シンフォニー・レイ

シャオえる

文字の大きさ
5 / 110

5. 早く帰ることが最善策

しおりを挟む
「ここから出て、一時間経ってもなく戻ってきたと」
 そう話す男性の前には、医務室のベットで寝ているツミキの姿
「はい……ごめんなさい」
 ベットの側には、また怪我をさせていしまい落ち込むカエデと、機嫌の悪そうなミオリがいた
「避難場所を教えず帰した、こちらの責任でもあるが……」
 ため息ついて話す男性に、ちょっと怯えるカエデ。しばらくツミキを見たあと、二人の方に顔を向ける
「ミオリ君、カエデ君」
「……はい」
 カエデが小さく返事をする。その返事を聞いた男性は、無言で医務室の入り口へと歩くと、振り向くことなくまた二人に話しかける
「このツミキという少女が起き次第、自宅へ送るように」
 そう話終えると、一人先に医務室へ出ていった。残った二人。ツミキの側にある椅子に座るカエデと、壁に背もたれるミオリ。無言のままツミキが目を覚ますのを待ち続けていく

「あれ?ここ……」
 しばらくして目が覚めたツミキが、ゆっくりと体を起こす
「ツミキさん、起きましたか?」
 話しかけたのはカエデ。だが話しかけられても、頭が回らず、しばらくカエデの顔を見ながらボーっとする
「あれ?カエデさん……ここは」
「そう、さっきまでいた医務室」
 話を聞きながら、キョロキョロと辺りを見渡すと、壁に背もたれたまま、こちらを見ているミオリに気づく。目線に気づいたミオリ。一瞬ツミキを見ると、すぐ目をそらした

「カエデさん、あの子は?」
 ツミキが助け狙ってきた女の子が医務室に見当たらず、隣にいるカエデに聞いても、困った表情でツミキを見る 
「これ以上知る必要の無いことです。傷も完治していると思います。早速ここから立ち退かねば」
 答えられずにいるカエデに代わり、ミオリがツミキの元に歩みよりながら答えていく

「ミオリさん、そんなすぐ……」
 強めの口調で話すミオリを止めるカエデ。ツミキを見つめ淡々と話を続けてく
「また時間が過ぎ、あの子たちが来たとして、また避難に間に合わないと困る。早く帰る方が良い」
「そうですが……」
 沈黙が流れてく医務室。嫌な雰囲気にツミキがうつ向き小さく呟く
「……帰ります」
「そうだな。自宅まで送るよう命じられている。一緒に行こうか」
 表情を変えることなく、また淡々と話すミオリに戸惑うカエデと、話しかけてもうつ向いたままのツミキ。二人の雰囲気に気づいてか今度は優しく声をかける
「カエデも行く。それなら安心だろう?」
 ミオリの言葉に、顔を見合わせるツミキとカエデ。照れてはにかむ二人を見てミオリも微笑み、三人の笑い声が医務室に響く
「では、帰ろうか。二人とも道案内よろしく」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

復讐のための五つの方法

炭田おと
恋愛
 皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。  それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。  グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。  72話で完結です。

公爵令嬢アナスタシアの華麗なる鉄槌

招杜羅147
ファンタジー
「婚約は破棄だ!」 毒殺容疑の冤罪で、婚約者の手によって投獄された公爵令嬢・アナスタシア。 彼女は獄中死し、それによって3年前に巻き戻る。 そして…。

〈完結〉遅効性の毒

ごろごろみかん。
ファンタジー
「結婚されても、私は傍にいます。彼が、望むなら」 悲恋に酔う彼女に私は笑った。 そんなに私の立場が欲しいなら譲ってあげる。

死んだはずの貴族、内政スキルでひっくり返す〜辺境村から始める復讐譚〜

のらねこ吟醸
ファンタジー
帝国の粛清で家族を失い、“死んだことにされた”名門貴族の青年は、 偽りの名を与えられ、最果ての辺境村へと送り込まれた。 水も農具も未来もない、限界集落で彼が手にしたのは―― 古代遺跡の力と、“俺にだけ見える内政スキル”。 村を立て直し、仲間と絆を築きながら、 やがて帝国の陰謀に迫り、家を滅ぼした仇と対峙する。 辺境から始まる、ちょっぴりほのぼの(?)な村興しと、 静かに進む策略と復讐の物語。

第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。

黒ハット
ファンタジー
 前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。  

処理中です...