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シャオえる

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13. 思い出の中の面影

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 医務室のベッドで眠っていたミク。目が覚めゆっくりと顔を動かすと、隣で椅子に座り壁にもたれながら眠るリコに気づいて、ぼーっと見つめている。声もかけずしばらく見つめていると、リコも目を覚ました。ミクの視線に気づくなり、勢いよくぎゅっとミクを抱きしめた
「ミク、起きた!……よかった」
「リコさん……私……」
「ここは医務室だよ。寝てたら苦しそうにしてたから……。体調はどう?」
 返事も聞こうにも、まだ少しぼーっとしているミクを見て椅子から立つと、優しく頭を撫でて微笑む
「待ってて。医療班、呼んでくるから」


「大丈夫ですね。少々疲れが出ているようですが、問題はありませんね」
 ミクの診断を終えた女医がリコに伝えると、不安が一気に解けて笑顔になったリコ
「じゃあ、すぐ部屋に戻ってもいいの?」
「ええ、ミクさんが良いのなら」
 とリコや診察した女医達みんなミクを見た。急に見られて慌てるミク
「えっ……じゃあ、部屋に戻ります。心配かけてごめんなさい……」
 と、体を起こしながらミクが話していると、ミクのとなりにリコが座った
「ミク、おんぶするよ。ここから部屋まで結構歩くから」
「でも……」
 嫌がるミクを無理矢理おんぶをする。降りようと背中の上で騒がしいミクを無視して医務室の扉を開けたリコ。二人の様子を、女医や看護師達が微笑み見ている。扉が閉まる直前に、女医が二人に声をかけた
「後で部屋に様子を見に行きますからね。二人ともお大事に」


「あの……歩きます」
「いいの。お大事にって言われたでしょ」
 リコにおんぶされて、廊下ですれ違う人たちに見られて少し恥ずかしそうなミク。だが、リコは気にせず歩いていく
「ここね、とても広い建物で、寝ていた寝室もここから結構遠いの。私も来た時、よくモモカとクルミと一緒に迷子になってたんだよ」
 楽しそうに話すリコの話を聞きながら、寝室に戻る前に、魔術本部の中を気分転換も兼ねて見ていくミクとリコ
「体調がもうちょっと良くなったら、もう少し本部の中を見て回ろっか?」
「……はい」

「リコ、ミクちゃん」
 後ろから名前を呼ばれて振り返ると、ミクの家に行っていたはずのクルミとモモカがいた
「あれ?もう帰ってきたの?まだちょっとしか経ってないけど……」
「そう、雨降っちゃってね。急いで調べて帰ってきたの」
 と話すクルミの手にある荷物に気づいたミクが驚き指を指す
「あの……それ……」
 ミクが指差したのは、居なくなった日の夜、母様に読んでもらおうと思っていた絵本と同じものだった
「これ?ミクの家から持ってきたよ。持っておく?」
「はい。でも、大丈夫ですか?」
「ミクの家にあったものだもの。大丈夫だよ」
 リコのおんぶから降りて、クルミから絵本を受け取ると、ぎゅっと抱きしめ嬉しそうな顔のミク。その顔を見てリコ達も微笑んで見ていると、廊下の真ん中で話をしていたミク達に気づいた人影が近寄っていた


「三人とも、なにしてる?」
 急に話しかけられて声のする方に振り返ると、機嫌の悪そうなレイがリコ達を見ていた
「レイさんこそ、どうしたんですか?」
「仮眠を取りにな。それより、その娘は?」
 こちらに近寄ってくる見知らぬ男性に、ミクが慌ててリコの背中に隠れた
「ミクです。目が覚めたので一度寝室に戻ろうかとしていたところで……」

 リコが話していると、背を少しかがめミクの顔に近寄っていくレイ。見られないように絵本で顔を隠すミク。うろたえるミクの様子に、心配そうに見守るリコ達。チラッと一瞬見えたミクの顔を見て、レイがクスッと不敵に笑う
「よく似ているな。これから面倒になりそうだ」
 レイが呟いた言葉に戸惑うリコ達。不安そうにリコの服をつかみ、まだ顔を隠そうとしているミクを確認し終えたのか、ゆっくりと立ち上がるとレイがリコ達に話しかけた
「三人とも、夜に一度集まるように。それまで、きちんと体を休めておけよ」
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