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60. その力を手放すわけにはいかない
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「お腹一杯だねー。これからどうしようか」
会議室の様子を知らないミクとリコ達は、部屋でのんびりと過ごし午後の予定を考えていた
「散歩がてらに、街に出てみる?」
「いいね。美味しいお菓子屋も探そう」
ベッドに座ってミクの髪をとかしていたリコが、クルミの提案にご機嫌で返事をした
「お腹一杯じゃないの?」
「おやつは別腹だよ。ねぇ、ミク」
「はい。おやつは別腹です」
リコに笑顔で話しかけられ、つられて笑顔で答えるミク。
二人の楽しそうな会話に、クルミとモモカも、ふぅ。とため息つきながら微笑み見ている。四人の明るい声が廊下まで聞こえている中、コン……コン……。とためらいがちにミクの部屋の扉を叩く音が聞こえた
「はい、どうぞ」
ご機嫌で返事をするミク。ガチャっと部屋の扉が開くと、部屋の雰囲気とは違い、どこか暗い表情で隊員達が部屋の中に入ってきた
「ミクさんはいますか?」
女性隊員が微かな声でそう言うと、全員の視線がミクに向かう。急に注目を浴び、慌てて隣にいたリコの背中に隠れた
「今すぐ、会議室に来るようにと……」
「えっ?ミクだけ?」
「いえ、三人も来ても構わないと」
「なんだろ……」
隊員達の様子から不穏な雰囲気を感じつつも、全員、ミクの部屋を出ていく。無言で廊下を歩いていくミクとリコ達。その後ろから歩く隊員達の話し声も聞こえないまま、会議室の前に着いた
「君がミク君かね」
「……はい」
会議室の中では、いつもの会議よりも重々しい雰囲気が溢れていた。部屋にいる人々の注目を浴びる中、部屋の真ん中に座っている男性がミクに質問し、それに恐る恐る答えたミク。その様子を、側で見守るリコ達の表情も強張っている
「あの本……」
「今頃なら我らの手の内に……」
ミクが持ってきた絵本と本を凝視しながら、ヒソヒソと話す声が聞こえる中、ミクに質問していた男性がミクのもとに近寄ってくる。その間も、レイはミク達の様子を見て見ぬふり。リコ達が視線を送っても気づかないふりをして、何度も読んだはずの資料をまた読みはじめた
「君は、とても強い魔力を持つ者だ。本の力、うたの力は計り知れない」
と、ミクの前に立つと、ぎゅっと強く抱いている絵本と本を見つめる。少し後退りするミクに、リコがミクの側に少しずつ近寄っていく
「だからこそ、君をすぐ手放すわけにはいかない」
と言うと、入り口付近にいた隊員達を見た
「……連れていけ」
と、その一言にミクの周りに隊員達が集まっていく。グイグイと体を押され、戸惑っているうちに会議室から隊員達と共に部屋を出ていった
「……えっ、どこに」
突然の出来事に、動けずただミクが隊員達と一緒に部屋を出る姿を見届けてしまったリコ達。パタンと扉が閉じる音が聞こえると、やっと我にかえったリコが後を追うように扉の方に駆け寄っていく
「待って!ミク!」
「この娘は、新たな本の糧になる。それは、さらに強い本のため。そして私達、魔術本部の為に本は必要。少々手荒いが致し方ない」
と、ため息混じりに話す男性。その話を慌てふためいて全く聞いていないリコ達は、扉の前で騒ぎ扉を開けないようにしている隊員達と揉めていた。ゆっくりとリコ達の所に近寄っていく男性は、三人の後ろから話しかけた
「君達はこれを持って、娘の保護任務を終了とする」
とリコ達にそう伝えていると、騒がしい騒動の中、ただ一人顔色一つ変えることなく淡々と資料を読んでいたレイが、コホンと咳払いをした。その不自然な咳払いに、気づいた男性がクスッと笑うと、リコ達の前にいた隊員達に声をかけた
