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10. あなただけの本
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「ミク……ミク」
うっすらと聞こえる声、辺りを見回して声のする方へとゆっくりと歩いていく。その間にも、名前を呼ぶ声が聞こえている
「これ、お母様の声……」
声の主に気づき、走ってその声のする方に向かっていく。光もなく真っ暗で何も見えない中を走り続けていくと、突然、見えない壁にぶつかった。痛そうに顔を触っていると、クスッと笑う声が聞こえた
「お母様ですか!どこ行っていたのですか?」
壁にぶつかったと思っていたのは、息を切らして叫ぶミク。微笑んでいる女の人に勢いよく抱きついた
「ゴメンねミク、心配かけちゃったわね」
背中をさすり、いつもの優しい声が聞こえて、嬉しさで更に強くぎゅっと抱きしめる
「ミク、本持ってる?」
と、ミクを体から少し離しながら語りかける女性。それを聞いて、ミクが何度も頷いた
「お母様の本ですか?もちろん、大切に持っています」
そう話しているとミクの手には、本が現れてなんの疑いもなくぎゅっと本を抱きしめる
「ありがとう。でも、それはもう私の本じゃないわ」
「これは私の本じゃなく、ミクの本よ」
と言うとミクが大事そうに抱いている本に、そっと手を置いた
「お母様……なにを……」
不思議そうにしていると、グッと力を込め本をミクの胸元に押し込んでいく。すると、本は少しずつ消えてミクは苦しそうに顔をしかめていると、二人のもとに誰かの足音が近寄ってくる
「ミク……」
名前を呼ぶ男性の声が聞こえて、その声のする方にゆっくりと顔を向けると、悲しそうな表情でミクを見ている男性がいた
「お父様……」
と呟いていると、女性がミクの体に押し込んでいた本が消えて、ホッとした表情になった二人。ミクが本が消えた事に気づいて慌てている間に、ミクから遠く離れていった二人。真っ暗な視界の中、うっすらと見える光の方へと向かっていく。急いで二人の後を追いかけようとするが、なぜか体が動けずその場に立ち尽くす
「あれ……動けない……」
と呟いた時、目眩が起きてフラフラと倒れてしまったミク。バタンと倒れた音に気づいて、一瞬二人とも振り返るが
、すぐに光の方へと歩きはじめた
「お父様……お母様……」
離れていく二人の姿を、息も絶え絶えで目も開かず、うっすらと二人の後ろ姿を見ていると、かすかにミクの耳元に声が聞こえてきた
「これ、お母様のうた……」
唄声を聞こうにも、段々と意識が遠退いていくミク。まだ聞こえる唄声も、少しずつ少しずつ聞こえなくなっていく
「あれ?このうたの続き……なんだっけ……」
「ちょっとミク!しっかりして!」
ミクが両親と再開していると同じ頃、胸をおさえ苦しそうな顔をしているミクに気づいて、リコが慌て叫んでいた
「誰か!ちょっと来て!」
叫び続けるリコの声に気づいて、女性隊員達が扉を開け、部屋の中に入ってきた
「えっと……リコさん、どうしましたか?」
「ミクの様子がおかしいの!」
と、ミクの異変に気づいてうろたえる女性隊員達に、リコが叫び指示を出す
「クルミとモモカに連絡して。あなたは、救護班を!」
「は、はいっ!」
バタバタと急いで部屋を出ていくと、部屋の前には何事かと人だかりができていた
「ミク、大丈夫?」
「お母様の……本……」
リコの言葉に返事するように、かすかに呟いたミク。その言葉を聞いたリコが、ミクの周りを見渡した
「えっ?本は……」
眠る前にミクの枕元に置いていた本を探すが、見当たらない。ベッドの下に落ちたのかと探してみても、やはり本は見当たらない
「ない……。眠る前まで、あったはずなのに……」
「ミク!リコ!どうしたの?」
リコが本を探していると、クルミとモモカが部屋にやっと着いた
「大変なの!ミクが……」
リコに言われてミクを見ると、まだ苦しそうにもがいているミクの姿があった。リコがミクの体を抱いてうろたえていると、部屋にたくさんの人達が入ってきた
「救護班、来ました!」
と隊員が連れてきた医師達が、ミクの様子を見るなりバタバタと慌てはじめた
「急いで医務室へ!」
と、担架に乗せられ連れられていったミクを見届けると、バタバタと慌ただしかった部屋が少し落ち着いた。部屋の前に集まっていた人達も少しずつ居なくなって、クルミがふぅ。と一つため息ついて、リコに問いかけた
「リコ、何があったの?」
「分からない……一緒に寝てたらミクが突然苦しみだして……」
ベッドに座り、うつ向いて離すリコを背中をさすり支えるモモカ。三人とも無言のまま時間が過ぎてく。ふぅ。と、またクルミのため息が聞こえて、部屋の入り口へと歩いていく
