これくしょんブック

シャオえる

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42.悲しい思い出を月夜と共に

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 アカリ達が眠りについた深夜、そーっと起きて、窓から部屋を出るヒカリ。来るのを待っていたように、カグヤがアカリの家の少し離れた空に、ふわりと一人浮いていた
「こんばんは。眠れないの?」
 クスッと笑って、話しかけるヒカリ。声を聞いて、パタンと本を閉じて、ゆっくりと振り返り、後ろにいたヒカリに話しかける

「……なんで、ここにいるんだ?」
「決まってるじゃないの。アカリに呼ばれたからよ」
 と話ながらカグヤに近寄ってく。少し離れた距離が、二人の緊張感が流れる

「スズの時も楽しかったけれど、今も楽しい時代なのね」
 カグヤの緊張感も気にせず、楽しそうに話すヒカリ。その姿を、無言で見ていたカグヤ。少しの沈黙のあと、ヒカリに話しかける
「……願いは叶いそうなのか?」
「どうかしら?それは、これから次第ね」
「本の主は、とても魔力が足りるとは思えないが……」
「そうね。だからこそ、アカリの周りには、力を持つものが集まってきている。もちろん、あなたも……」
 ヒカリの言葉で会話が止まり、またお互い無言の時が流れてく

「だが、それでも足りないだろう……。また悲しむ姿を見たくなければ、さっさとあの子から離れるべきだ」
 再び話始めたカグヤの話を聞いて、ヒカリが不思議そうな顔でカグヤを見る
「あなた……私の願い、知っているの?」
「いや……。だが、そうであろうというメモが残されていた。もし、そっちの願いが叶うのなら、魔力が足りないということも、知っていたようだからな」
 と話すカグヤの言葉に、納得するヒカリ。なにかを思い出して、またクスッと微笑む
「さすがスズね。勘が良かったものね」
「まさかと思っていたが、あの子に集まる人々をみても、そうであろうと確信している。曾祖母の二の舞になる前に、離れるべきだ」
 
「優しいのね。アカリの心配してくれるの?」
「いや、その願いが不服だからこそ言っている」
 と言い返すとヒカリに背を向け、どこかへ行こうとするカグヤ。アカリの家から離れて月夜に消えてく姿に、ヒカリがカグヤを呼び止める
「あら、帰るの?今日は泊まるんじゃないの?」
「本が使えないその家はつまらん……」
 と言うと、どこかへと行ってしまったカグヤ。一人残されたヒカリは、静かにアカリの部屋に戻って、ベットで寝ているアカリとルカの寝顔を見ると、アカリの頬にそっと触れる
「悲しい姿は、一緒に居れば見ることはないわ」
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