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第七話 アルフォンス、入寮
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幼い頃からどんな文章でも音読をすれば丸暗記できることは当たり前のことで、特にめずらしいことでもないと思っていたが、それがまさか自分以外にまで影響をもたらすとは思わなくて、アルフォンスは驚き、戸惑った。しかし実際にアルフォンスが毎日ジョフロワの前で教科書を朗読したら、ジョフロワの成績がどんどん上がって、ジョフロワは一足飛びどころか三足飛びくらい上のクラスに上がって、学年中から注目を集めていた。アルフォンスは暢気なので、その時にはまだ、自分が朗読を聞かせたからだなんてわからなかったし、考えもしなかった。
しかしジョフロワは、父親からアルフォンスの朗読のことは絶対に学校でしゃべってはいけないと言われていたのに、浮かれてペラペラとしゃべってしまった。生徒達は最初こそ半信半疑だったが、現実にイレヴンスだったジョフロワがセヴンス、そしてサードと、ありえないほど一気にクラスアップした。
「そう言えば少し前、イレヴンスからテンスに大勢クラスアップした時、イレヴンスでアルフォンスが模範朗読したよな?」
「その後、シクススでもあったよ。アルフォンスの朗読の後、大勢がフィフスに上がった」
確かにそうだった、と生徒達は騒ぎ立て、頷き合った。どんなに猛勉強をしたって、そんなに一気に成績というのは上がるものではない。だからなおさら、信じないわけにはいかなかった。
「狡いよ!」
「は?」
「そうだ! 狡い! 家でアルフォンスの朗読を聞きまくりだなんて、ジョフロワは狡い! カンニングだ!」
いや、それは違う、カンニングではないのだが、生徒達はダイヤモンド・ヴォイスなんて知らない。アルファという、そもそも稀少な選民の中の、さらに一万人にひとり、いるかいないかと言われる能力なのだ。今現在のこの国の人口が何万人なのか、生徒達はわかってないけれど、仮に百万人だったとして、アルファはだいたい一割から二割弱なので、十万人から二十万人弱。その中の一万人にひとり、ということは、国中を探して十人か二十人、いるかいないか、ということだ。
王都の城壁という、井の中の蛙の状態で育った貴族の子女は、貴族の家に生まれたがゆえに、使用人たちに傅かれ、たいせつにされて甘やかされて育ってきた。それでも中級や下級貴族の家なら、まだ世間の現実を知る環境にあった。アルファだったら上を目指せ、ベータでも貴族の端くれである以上、全力で勉強して平民を指導する立派な領主に、または国王陛下のために王政府の官吏になれと言われて勉学に勤しみ、努力をする環境にあった。
しかし上級貴族の家に生まれて、凡庸なベータであっても大家の惣領息子なのだから生まれながらの勝ち組だと蝶よ花よと甘やかされて育った者は、とにかく世間というものを知らない。ジョフロワがいい例だ。アルファだったら言われずとも努力をするかもしれないが、親が育て方を間違えたベータなんて、箸にも棒にも引っ掛からない。
この国は帝国のような超巨大国家ではないし広大でもないが、それでも近隣の諸外国の中ではまあまあ大きいほうである。王都で生まれ育った貴族の令息令嬢はよくわかっていないが、アルフォンスと同じようにアルファだから貴族学校を受験するようにと通知が来て、はるばる地方から出て来た生徒などは、国土がどのように広いものか、多少は理解している。マクロン辺境伯の領地である海側から、国の食糧庫と呼ばれるフーリエ大公領のさらに内陸、国境の山脈まで、馬で全力で駆けたとしても一ヶ月では走破できない。そもそも一か月以上の間、全力で昼夜通して不眠不休で走り続けられる馬などいるはずもないので、国土がどのくらい広いかとか、どのくらい国民がいるかとか、王都の城壁から出たことが無い貴族の子どもがわかるはずもない。