「会議は終わりにする。娘の監視は厳重にな」
会議室の様子を知らないミクとリコ達は、部屋でのんびりと過ごし午後の予定を考えていた
「散歩がてらに、街に出てみる?」
「いいね。美味しいお菓子屋も探そう」
ベッドに座ってミクの髪をとかしていたリコが、クルミの提案にご機嫌で返事をした
「お腹一杯じゃないの?」
「おやつは別腹だよ。ねぇ、ミク」
「はい。おやつは別腹です」
リコに笑顔で話しかけられ、つられて笑顔で答えるミク。
二人の楽しそうな会話に、クルミとモモカも、ふぅ。とため息つきながら微笑み見ている。四人の明るい声が廊下まで聞こえている中、コン……コン……。とためらいがちにミクの部屋の扉を叩く音が聞こえた
「はい、どうぞ」
ご機嫌で返事をするミク。ガチャっと部屋の扉が開くと、部屋の雰囲気とは違い、どこか暗い表情で隊員達が部屋の中に入ってきた
「ミクさんはいますか?」
女性隊員が微かな声でそう言うと、全員の視線がミクに向かう。急に注目を浴び、慌てて隣にいたリコの背中に隠れた
「今すぐ、会議室に来るようにと……」
「えっ?ミクだけ?」
「いえ、三人も来ても構わないと」
「なんだろ……」
隊員達の様子から不穏な雰囲気を感じつつも、全員、ミクの部屋を出ていく。無言で廊下を歩いていくミクとリコ達。その後ろから歩く隊員達の話し声も聞こえないまま、会議室の前に着いた
「君がミク君かね」
「……はい」
会議室の中では、いつもの会議よりも重々しい雰囲気が溢れていた。部屋にいる人々の注目を浴びる中、部屋の真ん中に座っている男性がミクに質問し、それに恐る恐る答えたミク。その様子を、側で見守るリコ達の表情も強張っている
「あの本……」
「今頃なら我らの手の内に……」
ミクが持ってきた絵本と本を凝視しながら、ヒソヒソと話す声が聞こえる中、ミクに質問していた男性がミクのもとに近寄ってくる。その間も、レイはミク達の様子を見て見ぬふり。リコ達が視線を送っても気づかないふりをして、何度も読んだはずの資料をまた読みはじめた
「君は、とても強い魔力を持つ者だ。本の力、うたの力は計り知れない」
と、ミクの前に立つと、ぎゅっと強く抱いている絵本と本を見つめる。少し後退りするミクに、リコがミクの側に少しずつ近寄っていく
「だからこそ、君をすぐ手放すわけにはいかない」
と言うと、入り口付近にいた隊員達を見た
「……連れていけ」
と、その一言にミクの周りに隊員達が集まっていく。グイグイと体を押され、戸惑っているうちに会議室から隊員達と共に部屋を出ていった
「……えっ、どこに」
突然の出来事に、動けずただミクが隊員達と一緒に部屋を出る姿を見届けてしまったリコ達。パタンと扉が閉じる音が聞こえると、やっと我にかえったリコが後を追うように扉の方に駆け寄っていく
「待って!ミク!」
「この娘は、新たな本の糧になる。それは、さらに強い本のため。そして私達、魔術本部の為に本は必要。少々手荒いが致し方ない」
と、ため息混じりに話す男性。その話を慌てふためいて全く聞いていないリコ達は、扉の前で騒ぎ扉を開けないようにしている隊員達と揉めていた。ゆっくりとリコ達の所に近寄っていく男性は、三人の後ろから話しかけた
「君達はこれを持って、娘の保護任務を終了とする」
とリコ達にそう伝えていると、騒がしい騒動の中、ただ一人顔色一つ変えることなく淡々と資料を読んでいたレイが、コホンと咳払いをした。その不自然な咳払いに、気づいた男性がクスッと笑うと、リコ達の前にいた隊員達に声をかけた
「会議は終わりにする。娘の監視は厳重にな」
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