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5. 雨が振るその前に
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学園を出てしばらくすると、ガヤガヤと騒がしい街に出た。シアと一緒に道に迷うことなくスタスタ歩くミコトの背後でライアが服を強くつかんで不安そうにキョロキョロと見渡している
「そういえば、さっき何の秘薬を試していたの?」
「えーとねぇ……」
二人が楽しそうに話す声も、街行く人たちの歩き声や会話と緊張でライアまで届かず少し顔を上に向けミコトを見ようとした時、ミコトが突然立ち止まり背中に顔をぶつけた
「このパン屋さん行こっか。美味しいんだよ」
少し先にあるお店を指差しながら背後で顔を擦るライアに声をかける。頬を触りながら、ミコトが指差す先にあるガレットと書かれたお店を見ると、ライアが返事をする間もなく、ミコトがライアの腕をつかんでパン屋に向かって走り出した
「ちょっと待って」
人混みに紛れそうになる二人をシアが慌てて追いかける。追い付く前にお店の前に着いたミコトが扉を開けるとカランと鐘の音が一度お店の中に響いた
「いらっしゃいミコト。久しぶりだね」
「ブランおじさん、久しぶり」
レジの前にいた白髪の男性にミコトが声をかけているその背後でライアがミコトの背中に隠れつつブランを見る。ブランもライアに気づいて二人目線が合う。睨まれたと思ったライアがミコトの背中に顔を隠し、店内に並ぶパンがある方にパタパタと早足で向かっていった。ミコトてブランがその様子を見ていると、シアが遅れてお店に入ってきた。入ってすぐたくさんの種類が並ぶパンに目を輝かせているライアを見つけ、シアも様子を見ながらミコトの側に向かう。しばらく三人でライアを見ていると、レジがある所から更に奥の部屋から一人初老の女性が出てきた
「あら二人とも久しぶりね」
「マリーおばさん、お久しぶりです」
二人に声をかけながらブランの隣についたマリーにシアが返事をする。少し会話をしていると、コツッとライアが歩いた音が聞こえて、ブランとマリーがライアに目線を向けた
「おや、あの子は?」
「ライアだよ。さっき空から落ちてきたんだ」
「空から……」
マリーの質問にミコトが答えるとブランとマリーが顔を見合わせる。その様子にミコトとシアも首をかしげ顔を見合わせる。と、その時パンを見ていたライアの側にある窓からポツポツと雨音が聞こえてきた
「雨だ……」
ライアが窓を見てポツリと呟く。静かな店内に小さな声もミコト達まで聞こえて、全員がライアが見つめる窓を見た
「本当だ。もう急いで帰らないと……」
段々と強くなっていく雨音にミコトとシアが焦りだし、窓の側にいるライアを呼ぶ
「じゃあ帰るならこれを持っていきなさい」
と、レジの側にあったクッキーの袋を三つ手に取り一人ずつ手渡していく
「いいんですか?」
「ええ、もちろん」
ミコトとマリーの会話を聞きながら最後にクッキーを受け取ったライアが不思議そうにクッキーの袋を眺めている
「ほら、大雨になる前に帰らないと」
「そうだった。マリーおばさん、ありがとうございます」
「ありがとうございます」
シアやミコトがブランにお礼を言った後にライアも少し頭を下げお礼を言う
「二人とも行くよ」
一足先に店の前に居たシアが呼ぶと、ミコトがライアの手を握り駆け足でシアの元に向かい、三人急いでアスター学園の方に走り出した
「今日はもう店を閉めようか」
ブランが店前で三人を見送るマリーに声をかけながらレジを触ると、マリーが店の扉のカランと鐘の音を鳴らしながらお店の看板を閉じた
「あの子が来た日もこんな天気だったな」
