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登場人物
・店の親父
・鳶嶋謙介…大村高校剣道部二年。団体戦では先鋒。
・桐原光路…大村高校剣道部二年。団体戦では大将
謙介「あー、疲れた。だりぃ。腹減ったー。」
光路「タケ先、最近掛かり稽古長げーよな。」
謙介「お、こんなとこにラーメン屋できたんだ。」
光路「何か、良さそうな店構えだな。」
謙介「ちょっと喰っていかね?腹、減ってるっしょ。」
ガラガラ。
親父「へい、いらっしゃい。」
謙介と光路は席に座ってメニューを見ました。
___________________________
メニュー
・しょうゆ
・みそ
・ミルキー
____________________________
光路「え、メニューこれだけ?」
謙介「何か、逆にこだわりの店っほくね?」
光路「いや、でもミルキーって?」
親父「こだわりの店か。はっは。嬉しいこと言ってくれるね。
その通り。ウチほど出汁に拘ってる店ぁ、ないよ。
じゃあ、決まったら声掛けてください。」
親父はそういってカウンター奥のドアを開け、
厨房らしきところに入ろうとしました。
ラーメン屋さんでは厨房がオープンになっているお店が多いですが、
この店は厨房がお客さんから見えないような作りになっていました。
光路「!」
謙介「!!」
二人はドアの隙間からとんでもないものを見てしまいました。
厨房には「出汁」と書いてあるドラム缶サイズの寸胴が三つ、
火にかかっていました。
寸胴には、それぞれ美女・幼女・マッチョのおっさんが
まるで風呂に浸かっているかのごとく寛いでいます。
二人は自分たちが見たものが信じられず、何度も目を擦りました。
親父「どうだい?決まった!?」
二人が口をパクつかせていると、おっさんが厨房から出てきました、
謙介「あ…あの。あっ…」
光路「すいません。やっぱりお腹へってなかったんで。」
謙介・光路「失礼します!!」
二人は店を飛び出し、400mほど全力疾走しました。
謙介「ヤベーよ!絶対ヤベー。出汁人じゃん。マジ?あれ、マジ?」
光路「ああ。塩とか、味噌とかカンケーねえよな!
謙介「ゼッテー喰えないって。っていうか保健所とか大丈夫なのあれ?」
光路「…………うん…でも……美人だったよな。」
謙介「…!」
光路「イヤイヤイヤ。喰えねぇよ?そういうんじゃなくて!顔だけ見たら!」
謙介「…まあ、可愛かったよね。愛らしいっていうか。」
光路「そっち!?」
謙介「イヤイヤイヤ。可愛いってそういうんじゃないから。」
謙介・光路「…」
光路「…でも、出汁はないよね」
謙介「うん。流石にね。」
光路「…じゃあ、俺。そろそろ帰るわ。」
謙介「おう、俺も。」
謙介・光路「じゃーな。」
10分後……
謙介「あー、やっぱ腹減ったなー。」
光路と別れた謙介は先ほどのラーメン屋の前に戻って来ていました。
ガラッ!
光路「」
謙介が戸を開けると光路がメニュー片手に微妙な顔で座っていました。
謙介・光路「……」
光路「いや…そういうんじゃなくて…腹減っただけだから…」
謙介「…うん、俺も。」
コン!
おっさんは少し不機嫌そうに水を置きました。
親父「じゃあ、決まったら声掛けてください。」
謙介「ハイ。」
厨房の扉は開いたままになっていました。
美女が二人を見て微笑みました。
はっきり言ってめちゃくちゃ美人です。
その隣では、幼女がおもちゃをお湯に浮かべて遊んでいます。
こんなに愛くるしい幼女は1,000人に一人いるかどうか…
二人とも肩から上をお湯から出していて
大事な部分は見えていません。
その横で一際、異彩を放っているのがマッチョのおっさんです。
おっさんの肌は日焼けしているのか、とても黒いです。
さらに、オイルでも塗ったかの様にテッカテカです。
毛髪と眉毛を剃っているらしく頭部もテッカテカです。
そしてメッチャクチャ笑っています。
筋肉をアピールするべく、色々なポーズを取りながら
メッチャクチャ笑っています。
光路は美女の鎖骨から肩のラインを見てゴクッと唾を飲みました。
それに気づいたのか美女は艶やかな笑みを浮かべヒラヒラと手を振りました。
謙介はかつてないくらい目を見開いて幼女を見つめています。
幼女は無邪気におもちゃで遊び、手を上げたり、際どいラインまで
体をお湯の外に出したりしています。
謙介は「ああそんなにはしゃいだら見えちゃうって!」と思いながら
ゴクッと唾を飲みました。
二人はハッとしてお互いを盗み見ました。
謙介・光路(こいつ、こんな気持ち悪りぃ顔するヤツだったんだな。引くわー。
まあ、俺はそういうんじゃないけど。腹減ってるだけだけど。)
謙介・光路(いや、こんな変態のこと気にしてる場合じゃねえぞ!)
謙介・光路(問題はどれがどの出汁かってことだ!)
謙介(普通に考えるなら
みそ=こってり系=おっさん。
しょうゆ=あっさり系=美女。
ミルキー=?系=少女か?
