これくしょんブック

40.知り合いの人は意外な人

「どうしよう……食べきれない」
　ボウルの形で出来上がったアカリのプリン。みんなで半分は食べ終えた頃には、みんなお腹一杯で食べられず、どうしようかと困っていた
「残りの分は持って帰って、夕御飯のおやつにしちゃう？」
　先にルカが型に分け入れていたプリンも冷蔵庫に冷やしたまま。
「じゃあ、この大きなプリンは貰っていい？」
　ユイがプリンを食べながらルカに聞くと、

「ええ……でも大丈夫ですか？」
「うん。ママもルカちゃんのお菓子食べたがってたから、ちょうど良かったよ」
「それ、ルカが作ったというより……」
　嬉しそうに話すユイに、リリが思わず話に割ってはいる
「まあ、いいじゃん。それより明日も来るの？」
「いえ、もうほとんど終わりなので、明日は学校行かないと……」
　ルカ達が運べない荷物以外は、ほとんど片付け終えて、後はアカリの家へ運ぶだけになり、大分広くなったルカの家。ほんの少しだけ、しんみりするルカの気持ちを遮るように、ヒカリが声を大きく、話しだす
「そうね、アカリも眠らなかったし、もう大丈夫じゃないの？」
　と言いながら、アカリをちらりと見るヒカリ。お腹一杯で、ミナモとモナカと一緒にソファーで寝転んでいた。それを見たユイもうーんと背伸びをして、リリと一緒にソファーに横になって、ルカに話しかけた
「それじゃ二人とも。明日、学校終わったらアカリちゃん家に遊びにいくからね」



「アカリちゃん、体調大丈夫？」
　ルカの家からの帰り道、もうすぐアカリの家へ着きそうな時、急に本による影響が心配になったルカが声をかける
「大丈夫だよ。ゴメンね、ルカちゃん。心配かけて」
「ううん。私こそ迷惑かけてるから……」
　と話ながら、落ち込むルカの手をつかんで、微笑むアカリ。そのままルカの手を引っ張って、家まで二人走って帰ってく

「ただいまー！」
　そのまま走って家に着いた二人。元気よく帰宅の挨拶をする
「おかえり」
「……おかえり」
　二人の声を聞いて、キッチンからノドカとテンション低めのミツキの声が聞こえてきた。二人の声がするキッチンへご機嫌で向かうアカリ
「お父さん、お兄ちゃん。あのね、ルカちゃんのプリン……」
　と話ながらなぜか、キッチンの入り口で固まるアカリ。少し遅れてルカがアカリの隣からキッチンを覗きこむ
「アカリちゃん、どうしたの？」
　と言いながらルカが見たのは、夕御飯を作るノドカと、不機嫌そうに、テーブルでお茶を飲むミツキ。その向かいに見たことのある後ろ姿があった

「二人とも、おかえり」
「お父さん……あの……」
　ノドカが声をかけて、アカリがあたふたしていると、アカリの声を聞いてカグヤがゆっくりと振り返る。恐怖で思わず一歩下がるアカリを見てノドカが二人の間に立つように、アカリに話しかける
「ああ、お父さんの知り合いの子でね。近くに来るって言ってたから、ここに寄ってもらったんだよ」
「へ……へえ……」
　ノドカの話も上の空で返事をしていると、アカリが持っていたプリンが入った袋を受けとると、二人に微笑む
「プリンありがとう。夕御飯の後にみんなで食べようか」
　ノドカの言葉に小さく頷くアカリ。ルカの手を取って、　
「……う、うん。お部屋でご飯出来るの待ってるね」