42 / 85
42.悲しい思い出を月夜と共に
しおりを挟む
アカリ達が眠りについた深夜、そーっと起きて、窓から部屋を出るヒカリ。来るのを待っていたように、カグヤがアカリの家の少し離れた空に、ふわりと一人浮いていた
「こんばんは。眠れないの?」
クスッと笑って、話しかけるヒカリ。声を聞いて、パタンと本を閉じて、ゆっくりと振り返り、後ろにいたヒカリに話しかける
「……なんで、ここにいるんだ?」
「決まってるじゃないの。アカリに呼ばれたからよ」
と話ながらカグヤに近寄ってく。少し離れた距離が、二人の緊張感が流れる
「スズの時も楽しかったけれど、今も楽しい時代なのね」
カグヤの緊張感も気にせず、楽しそうに話すヒカリ。その姿を、無言で見ていたカグヤ。少しの沈黙のあと、ヒカリに話しかける
「……願いは叶いそうなのか?」
「どうかしら?それは、これから次第ね」
「本の主は、とても魔力が足りるとは思えないが……」
「そうね。だからこそ、アカリの周りには、力を持つものが集まってきている。もちろん、あなたも……」
ヒカリの言葉で会話が止まり、またお互い無言の時が流れてく
「だが、それでも足りないだろう……。また悲しむ姿を見たくなければ、さっさとあの子から離れるべきだ」
再び話始めたカグヤの話を聞いて、ヒカリが不思議そうな顔でカグヤを見る
「あなた……私の願い、知っているの?」
「いや……。だが、そうであろうというメモが残されていた。もし、そっちの願いが叶うのなら、魔力が足りないということも、知っていたようだからな」
と話すカグヤの言葉に、納得するヒカリ。なにかを思い出して、またクスッと微笑む
「さすがスズね。勘が良かったものね」
「まさかと思っていたが、あの子に集まる人々をみても、そうであろうと確信している。曾祖母の二の舞になる前に、離れるべきだ」
「優しいのね。アカリの心配してくれるの?」
「いや、その願いが不服だからこそ言っている」
と言い返すとヒカリに背を向け、どこかへ行こうとするカグヤ。アカリの家から離れて月夜に消えてく姿に、ヒカリがカグヤを呼び止める
「あら、帰るの?今日は泊まるんじゃないの?」
「本が使えないその家はつまらん……」
と言うと、どこかへと行ってしまったカグヤ。一人残されたヒカリは、静かにアカリの部屋に戻って、ベットで寝ているアカリとルカの寝顔を見ると、アカリの頬にそっと触れる
「悲しい姿は、一緒に居れば見ることはないわ」
「こんばんは。眠れないの?」
クスッと笑って、話しかけるヒカリ。声を聞いて、パタンと本を閉じて、ゆっくりと振り返り、後ろにいたヒカリに話しかける
「……なんで、ここにいるんだ?」
「決まってるじゃないの。アカリに呼ばれたからよ」
と話ながらカグヤに近寄ってく。少し離れた距離が、二人の緊張感が流れる
「スズの時も楽しかったけれど、今も楽しい時代なのね」
カグヤの緊張感も気にせず、楽しそうに話すヒカリ。その姿を、無言で見ていたカグヤ。少しの沈黙のあと、ヒカリに話しかける
「……願いは叶いそうなのか?」
「どうかしら?それは、これから次第ね」
「本の主は、とても魔力が足りるとは思えないが……」
「そうね。だからこそ、アカリの周りには、力を持つものが集まってきている。もちろん、あなたも……」
ヒカリの言葉で会話が止まり、またお互い無言の時が流れてく
「だが、それでも足りないだろう……。また悲しむ姿を見たくなければ、さっさとあの子から離れるべきだ」
再び話始めたカグヤの話を聞いて、ヒカリが不思議そうな顔でカグヤを見る
「あなた……私の願い、知っているの?」
「いや……。だが、そうであろうというメモが残されていた。もし、そっちの願いが叶うのなら、魔力が足りないということも、知っていたようだからな」
と話すカグヤの言葉に、納得するヒカリ。なにかを思い出して、またクスッと微笑む
