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第百四十六話
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「お前の魔力が欲しいだけの、欲得ずくの卑しい男だと思っただろう? 魔力が無かったらわたしになんか見向きもしなかったくせに、魔力があるから繋留しただけでしょ、って、思っていただろう?」
「・・・」
それは、セヴランを憎んだり恨んだということになるのだろうか。奈々実が自分自身を卑下することが、セヴランを憎むことになるのか。
「お前の魔力を好きなように借りて使えることは、それはとても魅力的なことだがな、俺は欲張りだから、それを短期間で終わらせたくないし、人のためだけで終わらせるのも嫌なんだよ。これから先お前と共に生きている間ずうっと、人のためとか国のためも含めて、でもお前と自分の幸せのために、お前の魔力を使えるようにしたい」
それはすばらしい未来予想図だが、そのこととエッチをするかしないかがどう関連しているのか、奈々実は全然わからない。きょとんとしている奈々実に、セヴランはため息をつく。
「未成年のお前を抱いたら、俺はこの世界の摂理に従って自分の下半身を切り落とさなければならない。それが嫌なら自死するしかない」
「・・・は・・・?」
下半身って、下半身って、その、つまり、ソレですか? え? 切るって、つまりその、去勢するってこと?
理解するまで数分かかった。そんなの、中国の歴史小説に出て来る宦官じゃあるまいし、意味がわからない。
「なんでそんなことになっちゃうんですか?」
レイプしたのなら、犯罪だったのなら、懲罰としてそういうこともありうるかもしれない。でも、セヴランは奈々実を大切にしてくれていて、守ってくれていて、奈々実は感謝していて、それでも摂理に反するのだろうか。
「証拠が無い、証明ができない、ということなんだろうな・・・。お前だって、事前には大丈夫だと思っていたとしても、いざ、実際にしてみたら、痛かったり事前に思っていたのと違う、とか、ショックで魔力回路を損傷するかもしれない。しないかもしれないが、未成年では損傷する可能性が大きいから、個別の状況はさておき、一律に未成年との行為は禁じたのだと、歴史の本には記されている」
「歴史って、ベルチノアのですか?」
ベルチノアは建国してからまだ日の浅い国だ。歴史の、というほどのものでもないのではないかと、奈々実は思った。
「違うよナナミ。この世界の歴史だ。個々の国のではない。女性には魔力があって、それを守らなければならない、この世界はそれによって成り立っているんだ。だからこの世界の摂理は、法律よりも重いんだよ」
だからつまり、セヴランが未成年の奈々実を抱いてしまった場合にはこの世界の摂理に従って自死する(去勢して生き長らえることはセヴランの選択肢には無い)から、奈々実の魔力を自由にできる期間は短いと言いたいらしい。
「ダイエットだって言って、エロいことしたのは、エッチしたことにはならないんですか?」
かなりエロいことをされたし、させられた。あれだけエロいことをしておいて、エッチはできませんって、いろいろとツッコミどころがありすぎる。
「お前の言うところの、最終形態、まではしてないからな・・・」
少し赤くなりながら、セヴランはそっぽを向く。だんだん、話題に耐えきれなくなってきたらしい。
「最終形態までしなければいいんですね?」
「まあ、・・・そうだ」
それは男の本能を無理矢理に抑え込むことだ。簡単にできれば苦労はしない。
「セヴラン様は、わたしのために、そうしてくださっているんですよね?」
「そのつもりだと言いたいが、自分のためでもあるな。軽蔑するか?」
「素直でたいへんよろしいと思います」
ぶっちゃけ、そう思う。奈々実が大事だから、もあるにしても、自分のことだって大事だと言ってくれるほうが、本音なのだと思えて安心できると思う。
「・・・」
それは、セヴランを憎んだり恨んだということになるのだろうか。奈々実が自分自身を卑下することが、セヴランを憎むことになるのか。
「お前の魔力を好きなように借りて使えることは、それはとても魅力的なことだがな、俺は欲張りだから、それを短期間で終わらせたくないし、人のためだけで終わらせるのも嫌なんだよ。これから先お前と共に生きている間ずうっと、人のためとか国のためも含めて、でもお前と自分の幸せのために、お前の魔力を使えるようにしたい」
それはすばらしい未来予想図だが、そのこととエッチをするかしないかがどう関連しているのか、奈々実は全然わからない。きょとんとしている奈々実に、セヴランはため息をつく。
「未成年のお前を抱いたら、俺はこの世界の摂理に従って自分の下半身を切り落とさなければならない。それが嫌なら自死するしかない」
「・・・は・・・?」
下半身って、下半身って、その、つまり、ソレですか? え? 切るって、つまりその、去勢するってこと?
理解するまで数分かかった。そんなの、中国の歴史小説に出て来る宦官じゃあるまいし、意味がわからない。
「なんでそんなことになっちゃうんですか?」
レイプしたのなら、犯罪だったのなら、懲罰としてそういうこともありうるかもしれない。でも、セヴランは奈々実を大切にしてくれていて、守ってくれていて、奈々実は感謝していて、それでも摂理に反するのだろうか。
「証拠が無い、証明ができない、ということなんだろうな・・・。お前だって、事前には大丈夫だと思っていたとしても、いざ、実際にしてみたら、痛かったり事前に思っていたのと違う、とか、ショックで魔力回路を損傷するかもしれない。しないかもしれないが、未成年では損傷する可能性が大きいから、個別の状況はさておき、一律に未成年との行為は禁じたのだと、歴史の本には記されている」
「歴史って、ベルチノアのですか?」
ベルチノアは建国してからまだ日の浅い国だ。歴史の、というほどのものでもないのではないかと、奈々実は思った。
「違うよナナミ。この世界の歴史だ。個々の国のではない。女性には魔力があって、それを守らなければならない、この世界はそれによって成り立っているんだ。だからこの世界の摂理は、法律よりも重いんだよ」
だからつまり、セヴランが未成年の奈々実を抱いてしまった場合にはこの世界の摂理に従って自死する(去勢して生き長らえることはセヴランの選択肢には無い)から、奈々実の魔力を自由にできる期間は短いと言いたいらしい。
「ダイエットだって言って、エロいことしたのは、エッチしたことにはならないんですか?」
かなりエロいことをされたし、させられた。あれだけエロいことをしておいて、エッチはできませんって、いろいろとツッコミどころがありすぎる。
「お前の言うところの、最終形態、まではしてないからな・・・」
少し赤くなりながら、セヴランはそっぽを向く。だんだん、話題に耐えきれなくなってきたらしい。
「最終形態までしなければいいんですね?」
「まあ、・・・そうだ」
それは男の本能を無理矢理に抑え込むことだ。簡単にできれば苦労はしない。
「セヴラン様は、わたしのために、そうしてくださっているんですよね?」
「そのつもりだと言いたいが、自分のためでもあるな。軽蔑するか?」
「素直でたいへんよろしいと思います」
ぶっちゃけ、そう思う。奈々実が大事だから、もあるにしても、自分のことだって大事だと言ってくれるほうが、本音なのだと思えて安心できると思う。
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