダイヤモンド製のギルド証を手にして、受付嬢が奥へ向かった。しばらく待つと、受付嬢が戻ってきてギルド証をアストレアに手渡しながら告げた。
「こちらのセイリオス様のギルド証に、白金貨三千枚を入金いたしました。アスティ様のギルド証の残金は、白金貨八千五百六十枚となります」
「え……?」
受付嬢の告げた残額に、アストレアは驚いた。セイリオスと初めて出逢った『タスマニアの氷穴』の魔石代で白金貨六十枚、セイリオスたちから魔道杖代として預かったのが白金貨六千枚だった。そこから三千枚をセイリオスのギルド証に移したのだから、残金は白金貨三千六十枚のはずだ。白金貨五千五百枚も多かった。
「あの……ちょっと計算が合わないので、入金の明細は分かりますか?」
「はい。こちらが明細になります」
受付嬢が入出金の明細が書かれた羊皮紙をアストレアに手渡した。それを見て、アストレアは驚愕して言葉を失った。
『入金 白金貨五千五百枚 ローブお買い上げ代として 魔女の箒屋』
(ロウメテールで一着金貨三枚で買ったローブが、白金貨五千五百枚……?)
黒曜石の瞳を大きく見開くと、アストレアは受付嬢にお礼を言って慌ててアンナの元に戻った。
「セイリオス、白金貨三千枚をこのギルド証に入金しました。それと、アンナ、ちょっと来てください!」
ブルーダイヤモンドのギルド証をセイリオスに手渡すと、アストレアはジュリアスの隣でお茶を飲んでいたアンナの腕を引っ張った。
「ち、ちょっと危ない。紅茶がこぼれるわ。どうしたの、アスティ?」
「いいから、ちょっと……早く」
普段冷静なアストレアの慌てようにアンナは怪訝な表情を浮かべて、彼女の後に続いて食堂を出た。アストレアはそのまま冒険者ギルドの入口から外へ出ると、一番近くの脇道に入ってアンナを振り向いた。
「アンナ、大変です!」
「どうしたの、落ち着きなさいよ」
「落ち着いてなんて、いられません。これを見てください!」
アストレアは明細が書かれた羊皮紙をアンナに渡した。それを見たアンナが、驚愕の声を上げた。
「どういうことなの、いったいッ!」
「分かりません。ですが、ベイルートさんはあの時に確かこう言っていたと思います。『些細な金額ですが、ローブの買い上げ代も一緒に入金させて頂いております』って……」
白金貨五千五百枚といえば、些細どころか莫大な金額だった。
「あのローブは、ロウメテールで買った安物よね?」
「はい。一着で金貨三枚でした。二着合わせても白金貨一枚にもなりません」
金貨十枚で白金貨一枚と同額だった。アストレアが慌てるのも無理はなかった。
「アスティ、ベイルートさんが何で白金貨五千五百枚も入金したか、何となく分かったわ」
アストレアの様子を見ながら、アンナはベイルートの考えを読み取った。
「教えてください、何でですか?」
「おそらくだけど、女神アストレア様がお召しになっていたローブに価値を見出したんだと思う。そして、返金額が白金貨四千五百枚だったから、キリのいい数字で白金貨一万枚を入金したのよ。たぶん、間違っていないと思うわ」
アンナが自信を持ってアストレアに告げた。
「そんな……。私が着ていただけですよ? それも金貨三枚の安物ですよ?」
アンナの言うことが信じられなくて、アストレアが訊ねた。
「あのローブをいくらで買ったかなんて、関係ないのよ。いい、アスティ? 女神アストレア様は、このゾルヴァラタ神国を興した創世神よ。ゾルヴァラータ教の主神であり、何物にも代えがたい神聖不可侵な存在なの。そのアストレア様が召されていたローブよ。白金貨五千五百枚でも安いと思うわ。本来であれば、国宝になってもおかしくないのよ」
「そんな……。私は女神でも何でもない、ただのエルフですよ。ゾルヴァラタ神国だって、私は悪魔を駆逐しただけで、実際に国を興したのはミッシェルです」
アンナの説明を理解はしたものの、アストレアはとても納得できなかった。自分にそこまでの価値がないことは、自分自身が一番よく知っていた。
「とにかく、ベイルートさんにお金をお返ししましょう」
「それはやめた方がいいわ。ベイルートさんは熱心なゾルヴァラータ教の信者よ。まして、崇拝する女神アストレア様のお姿を直接眼にして、少しでもアストレア様に協力したいと考えたのよ。商人である彼は、悪魔王ルシファーとの戦いで役立つことは出来ない。だから、その資金を提供したのだと思うわ」
アンナはベイルートの考えを読み切っていた。その考えでおそらく間違いないだろうと、アンナは思った。
「だから、あたしたちが彼の厚意に報いるのは、悪魔王ルシファーを倒すことよ。もしどうしても納得いかないのであれば、そのお金で装備を調えることね。ちょうど、オクタヴィアの装備を買うところだし……」
「ベイルートさんのお店で、弓士の装備って揃いますか?」
アンナの言う意味を理解し、アストレアが訊ねた。どうせ装備を買うのであれば、魔女の箒屋で購入した方がベイルートのためにもなるはずだった。
「揃うと思うわ。あそこはこの首都で最も大きな魔道具屋だから。魔法が付与された弓士用の装備もきっと置いてあると思う」
「分かりました。それでは、オクタヴィアの装備は魔女の箒屋で買うことにします。ベイルートさんにもお礼も言えるし、そうしましょう」
「そうね、あたしもそれがいいと思う。ルシファー相手なんだから、オクタヴィアにも最高の装備を揃えて上げましょう」
アストレアの提案に、アンナも笑顔で頷いた。
「でも、アスティ……」
アンナがニヤリと意地の悪そうな笑みを浮かべた。
「はい?」
「女神アストレア様の昨夜の乱れまくったお姿を見たら、ベイルートさんの心臓は間違いなくショックで止まるわね」
「アンナ! 知りません……」
アンナに朝方まで女の悦びを刻みつけられたことを思い出して、アストレアはその美貌を真っ赤に染めて彼女を睨み付けた。
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