その広い国土から十人かそこらを探し出すなんて、砂山から金の粒を探し出すようなもので、ダイヤモンド・ヴォイスはそのくらい貴重な存在だ。
アルフォンスは当惑した。ダイヤモンド・ヴォイスだなんて言われても、わけがわからない。しかし皮肉なことに、ジョフロワに毎晩朗読したことでジョフロワの成績が爆上がりして、アルフォンスがダイヤモンド・ヴォイスだと証明されてしまった。知れ渡ってしまった。
アルフォンスが入寮するにあたって寮生全員に、アルフォンスに朗読を強請ってはいけない、という学長通達があった。
「ファーストクラスの授業では、普通に教科書を朗読するんだろう? だったら狡いじゃないか」
そう言ってきたのは、セカンドやサードの生徒だ。特にサードの生徒は、実際にジョフロワの口から、アルフォンスの朗読を聞くだけで教科書の内容がおもしろいように頭に入るという話を聞いているので、授業中に普通にアルフォンスが朗読するファーストの生徒ばっかり狡いと騒ぎ立てた。
「いや、学長命令で、授業中もアルフォンスは教科書を朗読しないようにって言われているよ」
マクシミリアンが言ってくれて、サードの生徒は本当だな? と何度も言ってから引き下がったけれど、図書室でダイヤモンド・ヴォイスに関して調べてきたりして、皆、あっという間にダイヤモンド・ヴォイスとはどのようなものか知ってしまった。たぶん、いちばんわかってないのは当事者であるアルフォンスだ。
「やっとあのクソ侯爵の家から逃げられたか」
アルフォンス強火担老人会表代表であるモーリスはそう言うけれど、アルフォンスとしては制服あずけ場所としてジャンの家に行かなくてもよくなってしまうので、寂しい。お手伝いもしなくてはと、気を揉むと、モーリスが笑った。
「あいつ、独りもんだからなあ、孫みたいってのはまあ違うかもしれねえが、お前さんがそう言っていたって伝えておくよ」
と言ってから、あ、と声を上げる。
「忘れてた! ジャンからお前さんに渡してくれって、頼まれていた物があったんだ!」
言って、持って来たのは大きな包みだ。
「お前さんがクソ侯爵の家で虐げられてるって、街中で噂になってたからな。ジャンの奴、もっと早く気付いてやればよかったって言ってたぜ?」
包みの中身は服だった。アルフォンスにぴったりのサイズから、少し大きくなっても着れそうなちょっと大きめのものまで、シンプルな普段着だけれどセンスのいい、厳選された仕立てのいいものだ。生家から着て来たヨレヨレの古着か、ペタン侯爵に押し付けられた成金趣味っぽい似合わない服しか持っていなかったアルフォンスのために、そろえてくれたらしい。
「いただいてしまって、いいのでしょうか?」
「いらねえなんて言ったら、ジャンが悲しむなあ」
靴も上質な皮で、足にぴったりだった。生家から履いてきた古ぼけた靴とも、ペタンに履くことを強要された派手な靴ともちがう。
「ちょっと走ってみていいですか?」
「お? ああ、靴の具合を見たいのか?」
軽い気持ちで頷いたモーリスは、外に出た瞬間、アルフォンスの姿が消えて、びっくりして目をぱちぱちさせた。
「モーリスさ~ん!」
なんだか上のほうから、アルフォンスの声が聞こえる。上からだと本当に天使の声が降って来るみたいだ。
「この靴、ものすご~く走りやすいです~っ!」
どこから聞こえてくるのかときょろきょろする。
「上で~す! 上~!」
見上げて、瞠目した。開いた口が塞がらなくなった。
アルフォンスは垂直の外壁を駆け上がり、建物から建物に飛び移り、四階とか五階の高さからひょいっと飛び降りてきた。見たものが信じられなくて、モーリスは呆気にとられた。いくら走りやすいって、走るのは普通、地面ではないのか。そもそも外壁というのは走るためのものだったか?
