シンフォニー・レイ

シャオえる

文字の大きさ
1 / 110

1. 憧れの街は、危険な街

しおりを挟む
「やっと、着いた!」
 人混みのなか、大声をあげ注目を浴びる女の子が一人いた。今日は日曜日。学校が休みの今日、思いきって憧れだった街へとやって来た
「やっぱり都会はスゴいなぁ……。噂通りだ……」
 高い建物や人の多い中、あたふたと一人歩き続け、見たこともない物や食べ物、あっちこっちと見て回っていく
「ねー、聞いた?また避難勧告出たらしいよ……」
「あぁ、またすぐ出るかもしれないらしいな……」
 隣でカップルが話している。ここ最近、原因不明の避難勧告が、よく世界中で流れていた
「避難勧告か……ここの避難場所は……」
 話し声を聞いて慌てて探し始める。キョロキョロと辺りを見渡しても、人だかりや周りの音で、探すどころか人波にのまれて、同じ場所を行ったり来たり。迷子になりかけた時、街中から、サイレンの音が鳴り響く

『緊急事態です。町の皆さんは、至急避難をお願いします』

「えっ?急に?」
 一瞬にして街に悲鳴と怒号があちらこちらと聞こえてくる。老若男女問わず騒ぎ、みんな何処かへ走り出す
「避難、避難場所……」
 大分遅れて、人々が走っていく場所へ一緒に向かう。バタバタと店が閉じ、人々も散らばり何処かへ逃げていく。一緒に走っていたとはいえ、初めての場所。避難場所を見つけられず、街中に一人残されてしまった

「どうしよう……」
 一人寂しさを紛らせようと、鼻唄を歌いながら静かになった街を歩いていく。だが、いくら探せど避難場所は見当たらない

「……いた。見つけた」
 鼻唄が微かに聞こえたのか、誰かがこちらを見ている。遠くから黒い服の女の子と、同じ服を着て髪を一つに纏めている女性が見ている
「待て、あれは一般人だ。目的とは違うぞ」
「……そんなの知らないよ。居る方が悪い」
 勝手に行こうとする女の子を止める女性。静かな街に、木々が揺れる音が後ろから聞こえてくる

「……なに?」
 避難勧告中にも関わらず、未だにのんびり街を歩いていた
。誰かがこちらへ向かってくる。ぶつかる。そう思った瞬間ギュッと目をつぶった
「あっぶないなぁ!大丈夫?」
 声が聞こえて恐る恐る目を開けると、さっきの子とは違う知らない女の子の腕の中。体は空に浮いている。何が起こったか分からない上に、落ちる怖さで表情が曇る
「……残念。外された」
 地上では悔しそうな様子の女の子が一人、こちらを見ていた。さっきまで側にあった木々数本が無惨に倒されている
「君、さっさと避難して!死にたいの?」
「でも、避難場所が……」
 空からゆっくり降りながら怒られ、避難をしろと言われても、場所が分からず、また辺りをキョロキョロと見渡してく

「……今がチャンス」
 相手にされず、ボーッと二人を見ていた女の子。隙ありとばかりに、またこちらへ向かってくる。立ち止まり、その場から避難場所を探していた二人。不意打ちに避けることが出来ず立ちすくむ。またぶつかる。そう思ったとき二人の前に、
「何している?隙を見せるなんて、死にたいの?」
 間一髪、味方だろうか髪の長い女性が攻撃を防いでいた
「……いえ、すみません」

「また、外された。むかつく」
 攻撃を避けられ苛立つ黒い服の女の子の隣に、先程攻撃を止めていた髪を纏めていた女性が駆けより、こちらを見て不敵に笑う
「来たか。この前は世話になったな。借りを倍にして返しに来たぞ」
「それは、いい迷惑な話だことで……」
 微笑み睨みあう四人。一人会話にはいれず、後退りをしながら、四人を交互に顔を見る
「……なにこれ?なに?」
「あなた、まだいたの?いいから早く……」 
 避難することなく、まだ後ろにいたのを叱る女性。助けてくれた女の子も避難場所を探して、キョロキョロ辺りを見渡す。黒い服の二人が、三人の様子をクスクスと笑い鼻唄まじりに、こちらへ向かってくる
「まぁ、素敵。私たちに隙を見せるなんて死にたいんでしょ?」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

幽閉王女と指輪の精霊~嫁いだら幽閉された!餓死する前に脱出したい!~

二階堂吉乃
恋愛
 同盟国へ嫁いだヴァイオレット姫。夫である王太子は初夜に現れなかった。たった1人幽閉される姫。やがて貧しい食事すら届かなくなる。長い幽閉の末、死にかけた彼女を救ったのは、家宝の指輪だった。  1年後。同盟国を訪れたヴァイオレットの従兄が彼女を発見する。忘れられた牢獄には姫のミイラがあった。激怒した従兄は同盟を破棄してしまう。  一方、下町に代書業で身を立てる美少女がいた。ヴィーと名を偽ったヴァイオレットは指輪の精霊と助けあいながら暮らしていた。そこへ元夫?である王太子が視察に来る。彼は下町を案内してくれたヴィーに恋をしてしまう…。

復讐のための五つの方法

炭田おと
恋愛
 皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。  それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。  グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。  72話で完結です。

二十年仕えた王女が私を敵に売った。それでも守ることにした

セッシー
ファンタジー
二十年間、王女殿下の護衛騎士として仕えた。その殿下が、私を敵に売った。 牢の中で事実を知り、一分考えて——逃げることにした。殿下の目的を、まだ果たしていないから。 裏切りの真相を確かめるため、一人王都へ戻る護衛騎士の話。

断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜

深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。 処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。 なぜなら彼女は―― 前世で“トップインフルエンサー”だったから。 処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。 空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。 タイトルは―― 『断罪なう』。 王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。 すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、 国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。 そして宣言される、前代未聞のルール。 支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。 処刑台は舞台へ。 断罪はエンタメへ。 悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。 これは、 処刑されるはずだった悪役令嬢が、 “ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。 支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、 それとも――自由か。

第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。

黒ハット
ファンタジー
 前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。  

処理中です...