間違いないよな!?よし!ミル!…いや待て!
この店に「普通」なんて考えが通じるのか!?
ミルキー=乳=母乳…あの人はお母さんかも!
…それなら、最悪は避けられる!!)
くわっ!
謙介は目を見開き、覚悟を決めました。
謙介「すいませーん。ミルッ…」
謙介(いや…最悪の場合…ミルクって…)
謙介はマッチョのおっさんを見ました。マッチョのおっさんはメッチャクチャ笑っています。
こういう人形なんじゃねえか?と疑うほど表情が変わりません。
謙介はブンブン首を振りました。(ねえよ!そんな訳ねえよ!)
光路は、迷いに迷っている謙介を見て「ニヤッ」と笑いました。
(ふふ。迷ってるな。謙介。まあ校内模試82/125のお前じゃそんなもんだろ。)
光路は余裕の表情でトントンと指で頭を叩きました。
謙介(光路!何だその余裕!?まさか、校内模試65/125の男には何かが見えているのか?
まさか、この店の中にヒントが!?)
バッ、バッ!謙介は店の中を見回しました。
光路「すいませーん。このしょうゆってどんな出汁をとってるんですか?
僕、苦手なもの多いんで。」
謙介(直球!)
おっさん「すいません。出汁の中身は企業秘密なんで!」ニカッ!
謙介・光路(見えてんだよ!!後ろ!!)
おっさんの後ろで三人の出汁がニコッと手を振っていました。
おっさん「何が苦手なんすか?それを使ってるかは教えられますんで。」
光路「あ…いや…にぼし…とか」
おっさん「あー。煮干は使ってないんで大丈夫でさ!」
光路「は、はあ。」シュン…
謙介(ザマァ!)
(…といっても、結局ヒントなしか)
二人は、顔を見合わせました。
謙介・光路「ゴクリ!!」
謙介「すいません。俺、ミルキー。」
光路「俺、しょうゆ。」
おっさん「はいよー。」
おっさんは厨房に入っていきました。
相変わらず、ドアは開いたままです。
器を二つ出し、一つには美女の寸胴から、もう一つは幼女の寸胴から
掬った出汁を入れました。
謙介・光路(よし!!希望と違っていても好感すればいける!!)
二人は思わず、ガッツポーズしました。
おっさん「おっと、こいつを忘れちゃいけねぇ。」
おっさんは、二つの器にマッチョのおっさんの寸胴から取った出汁を入れました。
謙介・光路(合わせ出汁かよ!!)
おしまい。
・店の親父
・鳶嶋謙介…大村高校剣道部二年。団体戦では先鋒。
・桐原光路…大村高校剣道部二年。団体戦では大将
謙介「あー、疲れた。だりぃ。腹減ったー。」
光路「タケ先、最近掛かり稽古長げーよな。」
謙介「お、こんなとこにラーメン屋できたんだ。」
光路「何か、良さそうな店構えだな。」
謙介「ちょっと喰っていかね?腹、減ってるっしょ。」
ガラガラ。
親父「へい、いらっしゃい。」
謙介と光路は席に座ってメニューを見ました。
___________________________
メニュー
・しょうゆ
・みそ
・ミルキー
____________________________
光路「え、メニューこれだけ?」
謙介「何か、逆にこだわりの店っほくね?」
光路「いや、でもミルキーって?」
親父「こだわりの店か。はっは。嬉しいこと言ってくれるね。
その通り。ウチほど出汁に拘ってる店ぁ、ないよ。
じゃあ、決まったら声掛けてください。」
親父はそういってカウンター奥のドアを開け、
厨房らしきところに入ろうとしました。
ラーメン屋さんでは厨房がオープンになっているお店が多いですが、
この店は厨房がお客さんから見えないような作りになっていました。
光路「!」
謙介「!!」
二人はドアの隙間からとんでもないものを見てしまいました。
厨房には「出汁」と書いてあるドラム缶サイズの寸胴が三つ、
火にかかっていました。
寸胴には、それぞれ美女・幼女・マッチョのおっさんが
まるで風呂に浸かっているかのごとく寛いでいます。
二人は自分たちが見たものが信じられず、何度も目を擦りました。
親父「どうだい?決まった!?」
二人が口をパクつかせていると、おっさんが厨房から出てきました、
謙介「あ…あの。あっ…」
光路「すいません。やっぱりお腹へってなかったんで。」
謙介・光路「失礼します!!」
二人は店を飛び出し、400mほど全力疾走しました。
謙介「ヤベーよ!絶対ヤベー。出汁人じゃん。マジ?あれ、マジ?」
光路「ああ。塩とか、味噌とかカンケーねえよな!