現在、一年生で寮に入っている者と自宅から通っている者は半々といったところだろうか。アルフォンスだって地方から出て来たのだから、最初から入寮すればよかったのだ。ペタン侯爵が手続きをしてくれなかったからできなかったけれど、アルフォンスの成績なら生活費は全額無料なのだ。
「気持ち~」
ベッドに身体を投げ出すなんて、生家を出て以来だ。ペタン侯爵邸の屋根裏部屋のベッドは、ベッドといえないような、ただの板でできた台で、身体を投げ出したりしたら硬くて痛くて痣ができただろう。
もちろんあくまで学生寮なので、ものすごくいいベッドというわけではない。しかし机とベッドと収納タンスだけの質素でシンプルな部屋でも、ペタン侯爵家の屋根裏部屋とは比べ物にならない、きちんとした部屋だ。他の寮生に遅れること半年、アルフォンスはやっと、普通の学生としての生活を始めるのだ。
ジャンがプレゼントしてくれた服一式の中には、下着や寝間着、部屋着などもあった。どれも清潔な、シンプルで仕立てのいいもので、何度も洗ってよれよれの下着しか持っていなかったアルフォンスにとっては、とても有難かった。もちろんよれよれの下着にも愛着はある。だって母の手縫いなのだから。それを何度も洗って生地が薄くなってもずっと使っていたのだ。学校がある平日はジャンがプレゼントしてくれたキレイな下着をつけて登校するが、休日は母の手縫いの古ぼけた下着で過ごしたりするアルフォンスだった。
アルフォンスはジャンにお礼の気持ちを伝えるために、週末は寮を抜け出してジャンの家に行き、せっせと掃除や家事をした。そこまでしなくてもいいとジャンもモーリスも言うのだけれど、感謝は行動で示したい。天井に蜘蛛の巣が張っていたジャンの家は、見違えるようにピカピカになった。黒ずんでほこりが溜まっていた床も、完璧に磨き上げた。ピエールのビストロも、開店前のピエールが仕込みをしている時間帯にせっせと掃除をした。小太りで背が低いピエールは天井付近の掃除が行き届いていなかったから喜んだ。そういう労働も筋トレになったし、清潔になったピエールのビストロは客が増えて売上が上がった。
ジャンはピエールをアルフォンス強火担老人会に誘ったのだが、ピエールはまだ五十代なので、俺は老人じゃねえと怒って、老人会に入るのは拒否した。けれど掃除をするアルフォンスに給金として渡すカネを少しずつ積み立て始めたので、実質は老人会に入ったに等しかった。
しかしジョフロワは、父親からアルフォンスの朗読のことは絶対に学校でしゃべってはいけないと言われていたのに、浮かれてペラペラとしゃべってしまった。生徒達は最初こそ半信半疑だったが、現実にイレヴンスだったジョフロワがセヴンス、そしてサードと、ありえないほど一気にクラスアップした。
「そう言えば少し前、イレヴンスからテンスに大勢クラスアップした時、イレヴンスでアルフォンスが模範朗読したよな?」
「その後、シクススでもあったよ。アルフォンスの朗読の後、大勢がフィフスに上がった」
確かにそうだった、と生徒達は騒ぎ立て、頷き合った。どんなに猛勉強をしたって、そんなに一気に成績というのは上がるものではない。だからなおさら、信じないわけにはいかなかった。
「狡いよ!」
「は?」
「そうだ! 狡い! 家でアルフォンスの朗読を聞きまくりだなんて、ジョフロワは狡い! カンニングだ!」
いや、それは違う、カンニングではないのだが、生徒達はダイヤモンド・ヴォイスなんて知らない。アルファという、そもそも稀少な選民の中の、さらに一万人にひとり、いるかいないかと言われる能力なのだ。今現在のこの国の人口が何万人なのか、生徒達はわかってないけれど、仮に百万人だったとして、アルファはだいたい一割から二割弱なので、十万人から二十万人弱。その中の一万人にひとり、ということは、国中を探して十人か二十人、いるかいないか、ということだ。