手慣れた様子で片付けをしながらブランが呟く。マリーが小さく頷いて同じく片付けをはじめると、空に雲が増え、店内の中が少し暗くなりはじめ、マリーが窓から外を見る
「そうですね。嵐になるかもしれませんから、急いで私達も帰りましょう」
「そういえば、さっき何の秘薬を試していたの?」
「えーとねぇ……」
二人が楽しそうに話す声も、街行く人たちの歩き声や会話と緊張でライアまで届かず少し顔を上に向けミコトを見ようとした時、ミコトが突然立ち止まり背中に顔をぶつけた
「このパン屋さん行こっか。美味しいんだよ」
少し先にあるお店を指差しながら背後で顔を擦るライアに声をかける。頬を触りながら、ミコトが指差す先にあるガレットと書かれたお店を見ると、ライアが返事をする間もなく、ミコトがライアの腕をつかんでパン屋に向かって走り出した
「ちょっと待って」
人混みに紛れそうになる二人をシアが慌てて追いかける。追い付く前にお店の前に着いたミコトが扉を開けるとカランと鐘の音が一度お店の中に響いた
「いらっしゃいミコト。久しぶりだね」
「ブランおじさん、久しぶり」
レジの前にいた白髪の男性にミコトが声をかけているその背後でライアがミコトの背中に隠れつつブランを見る。ブランもライアに気づいて二人目線が合う。睨まれたと思ったライアがミコトの背中に顔を隠し、店内に並ぶパンがある方にパタパタと早足で向かっていった。ミコトてブランがその様子を見ていると、シアが遅れてお店に入ってきた。入ってすぐたくさんの種類が並ぶパンに目を輝かせているライアを見つけ、シアも様子を見ながらミコトの側に向かう。しばらく三人でライアを見ていると、レジがある所から更に奥の部屋から一人初老の女性が出てきた
「あら二人とも久しぶりね」
「マリーおばさん、お久しぶりです」
二人に声をかけながらブランの隣についたマリーにシアが返事をする。少し会話をしていると、コツッとライアが歩いた音が聞こえて、ブランとマリーがライアに目線を向けた
「おや、あの子は?」
「ライアだよ。さっき空から落ちてきたんだ」
「空から……」
マリーの質問にミコトが答えるとブランとマリーが顔を見合わせる。その様子にミコトとシアも首をかしげ顔を見合わせる。と、その時パンを見ていたライアの側にある窓からポツポツと雨音が聞こえてきた
「雨だ……」
ライアが窓を見てポツリと呟く。静かな店内に小さな声もミコト達まで聞こえて、全員がライアが見つめる窓を見た
「本当だ。もう急いで帰らないと……」
段々と強くなっていく雨音にミコトとシアが焦りだし、窓の側にいるライアを呼ぶ
「じゃあ帰るならこれを持っていきなさい」
と、レジの側にあったクッキーの袋を三つ手に取り一人ずつ手渡していく
「いいんですか?」
「ええ、もちろん」
ミコトとマリーの会話を聞きながら最後にクッキーを受け取ったライアが不思議そうにクッキーの袋を眺めている
「ほら、大雨になる前に帰らないと」
「そうだった。マリーおばさん、ありがとうございます」
「ありがとうございます」
シアやミコトがブランにお礼を言った後にライアも少し頭を下げお礼を言う
「二人とも行くよ」
一足先に店の前に居たシアが呼ぶと、ミコトがライアの手を握り駆け足でシアの元に向かい、三人急いでアスター学園の方に走り出した
「今日はもう店を閉めようか」
ブランが店前で三人を見送るマリーに声をかけながらレジを触ると、マリーが店の扉のカランと鐘の音を鳴らしながらお店の看板を閉じた
「あの子が来た日もこんな天気だったな」
手慣れた様子で片付けをしながらブランが呟く。マリーが小さく頷いて同じく片付けをはじめると、空に雲が増え、店内の中が少し暗くなりはじめ、マリーが窓から外を見る
「そうですね。嵐になるかもしれませんから、急いで私達も帰りましょう」
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