謙介「ゼッテー喰えないって。っていうか保健所とか大丈夫なのあれ?」
光路「…………うん…でも……美人だったよな。」
謙介「…!」
光路「イヤイヤイヤ。喰えねぇよ?そういうんじゃなくて!顔だけ見たら!」
謙介「…まあ、可愛かったよね。愛らしいっていうか。」
光路「そっち!?」
謙介「イヤイヤイヤ。可愛いってそういうんじゃないから。」
謙介・光路「…」
光路「…でも、出汁はないよね」
謙介「うん。流石にね。」
光路「…じゃあ、俺。そろそろ帰るわ。」
謙介「おう、俺も。」
謙介・光路「じゃーな。」
10分後……
謙介「あー、やっぱ腹減ったなー。」
光路と別れた謙介は先ほどのラーメン屋の前に戻って来ていました。
ガラッ!
光路「」
謙介が戸を開けると光路がメニュー片手に微妙な顔で座っていました。
謙介・光路「……」
光路「いや…そういうんじゃなくて…腹減っただけだから…」
謙介「…うん、俺も。」
コン!
おっさんは少し不機嫌そうに水を置きました。
親父「じゃあ、決まったら声掛けてください。」
謙介「ハイ。」
厨房の扉は開いたままになっていました。
美女が二人を見て微笑みました。
はっきり言ってめちゃくちゃ美人です。
その隣では、幼女がおもちゃをお湯に浮かべて遊んでいます。
こんなに愛くるしい幼女は1,000人に一人いるかどうか…
二人とも肩から上をお湯から出していて
大事な部分は見えていません。
その横で一際、異彩を放っているのがマッチョのおっさんです。
おっさんの肌は日焼けしているのか、とても黒いです。
さらに、オイルでも塗ったかの様にテッカテカです。
毛髪と眉毛を剃っているらしく頭部もテッカテカです。
そしてメッチャクチャ笑っています。
筋肉をアピールするべく、色々なポーズを取りながら
メッチャクチャ笑っています。
光路は美女の鎖骨から肩のラインを見てゴクッと唾を飲みました。
それに気づいたのか美女は艶やかな笑みを浮かべヒラヒラと手を振りました。
謙介はかつてないくらい目を見開いて幼女を見つめています。
幼女は無邪気におもちゃで遊び、手を上げたり、際どいラインまで
体をお湯の外に出したりしています。
謙介は「ああそんなにはしゃいだら見えちゃうって!」と思いながら
ゴクッと唾を飲みました。
二人はハッとしてお互いを盗み見ました。
謙介・光路(こいつ、こんな気持ち悪りぃ顔するヤツだったんだな。引くわー。
まあ、俺はそういうんじゃないけど。腹減ってるだけだけど。)
謙介・光路(いや、こんな変態のこと気にしてる場合じゃねえぞ!)
謙介・光路(問題はどれがどの出汁かってことだ!)
謙介(普通に考えるなら
みそ=こってり系=おっさん。
しょうゆ=あっさり系=美女。
ミルキー=?系=少女か?
間違いないよな!?よし!ミル!…いや待て!
この店に「普通」なんて考えが通じるのか!?
ミルキー=乳=母乳…あの人はお母さんかも!
…それなら、最悪は避けられる!!)
くわっ!
謙介は目を見開き、覚悟を決めました。
謙介「すいませーん。ミルッ…」
謙介(いや…最悪の場合…ミルクって…)
謙介はマッチョのおっさんを見ました。マッチョのおっさんはメッチャクチャ笑っています。
こういう人形なんじゃねえか?と疑うほど表情が変わりません。
謙介はブンブン首を振りました。(ねえよ!そんな訳ねえよ!)
光路は、迷いに迷っている謙介を見て「ニヤッ」と笑いました。
(ふふ。迷ってるな。謙介。まあ校内模試82/125のお前じゃそんなもんだろ。)
光路は余裕の表情でトントンと指で頭を叩きました。
謙介(光路!何だその余裕!?まさか、校内模試65/125の男には何かが見えているのか?
まさか、この店の中にヒントが!?)
バッ、バッ!謙介は店の中を見回しました。
光路「すいませーん。このしょうゆってどんな出汁をとってるんですか?
僕、苦手なもの多いんで。」
謙介(直球!)
おっさん「すいません。出汁の中身は企業秘密なんで!」ニカッ!
謙介・光路(見えてんだよ!!後ろ!!)
おっさんの後ろで三人の出汁がニコッと手を振っていました。
おっさん「何が苦手なんすか?それを使ってるかは教えられますんで。」
光路「あ…いや…にぼし…とか」
おっさん「あー。煮干は使ってないんで大丈夫でさ!」
光路「は、はあ。」シュン…
謙介(ザマァ!)
(…といっても、結局ヒントなしか)
二人は、顔を見合わせました。
謙介・光路「ゴクリ!!」
謙介「すいません。俺、ミルキー。」
光路「俺、しょうゆ。」
おっさん「はいよー。」
おっさんは厨房に入っていきました。
相変わらず、ドアは開いたままです。
器を二つ出し、一つには美女の寸胴から、もう一つは幼女の寸胴から
掬った出汁を入れました。
謙介・光路(よし!!希望と違っていても好感すればいける!!)
二人は思わず、ガッツポーズしました。
おっさん「おっと、こいつを忘れちゃいけねぇ。」
おっさんは、二つの器にマッチョのおっさんの寸胴から取った出汁を入れました。
謙介・光路(合わせ出汁かよ!!)
おしまい。
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