「とりあえず、私達も医務室へ行きましょ。話はまた後で……」
うっすらと聞こえる声、辺りを見回して声のする方へとゆっくりと歩いていく。その間にも、名前を呼ぶ声が聞こえている
「これ、お母様の声……」
声の主に気づき、走ってその声のする方に向かっていく。光もなく真っ暗で何も見えない中を走り続けていくと、突然、見えない壁にぶつかった。痛そうに顔を触っていると、クスッと笑う声が聞こえた
「お母様ですか!どこ行っていたのですか?」
壁にぶつかったと思っていたのは、息を切らして叫ぶミク。微笑んでいる女の人に勢いよく抱きついた
「ゴメンねミク、心配かけちゃったわね」
背中をさすり、いつもの優しい声が聞こえて、嬉しさで更に強くぎゅっと抱きしめる
「ミク、本持ってる?」
と、ミクを体から少し離しながら語りかける女性。それを聞いて、ミクが何度も頷いた
「お母様の本ですか?もちろん、大切に持っています」
そう話しているとミクの手には、本が現れてなんの疑いもなくぎゅっと本を抱きしめる
「ありがとう。でも、それはもう私の本じゃないわ」
「これは私の本じゃなく、ミクの本よ」
と言うとミクが大事そうに抱いている本に、そっと手を置いた
「お母様……なにを……」
不思議そうにしていると、グッと力を込め本をミクの胸元に押し込んでいく。すると、本は少しずつ消えてミクは苦しそうに顔をしかめていると、二人のもとに誰かの足音が近寄ってくる
「ミク……」
名前を呼ぶ男性の声が聞こえて、その声のする方にゆっくりと顔を向けると、悲しそうな表情でミクを見ている男性がいた
「お父様……」
と呟いていると、女性がミクの体に押し込んでいた本が消えて、ホッとした表情になった二人。ミクが本が消えた事に気づいて慌てている間に、ミクから遠く離れていった二人。真っ暗な視界の中、うっすらと見える光の方へと向かっていく。急いで二人の後を追いかけようとするが、なぜか体が動けずその場に立ち尽くす
「あれ……動けない……」
と呟いた時、目眩が起きてフラフラと倒れてしまったミク。バタンと倒れた音に気づいて、一瞬二人とも振り返るが
、すぐに光の方へと歩きはじめた
「お父様……お母様……」
離れていく二人の姿を、息も絶え絶えで目も開かず、うっすらと二人の後ろ姿を見ていると、かすかにミクの耳元に声が聞こえてきた
「これ、お母様のうた……」
唄声を聞こうにも、段々と意識が遠退いていくミク。まだ聞こえる唄声も、少しずつ少しずつ聞こえなくなっていく
「あれ?このうたの続き……なんだっけ……」
「ちょっとミク!しっかりして!」
ミクが両親と再開していると同じ頃、胸をおさえ苦しそうな顔をしているミクに気づいて、リコが慌て叫んでいた
「誰か!ちょっと来て!」
叫び続けるリコの声に気づいて、女性隊員達が扉を開け、部屋の中に入ってきた
「えっと……リコさん、どうしましたか?」
「ミクの様子がおかしいの!」
と、ミクの異変に気づいてうろたえる女性隊員達に、リコが叫び指示を出す
「クルミとモモカに連絡して。あなたは、救護班を!」
「は、はいっ!」
バタバタと急いで部屋を出ていくと、部屋の前には何事かと人だかりができていた
「ミク、大丈夫?」
「お母様の……本……」
リコの言葉に返事するように、かすかに呟いたミク。その言葉を聞いたリコが、ミクの周りを見渡した
「えっ?本は……」
眠る前にミクの枕元に置いていた本を探すが、見当たらない。ベッドの下に落ちたのかと探してみても、やはり本は見当たらない
「ない……。眠る前まで、あったはずなのに……」
「ミク!リコ!どうしたの?」
リコが本を探していると、クルミとモモカが部屋にやっと着いた
「大変なの!ミクが……」
リコに言われてミクを見ると、まだ苦しそうにもがいているミクの姿があった。リコがミクの体を抱いてうろたえていると、部屋にたくさんの人達が入ってきた
「救護班、来ました!」
と隊員が連れてきた医師達が、ミクの様子を見るなりバタバタと慌てはじめた
「急いで医務室へ!」
と、担架に乗せられ連れられていったミクを見届けると、バタバタと慌ただしかった部屋が少し落ち着いた。部屋の前に集まっていた人達も少しずつ居なくなって、クルミがふぅ。と一つため息ついて、リコに問いかけた
「リコ、何があったの?」
「分からない……一緒に寝てたらミクが突然苦しみだして……」
ベッドに座り、うつ向いて離すリコを背中をさすり支えるモモカ。三人とも無言のまま時間が過ぎてく。ふぅ。と、またクルミのため息が聞こえて、部屋の入り口へと歩いていく
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