ストラグルガールズ

シャオえる

文字の大きさ
21 / 136

21. 戻ってきてくれて嬉しい

しおりを挟む
「ミコトから食べなよ……」
「えー、何で私から……」
「ミコトがノエルを呼んだんだよ。ミコトが一番に食べるべき」
「でも……」
 ナギとモカとヒソヒソと話をするミコト。テーブルに沢山並んだノエルが作った朝ごはんに、ノアも含めた四人が不安と困惑した顔をして見つめている
「何でみんな食べないの?」
 と、キッチンからスープを持ってきたノエルが手付かずのご飯を見て不思議そうに問いかけると、モカがミコトの服をグイグイと引っ張った
「そうだよ、ミコト。早く食べないと」
「でも、モカだって食べてないじゃん」
「だって……」
 ヒソヒソと話すモカとナギに、ノエルがしょんぼりとし始めた。それに気づいたミコトがグッと息を飲むと、分けて置かれていたおかずを手に取り、ふぅ。と一つ深呼吸をした
「いただきます!」
 大きく口を開けて頬張るミコト。モグモグと食べるその様子を全員が息を飲み見守っている
「美味しい!なんで?」
 驚きながらノエルを見るミコト。モグモグと食べながら話しかけるミコトに、ちょっと引き気味にノエルが答える
「なんでって……。よくご飯は作ってたから……」
 と、返事をしているとナギが恐る恐るご飯を一口頬張った
「本当だ、美味しい。ミコト、料理教えたの?」
「ううん、教えてもいつも失敗してたし……。こんな美味しいご飯初めて」
 二人の会話を聞いて、ノアとモカもご飯を食べはじめ、美味しいご飯に思わず二人目を合わせた

「ノエル、術の調合や錬金術は得意だったけど、料理は本当にダメだったから……」
「そうそう、調合が得意な人って、料理とか掃除とか得意な人多いんだけど、ノエルは何度教えてもダメで、苦手だったんだけど……」
と、四人の反応に戸惑っていたノエルに、ミコトが苦笑いで話していると、モカがその話に頷いていると、ご飯を頬張っていたナギがポツリと呟いた
「……戻ってきてくれて嬉しい」
 その声を聞いたノエル達が、きょとんとした顔でナギを見る。その視線を感じたナギが少し照れた顔をして顔を背けた
「ノエルに会った時、イラついていたくせに」
「それはノエルがっ!」
 と、ミコトに慌てて言い返していると、ふと視線を感じて恐る恐るノエルの方に振り向くと、ナギの言葉を聞いて嬉しそうな顔をしたノエルがいた
「私、ご飯おかわり持ってくるね!」
 と、お茶碗を持ってバタバタとキッチンへと走っていったノエル。バタンとリビングの扉が閉まり、ノアがふぅ。とため息をついた
「ノエル、まだ大丈夫そうだね」
「うん、そうだね……」
「このまま、記憶が戻ってきてくれたら良いけど……」
 と、ノアとミコトが話していると、口いっぱいににご飯を頬張っているナギがまたポツリと呟いて、モカがナギの頭をそっと撫でた。そんな二人を見たミコトがお皿を持って立ち上がると、リビングの扉を開けながら三人に向かってポツリと呟いた
「ノエルに何か起きる前に早く動かなきゃ。みんなで本を探しに行こう」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

クラス最底辺の俺、ステータス成長で資産も身長も筋力も伸びて逆転無双

四郎
ファンタジー
クラスで最底辺――。 「笑いもの」として過ごしてきた佐久間陽斗の人生は、ただの屈辱の連続だった。 教室では見下され、存在するだけで嘲笑の対象。 友達もなく、未来への希望もない。 そんな彼が、ある日を境にすべてを変えていく。 突如として芽生えた“成長システム”。 努力を積み重ねるたびに、陽斗のステータスは確実に伸びていく。 筋力、耐久、知力、魅力――そして、普通ならあり得ない「資産」までも。 昨日まで最底辺だったはずの少年が、今日には同級生を超え、やがて街でさえ無視できない存在へと変貌していく。 「なんであいつが……?」 「昨日まで笑いものだったはずだろ!」 周囲の態度は一変し、軽蔑から驚愕へ、やがて羨望と畏怖へ。 陽斗は努力と成長で、己の居場所を切り拓き、誰も予想できなかった逆転劇を現実にしていく。 だが、これはただのサクセスストーリーではない。 嫉妬、裏切り、友情、そして恋愛――。 陽斗の成長は、同級生や教師たちの思惑をも巻き込み、やがて学校という小さな舞台を飛び越え、社会そのものに波紋を広げていく。 「笑われ続けた俺が、全てを変える番だ。」 かつて底辺だった少年が掴むのは、力か、富か、それとも――。 最底辺から始まる、資産も未来も手にする逆転無双ストーリー。 物語は、まだ始まったばかりだ。

英雄召喚〜帝国貴族の異世界統一戦記〜

駄作ハル
ファンタジー
異世界の大貴族レオ=ウィルフリードとして転生した平凡サラリーマン。 しかし、待っていたのは平和な日常などではなかった。急速な領土拡大を目論む帝国の貴族としての日々は、戦いの連続であった─── そんなレオに与えられたスキル『英雄召喚』。それは現世で英雄と呼ばれる人々を呼び出す能力。『鬼の副長』土方歳三、『臥龍』所轄孔明、『空の魔王』ハンス=ウルリッヒ・ルーデル、『革命の申し子』ナポレオン・ボナパルト、『万能人』レオナルド・ダ・ヴィンチ。 前世からの知識と英雄たちの逸話にまつわる能力を使い、大切な人を守るべく争いにまみれた異世界に平和をもたらす為の戦いが幕を開ける! 完結まで毎日投稿!

靴屋の娘と三人のお兄様

こじまき
恋愛
靴屋の看板娘だったデイジーは、母親の再婚によってホークボロー伯爵令嬢になった。ホークボロー伯爵家の三兄弟、長男でいかにも堅物な軍人のアレン、次男でほとんど喋らない魔法使いのイーライ、三男でチャラい画家のカラバスはいずれ劣らぬキラッキラのイケメン揃い。平民出身のにわか伯爵令嬢とお兄様たちとのひとつ屋根の下生活。何も起こらないはずがない!? ※小説家になろうにも投稿しています。

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

屈辱と愛情

守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。

断罪まであと5秒、今すぐ逆転始めます

山河 枝
ファンタジー
聖女が魔物と戦う乙女ゲーム。その聖女につかみかかったせいで処刑される令嬢アナベルに、転生してしまった。 でも私は知っている。実は、アナベルこそが本物の聖女。 それを証明すれば断罪回避できるはず。 幸い、処刑人が味方になりそうだし。モフモフ精霊たちも慕ってくれる。 チート魔法で魔物たちを一掃して、本物アピールしないと。 処刑5秒前だから、今すぐに!

処理中です...