ぱすてるランページ

シャオえる

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76. 見覚えのある景色と面影

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「あの……あの……」
 急ぎ早しで廊下を歩くレイの後ろを、必死に追いかけるミク。後ろから戸惑うミクの声を無視していたレイがやっと、話はじめた
「急いで三人を探そう。本を持って消えている。急がねば」
「でも、どうやって……」
「魔術捜索隊に探させよう。リコ達なら居場所が突き止められるだろうから……」
 と、返事をしていると後ろにいたはずのミクの気配が消えて後ろを振り返ると、廊下の真ん中に立ち止まり、グスグスとまた泣きはじめていた
「私のせいです……私が本を渡さなければ、リコさん達は……」
 涙を拭い話すミクに、周りにいた女性隊員達が慌てて駆け寄っていく
「君のせいじゃない。本を読んだレグスが悪い。落ち込むことはない」
 ハンカチを受け取り、涙を拭くミクを見ながら話すレイ。しばらくミクの様子を見ていると、落ち着いてきたのかゆっくりと立ち上がり、トボトボと歩きはじめた
「それよりも、三人も君を心配しているだろうから、急いで探そう」
「……はい」
 心配そうに見ている隊員達に、ペコリとお辞儀をすると再び歩きはじめたミク。レイも歩きはじめ、後ろから聞こえてくるミクの足音を聞きながら、魔術捜索隊のいる部屋へと向かっていく



「リコ。起きてリコ」
 その頃、クルミが寝ているリコの体を揺らし起こしていた。ゆらゆらと何度も体を揺らされ、やっと目が覚めたリコ。ガバッと体を起こして、キョロキョロと辺りを見回していく
「ここ……どこ?」
「良かった。起きた……」
 元気そうなリコに、ホッと安堵するクルミとモモカ。側にあったミクの本を見つけ、拾いながら立ち上がると、見覚えある目の前の景色に呆然としている
「ここ……。見覚えあるような……」
「多分、ミクの家があった場所だと思う」
「本当だ……。でも、どうして?」
 と、戸惑いつつ話す三人。動かず辺りを見渡していると、近くでガサッと草が動く音が聞こえた
「誰っ!」
 リコが音のする方に向かって叫ぶ。クルミとモモカもリコの視線の先に目を向ける。すると、ガサガサと草むらをかき分ける音が近づいてくる。その音が近づくにつれ、息を飲むリコ達。ガサッと音をたて、女性が草むらの中から顔を出した

「あらあら、こんにちは」
「こ、こんにちは……」
 リコ達を見て、ニッコリ笑って挨拶をしてきた女性につられて、挨拶を返すリコ達。木々に覆われた周りの雰囲気とは違い、フワフワと舞う綺麗なワンピースを着ている女性に、三人とも不思議そうな表情で顔を見合わせている

「迷子?私達も迷子になったの」
 と、三人の様子も気にせず楽しそうに話をする女性。話の深刻そうな感じとは違い、ニコニコ笑うその人にクルミとモモカが戸惑いを隠せないでいると、リコが話の内容に首をかしげた
「私達……ですか?」
 と、リコが女性に問いかけていると、またガサガサと草むらをかき分ける音が聞こえてきた。近づいてくる音が、女性の側に止まると、側に男性の姿が現れた

「おや、その服は魔術本部の人たちかな?」
 リコ達を見て微笑む男性がリコ達に話しかけていると、女性が体をそっと寄り添いクスッと笑う
「はい、そうですが……」
 クルミが男性に返事をしていると、リコがミクの本を二人に見られないように背中に隠した
「私達、本を探しているの。見てないかしら」
「本……ですか?」
 クルミが問いかけ返していると、リコが一瞬、背中にある本を見た。そんなリコの動きを気づきつつも、クルミの質問に返事をした
「ええ、とても大切な本なのだけど……」
「ああ、娘との大切な本なんだ」
 と、微笑み見つめあいながら話す二人。その男性が微笑む横顔を見たリコが、驚いた表情でクルミとモモカの服を引っ張った

「ねぇ、あの人……レイさんに似てない?」
 ヒソヒソと話したリコの言葉を聞いてすぐ、クルミとモモカが二人の顔を見た
「そういえば、あの女の人もミクに似ているような……」
 クルミがヒソヒソと話していると、女性がリコ達を見てクスッと笑った。また男性と見つめあい二人微笑むと、嬉しそうにリコ達に話しかけた
「あらあら、いけない。そろそろ、おいとましますわ。ぜひ、また会えますように……」
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