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17. 月夜が欠けるその前に
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「嫌だ。入らない。帰る」
「ワガママ言わない。ほら、一緒にさっさと入るよ」
お風呂に入りたがらないナギの手を無理矢理引っ張るノア。抵抗してもグイグイと引っ張られ続け、そのままノアに一緒にお風呂場へと連れていかれた
「大丈夫かな?」
「まあ、いつもの事だから。気にしないで」
お風呂場から聞こえるナギの叫び声に、不安そうなノエルにミコトが苦笑いで答えていると、観念したのかナギの声も聞こえなくなり、ミコトがふぅ。とため息つきながらお菓子を食べはじめた
「でもスゴいね。あんな二人とも傷だらけだったのに元気になってるなんて……」
と、ノエルが空っぽになったコップを持ちながら呟くとミコトとモカが振り向いた
「そういえば、ノエルはあまり治癒魔法は得意じゃなかったね」
コップにお茶を注ぎながらそう言うモカに、ナギにお茶を全部飲まれてしまったミコトのコップを差し出しながらミコトが頷く
「うんまあ、使うほど怪我もしなかったからね」
「そうそう。それで私の方が得意になったもんね、相手の怪我を治すために」
と二人の会話を聞いて、ノエルが驚き戸惑いだし持っていたお茶の入ったコップを落としそうになった
「私、人に怪我させるようなことを……」
「まあ、みんなお互い様だから。気にしないで」
ノエルの気持ちを落ち着かせようとお菓子を渡すミコト。だが、ナギと沢山食べていてお腹いっぱいになっているノエル。ニコニコと微笑むミコトを見て断りきれず、お菓子を受け取り一緒に頬張った
「君の学園の子が戻ってきたそうだね」
「こちらとしては、良い魔術を持つ学生も泣く泣く手放しているというのに不公平じゃないかい?」
その頃、ミコト達の学園の屋上では、一人夜風に当たっていたクリスに誰かがため息混じりに話しかけてきた。声のする方に振り向くと、少し離れた場所に数名ほど人が立っている姿が見えた
「そうですか?貴方達も隠れて連れ戻そうとしているじゃないですか。お互い様ですよ」
月夜のせいで薄暗く顔が見えないその人達にクスッと笑いながら答えるクリスの言葉を、暗闇にいる人達は何も答えずただ聞いている
「ですが、ミコト君とは違い生徒達が術に飲み込まれて帰って来れなくなっているとも聞いてますし……」
と、クリスが言うと暗闇の中から一歩進む足音が聞こえ、急にクリス達の間に少し緊迫した雰囲気が流れ出す
「それを知ってて、あの生徒に術を許可したのか」
「ええ、そうですよ。ミコト君の魔力と覚えていないとはいえ、ノエル君の魔力も残っていますからね」
「……相変わらず変わった奴だな」
ニコニコと笑って答えるクリスに、呆れながらも苛ついた様子で返事をする暗闇の人達に、クリスがくるりと背を向け出入り口の方へと歩き出した
「さて、そろそろ僕は失礼しますよ。もうすぐ月が欠ける頃ですので……」
「ワガママ言わない。ほら、一緒にさっさと入るよ」
お風呂に入りたがらないナギの手を無理矢理引っ張るノア。抵抗してもグイグイと引っ張られ続け、そのままノアに一緒にお風呂場へと連れていかれた
「大丈夫かな?」
「まあ、いつもの事だから。気にしないで」
お風呂場から聞こえるナギの叫び声に、不安そうなノエルにミコトが苦笑いで答えていると、観念したのかナギの声も聞こえなくなり、ミコトがふぅ。とため息つきながらお菓子を食べはじめた
「でもスゴいね。あんな二人とも傷だらけだったのに元気になってるなんて……」
と、ノエルが空っぽになったコップを持ちながら呟くとミコトとモカが振り向いた
「そういえば、ノエルはあまり治癒魔法は得意じゃなかったね」
コップにお茶を注ぎながらそう言うモカに、ナギにお茶を全部飲まれてしまったミコトのコップを差し出しながらミコトが頷く
「うんまあ、使うほど怪我もしなかったからね」
「そうそう。それで私の方が得意になったもんね、相手の怪我を治すために」
と二人の会話を聞いて、ノエルが驚き戸惑いだし持っていたお茶の入ったコップを落としそうになった
「私、人に怪我させるようなことを……」
「まあ、みんなお互い様だから。気にしないで」
ノエルの気持ちを落ち着かせようとお菓子を渡すミコト。だが、ナギと沢山食べていてお腹いっぱいになっているノエル。ニコニコと微笑むミコトを見て断りきれず、お菓子を受け取り一緒に頬張った
「君の学園の子が戻ってきたそうだね」
「こちらとしては、良い魔術を持つ学生も泣く泣く手放しているというのに不公平じゃないかい?」
その頃、ミコト達の学園の屋上では、一人夜風に当たっていたクリスに誰かがため息混じりに話しかけてきた。声のする方に振り向くと、少し離れた場所に数名ほど人が立っている姿が見えた
「そうですか?貴方達も隠れて連れ戻そうとしているじゃないですか。お互い様ですよ」
月夜のせいで薄暗く顔が見えないその人達にクスッと笑いながら答えるクリスの言葉を、暗闇にいる人達は何も答えずただ聞いている
「ですが、ミコト君とは違い生徒達が術に飲み込まれて帰って来れなくなっているとも聞いてますし……」
と、クリスが言うと暗闇の中から一歩進む足音が聞こえ、急にクリス達の間に少し緊迫した雰囲気が流れ出す
「それを知ってて、あの生徒に術を許可したのか」
「ええ、そうですよ。ミコト君の魔力と覚えていないとはいえ、ノエル君の魔力も残っていますからね」
「……相変わらず変わった奴だな」
ニコニコと笑って答えるクリスに、呆れながらも苛ついた様子で返事をする暗闇の人達に、クリスがくるりと背を向け出入り口の方へと歩き出した
「さて、そろそろ僕は失礼しますよ。もうすぐ月が欠ける頃ですので……」
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