ぱすてるランページ

58. 困り事は、笑ってごまかして

「これは、困ったな……」
　リコ達の報告書を読みながら、ため息ついているレイ。報告書をバサッと机に投げると、またため息ついて椅子に背もたれた
「まあ、唄ったらどうなるかとは、何となく気づいてはいるかな……」
　と、一人呟いていると、コンコンと扉を叩く音が聞こえてきた
「どうぞ」
　レイが返事をするとゆっくりと扉が開いて、恐る恐る女性隊員が扉から顔を出した

「あの……会議に参加しろと……相当怒っているようで……」
　部屋に入りレイに報告をすると、不安そうな隊員達に思わず苦笑いした
「そうかい。それは、面倒だなぁ」
　隊員からの話を聞いて笑うレイに、隊員達の不安は増えていく。そんな隊員達の様子も気にせず、机の上の散らばった報告書を片付けはじめた
「そうだ。リコ達に、報告書を読んだことを伝えてくれるかい？」
「はい。了解しました」
「それで、リコ達はどこに？」
「今は食事をしています。午後からどうするかと悩んでいるそうですが……」
　と、話していると片付けを終え、少し椅子に背もたれながら、隊員達の顔を見ながら話をまたはじめた
「じゃあ、出掛けるならあまり遠くへは行かないようにと伝えてて。遅くもならないようにと」
「……はい。ですが、大丈夫ですか？」　
「本部にとっては、あの子はもう用無しだからね。文句は言わないよ」
　心配する素振りもなく微笑み話すレイ。隊員達は顔を見合わせ、レイの話の内容に少し戸惑っている様子でレイを見ている

「それで、会議の場所はどこ？」
「前と同じ会議室です」
「わかった。後で会議室に向かうよ。君達も、あまりそんな顔せずに美味しいお昼ご飯食べに行っといで」
　話をしても、まだ不安そうな表情の隊員達に笑って話すレイ。そう言われた隊員達は、ぎこちない笑顔でペコリと頭を下げた

「……はい。では、失礼します」
　静かに部屋を出ていった隊員達。部屋の前の廊下を歩く足音が遠退いて、足音が聞こえなくなると、レイが深いため息をつき、ミクと同じ本を出した。パラパラと本を開き白紙のページが少ない本を見て、ポツリと呟いた
「この本も、書き終えるのか……。いったいどうなることやら……」