「さすがスズね。勘が良かったものね」
「まさかと思っていたが、あの子に集まる人々をみても、そうであろうと確信している。曾祖母の二の舞になる前に、離れるべきだ」
「優しいのね。アカリの心配してくれるの?」
「いや、その願いが不服だからこそ言っている」
と言い返すとヒカリに背を向け、どこかへ行こうとするカグヤ。アカリの家から離れて月夜に消えてく姿に、ヒカリがカグヤを呼び止める
「あら、帰るの?今日は泊まるんじゃないの?」
「本が使えないその家はつまらん……」
と言うと、どこかへと行ってしまったカグヤ。一人残されたヒカリは、静かにアカリの部屋に戻って、ベットで寝ているアカリとルカの寝顔を見ると、アカリの頬にそっと触れる
「悲しい姿は、一緒に居れば見ることはないわ」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
靴屋の娘と三人のお兄様
こじまき
恋愛
靴屋の看板娘だったデイジーは、母親の再婚によってホークボロー伯爵令嬢になった。ホークボロー伯爵家の三兄弟、長男でいかにも堅物な軍人のアレン、次男でほとんど喋らない魔法使いのイーライ、三男でチャラい画家のカラバスはいずれ劣らぬキラッキラのイケメン揃い。平民出身のにわか伯爵令嬢とお兄様たちとのひとつ屋根の下生活。何も起こらないはずがない!?
※小説家になろうにも投稿しています。
クラス最底辺の俺、ステータス成長で資産も身長も筋力も伸びて逆転無双
四郎
ファンタジー
クラスで最底辺――。
「笑いもの」として過ごしてきた佐久間陽斗の人生は、ただの屈辱の連続だった。
教室では見下され、存在するだけで嘲笑の対象。
友達もなく、未来への希望もない。
そんな彼が、ある日を境にすべてを変えていく。
突如として芽生えた“成長システム”。
努力を積み重ねるたびに、陽斗のステータスは確実に伸びていく。
筋力、耐久、知力、魅力――そして、普通ならあり得ない「資産」までも。
昨日まで最底辺だったはずの少年が、今日には同級生を超え、やがて街でさえ無視できない存在へと変貌していく。
「なんであいつが……?」
「昨日まで笑いものだったはずだろ!」
周囲の態度は一変し、軽蔑から驚愕へ、やがて羨望と畏怖へ。
陽斗は努力と成長で、己の居場所を切り拓き、誰も予想できなかった逆転劇を現実にしていく。
だが、これはただのサクセスストーリーではない。
嫉妬、裏切り、友情、そして恋愛――。
陽斗の成長は、同級生や教師たちの思惑をも巻き込み、やがて学校という小さな舞台を飛び越え、社会そのものに波紋を広げていく。
「笑われ続けた俺が、全てを変える番だ。」
かつて底辺だった少年が掴むのは、力か、富か、それとも――。
最底辺から始まる、資産も未来も手にする逆転無双ストーリー。
物語は、まだ始まったばかりだ。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
英雄召喚〜帝国貴族の異世界統一戦記〜
駄作ハル
ファンタジー
異世界の大貴族レオ=ウィルフリードとして転生した平凡サラリーマン。
しかし、待っていたのは平和な日常などではなかった。急速な領土拡大を目論む帝国の貴族としての日々は、戦いの連続であった───
そんなレオに与えられたスキル『英雄召喚』。それは現世で英雄と呼ばれる人々を呼び出す能力。『鬼の副長』土方歳三、『臥龍』所轄孔明、『空の魔王』ハンス=ウルリッヒ・ルーデル、『革命の申し子』ナポレオン・ボナパルト、『万能人』レオナルド・ダ・ヴィンチ。
前世からの知識と英雄たちの逸話にまつわる能力を使い、大切な人を守るべく争いにまみれた異世界に平和をもたらす為の戦いが幕を開ける!
完結まで毎日投稿!
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる