これくしょんブック

シャオえる

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4. 名前を呼んで

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「疲れたー」
 ルカと学校帰りに、あっちこっち寄り道して、ご機嫌で帰宅したアカリ。部屋に入ってすぐ、ベットにゴロゴロと横になったり、背伸びをしたりして、ちょっとだけ疲れをとってると、枕元に置きっぱなしだった本を思い出して、ガバッと体を起こす
「あっ、あの本!」
 慌てて枕元を見ると、本がポツンと置かれていた
「まだある……」
 本を手に取ると机に置いて、パラパラとページをめくる
「やっぱり何も書かれてない……」
 ページに触れても、何も起きないまま。本を何度もめくっては戻ってを繰り返していると、一階にあるリビングから、アカリを呼ぶ声が聞こえてきた

「アカリ!夕御飯!」
「あ、はい!」
 兄の呼ぶ声に、本を机に置いて慌てて着替えて、リビングへと向かうアカリ
「お父さん、また出張なんだよね……」
 リビングに着くと、もう夕御飯の準備がされていたテーブル。話をしながら椅子に座ると、カタンと音をたてて兄も向かいに座って、一緒に夕御飯
「あまり、父さんを心配させるなよ。アカリが落ち込んでいるって連絡きた」
「ごめんなさい……」
 しょんぼりするアカリを見て、ふぅ。とため息つくと、ご飯を一口、二口と食べていく
「さっさと食って寝ろ。あまり、嫌なことは背負い込むな」
「……うん。ありがとう」




「まただ……」
 気がつくと目の前は真っ暗。アカリは動くことなく真っ暗と分かっていても、キョロキョロと辺りを見渡している
「アカリ、どうして呼んでくれないの?私は待っているのに……」
 悲しい声でアカリに問いかける。
「名前、つけてくれたでしょ?だから、早く呼んで!」
 大声でハッと目が覚める。ゆっくりとベットから降りて、机に置きっぱなしだった本の元へいくと、手に取り月明かりでほんのり見える本に向かって呟いた
「この本の名前……」 
 夢の中で言われたことと、考えた名前を思い出す

「……ヒカリ」
 と、また本に向かってアカリが呟いた瞬間、突然本がパラパラとページが光り動き出す。驚いて本を落としてしまうアカリ。コツンと本が床に落ちる音が響く
「やっと呼んでくれたのね、アカリ」
 本から溢れ出ていた光が消えて、現れたのはネコのぬいぐるみのような不思議なもの。うーんと一つ背伸びをして、ふぅ。とため息もついた
「やっぱり本よりかは楽ね」
 機嫌のよさそうな反応に、呆然とするアカリ。ふわり浮いて机のもとに戻ると、またふぅ。とため息をつく
「本が……喋った……?あれ?でも姿が……ネコ?」
「そうね。ネコなんて、なかなかのセンスね。ウサギよりかは私に合うかしらね」
 アカリの戸惑いも気にせず、相変わらず機嫌のいい返事で、本から変わった姿を確認している

「あのー……ヒカリさん?」
 アカリの何度かの問いかけに、やっと気がついたヒカリ。ふわりと浮いて、アカリの所に近寄ってく
「改めまして……」
 アカリの方を向き直して微笑むと、ちょっとだけ雰囲気が変わった感じがして、また戸惑うアカリにペコリと頭を下げた
「アカリ。これから、よろしくね」
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