王都の城壁という、井の中の蛙の状態で育った貴族の子女は、貴族の家に生まれたがゆえに、使用人たちに傅かれ、たいせつにされて甘やかされて育ってきた。それでも中級や下級貴族の家なら、まだ世間の現実を知る環境にあった。アルファだったら上を目指せ、ベータでも貴族の端くれである以上、全力で勉強して平民を指導する立派な領主に、または国王陛下のために王政府の官吏になれと言われて勉学に勤しみ、努力をする環境にあった。
しかし上級貴族の家に生まれて、凡庸なベータであっても大家の惣領息子なのだから生まれながらの勝ち組だと蝶よ花よと甘やかされて育った者は、とにかく世間というものを知らない。ジョフロワがいい例だ。アルファだったら言われずとも努力をするかもしれないが、親が育て方を間違えたベータなんて、箸にも棒にも引っ掛からない。
この国は帝国のような超巨大国家ではないし広大でもないが、それでも近隣の諸外国の中ではまあまあ大きいほうである。王都で生まれ育った貴族の令息令嬢はよくわかっていないが、アルフォンスと同じようにアルファだから貴族学校を受験するようにと通知が来て、はるばる地方から出て来た生徒などは、国土がどのように広いものか、多少は理解している。マクロン辺境伯の領地である海側から、国の食糧庫と呼ばれるフーリエ大公領のさらに内陸、国境の山脈まで、馬で全力で駆けたとしても一ヶ月では走破できない。そもそも一か月以上の間、全力で昼夜通して不眠不休で走り続けられる馬などいるはずもないので、国土がどのくらい広いかとか、どのくらい国民がいるかとか、王都の城壁から出たことが無い貴族の子どもがわかるはずもない。
その広い国土から十人かそこらを探し出すなんて、砂山から金の粒を探し出すようなもので、ダイヤモンド・ヴォイスはそのくらい貴重な存在だ。
アルフォンスは当惑した。ダイヤモンド・ヴォイスだなんて言われても、わけがわからない。しかし皮肉なことに、ジョフロワに毎晩朗読したことでジョフロワの成績が爆上がりして、アルフォンスがダイヤモンド・ヴォイスだと証明されてしまった。知れ渡ってしまった。
アルフォンスが入寮するにあたって寮生全員に、アルフォンスに朗読を強請ってはいけない、という学長通達があった。
「ファーストクラスの授業では、普通に教科書を朗読するんだろう? だったら狡いじゃないか」
そう言ってきたのは、セカンドやサードの生徒だ。特にサードの生徒は、実際にジョフロワの口から、アルフォンスの朗読を聞くだけで教科書の内容がおもしろいように頭に入るという話を聞いているので、授業中に普通にアルフォンスが朗読するファーストの生徒ばっかり狡いと騒ぎ立てた。
「いや、学長命令で、授業中もアルフォンスは教科書を朗読しないようにって言われているよ」
マクシミリアンが言ってくれて、サードの生徒は本当だな? と何度も言ってから引き下がったけれど、図書室でダイヤモンド・ヴォイスに関して調べてきたりして、皆、あっという間にダイヤモンド・ヴォイスとはどのようなものか知ってしまった。たぶん、いちばんわかってないのは当事者であるアルフォンスだ。
「やっとあのクソ侯爵の家から逃げられたか」
アルフォンス強火担老人会表代表であるモーリスはそう言うけれど、アルフォンスとしては制服あずけ場所としてジャンの家に行かなくてもよくなってしまうので、寂しい。お手伝いもしなくてはと、気を揉むと、モーリスが笑った。
「あいつ、独りもんだからなあ、孫みたいってのはまあ違うかもしれねえが、お前さんがそう言っていたって伝えておくよ」
と言ってから、あ、と声を上げる。
「忘れてた! ジャンからお前さんに渡してくれって、頼まれていた物があったんだ!」
言って、持って来たのは大きな包みだ。
「お前さんがクソ侯爵の家で虐げられてるって、街中で噂になってたからな。ジャンの奴、もっと早く気付いてやればよかったって言ってたぜ?」
包みの中身は服だった。アルフォンスにぴったりのサイズから、少し大きくなっても着れそうなちょっと大きめのものまで、シンプルな普段着だけれどセンスのいい、厳選された仕立てのいいものだ。生家から着て来たヨレヨレの古着か、ペタン侯爵に押し付けられた成金趣味っぽい似合わない服しか持っていなかったアルフォンスのために、そろえてくれたらしい。
「いただいてしまって、いいのでしょうか?」
「いらねえなんて言ったら、ジャンが悲しむなあ」
靴も上質な皮で、足にぴったりだった。生家から履いてきた古ぼけた靴とも、ペタンに履くことを強要された派手な靴ともちがう。
「ちょっと走ってみていいですか?」
「お? ああ、靴の具合を見たいのか?」
軽い気持ちで頷いたモーリスは、外に出た瞬間、アルフォンスの姿が消えて、びっくりして目をぱちぱちさせた。
「モーリスさ~ん!」
なんだか上のほうから、アルフォンスの声が聞こえる。上からだと本当に天使の声が降って来るみたいだ。
「この靴、ものすご~く走りやすいです~っ!」
どこから聞こえてくるのかときょろきょろする。
「上で~す! 上~!」
見上げて、瞠目した。開いた口が塞がらなくなった。
アルフォンスは垂直の外壁を駆け上がり、建物から建物に飛び移り、四階とか五階の高さからひょいっと飛び降りてきた。見たものが信じられなくて、モーリスは呆気にとられた。いくら走りやすいって、走るのは普通、地面ではないのか。そもそも外壁というのは走るためのものだったか?
現在、一年生で寮に入っている者と自宅から通っている者は半々といったところだろうか。アルフォンスだって地方から出て来たのだから、最初から入寮すればよかったのだ。ペタン侯爵が手続きをしてくれなかったからできなかったけれど、アルフォンスの成績なら生活費は全額無料なのだ。
「気持ち~」
ベッドに身体を投げ出すなんて、生家を出て以来だ。ペタン侯爵邸の屋根裏部屋のベッドは、ベッドといえないような、ただの板でできた台で、身体を投げ出したりしたら硬くて痛くて痣ができただろう。
もちろんあくまで学生寮なので、ものすごくいいベッドというわけではない。しかし机とベッドと収納タンスだけの質素でシンプルな部屋でも、ペタン侯爵家の屋根裏部屋とは比べ物にならない、きちんとした部屋だ。他の寮生に遅れること半年、アルフォンスはやっと、普通の学生としての生活を始めるのだ。
ジャンがプレゼントしてくれた服一式の中には、下着や寝間着、部屋着などもあった。どれも清潔な、シンプルで仕立てのいいもので、何度も洗ってよれよれの下着しか持っていなかったアルフォンスにとっては、とても有難かった。もちろんよれよれの下着にも愛着はある。だって母の手縫いなのだから。それを何度も洗って生地が薄くなってもずっと使っていたのだ。学校がある平日はジャンがプレゼントしてくれたキレイな下着をつけて登校するが、休日は母の手縫いの古ぼけた下着で過ごしたりするアルフォンスだった。
アルフォンスはジャンにお礼の気持ちを伝えるために、週末は寮を抜け出してジャンの家に行き、せっせと掃除や家事をした。そこまでしなくてもいいとジャンもモーリスも言うのだけれど、感謝は行動で示したい。天井に蜘蛛の巣が張っていたジャンの家は、見違えるようにピカピカになった。黒ずんでほこりが溜まっていた床も、完璧に磨き上げた。ピエールのビストロも、開店前のピエールが仕込みをしている時間帯にせっせと掃除をした。小太りで背が低いピエールは天井付近の掃除が行き届いていなかったから喜んだ。そういう労働も筋トレになったし、清潔になったピエールのビストロは客が増えて売上が上がった。
ジャンはピエールをアルフォンス強火担老人会に誘ったのだが、ピエールはまだ五十代なので、俺は老人じゃねえと怒って、老人会に入るのは拒否した。けれど掃除をするアルフォンスに給金として渡すカネを少しずつ積み立て始めたので、実質は老人会に入ったに等しかった。
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