84 / 85
84.一緒にいる嬉しさはいつまでも
しおりを挟む
「いくら、スズがルカちゃんと一緒に時を進めても、ほとんど本を書き終え、本棚も消えているのだから、もう遅い……」
アカリの腕から抜け出して、またページを書きはじめたヒカリ。だが、先程よりも書く速度は更に遅くなって、苛立ちはじめる。あと数行書いたら終わりというところで、また後ろからヒカリを抱きしめた
「アカリ……」
さっきまでの強い力とは違い優しく抱きしめるアカリに、ページを書くのを止めるヒカリ。ちょっとだけ体に寄せたアカリの顔を見ると、アカリが優しく微笑んでいた
「ヒカリ、ゴメンね。ヒカリの願い叶えたいけど、その願いは、私やルカちゃん、ユイさんにミナモ君、カグヤさんもみんな泣いちゃうから……。だから、ルカちゃんやスズさんにも手伝ってもらって、今からヒカリに私の願い叶えてもらおうかなって……」
「アカリの願い……」
二人が話しているとスズが二人を包むように抱きしめた。そして三人、ヒソヒソと秘密の会話を話しはじめる。アカリ達の後ろ姿をユイ達が不安そうに見ていると、すぐ側で、まだ本を書き進めていたルカが、力尽きてゆっくりと倒れてしまった。さっきよりも熱くなっている体を支えるルナ。そして、アカリとスズとの話が終わったのか、ルカ達の様子を見るヒカリの表情はどこか暗い。ゆっくりとアカリ達の方に振り向くと、優しく微笑み頷くアカリとスズ。ヒカリも小さく頷いて、本の姿に戻りページを書きはじめた
ヒカリがページを書きはじめると、本を書き進めていたルカのペースも早くなって、更に苦しそうなルカ。それでも最後のページをアカリとヒカリと一緒に書き終えた。ぐったりと倒れこむアカリとルカ。しばらくすると、消えかけていたヒカリの本棚が、少しずつもとに戻りはじめた。ヒカリの本棚の姿が、ユイ達の周りにも現れはじめた時、消えていたはずのリリがユイの前に現れた
「リリ!」
大声で駆け寄り、リリを力強く抱きしめるユイ。予想以上の強さで抱きしめて息苦しそうなリリ。離れようとしても離さないユイに、ふぅ。と微笑みため息ついて、頭を撫でた
「モナカ……」
「あらあら、ミナモ、泣いているの?泣き虫ね」
リリから少し遅れて、モナカもミナモの目の前に現れた。嬉しさで泣いているミナモを見て、クスッと笑っている
「カグヤ。ただいま」
アンズもカグヤの隣に現れると微笑みカグヤの頬に触れると、カグヤがアンズをそっと優しく抱きしめた
「……おかえり、アンズ」
アカリが書き終えたページが、ヒカリの本棚の隅にヒラヒラと飛んでいく。中身が空っぽになった本は、また新たな真っ白なページが加わり、アカリのもとに飛んでいく
「楽しい思い出も美味しいおやつも、たくさん貰わなかったら、消えちゃうからね」
本からネコの姿に変えて、アカリから顔を背けて話すヒカリ。ヒカリの言葉を聞いたアカリが頷いて、またぎゅっとヒカリを抱きしめるていると、部屋の外では騒がしい声と足音が、段々と部屋に近づいてくる音が聞こえてくる
「アカリ!ヒナタ!」
バタバタと大勢の本の管理人を引き連れ現れたノドカとミツキ。いるとは思っていなかった二人の登場に、アカリが驚いた顔をする
「お父さん、お兄ちゃん……。どうしてここに?」
「アカリ、無事でよかった……」
ノドカとミナモが元気そうなアカリを見て、ホッとしているとヒナタもアカリの側に来て、同じく元気そうなアカリの手をつかんで微笑んでいると、本の管理人がノドカの側に来て、何やら頷いて話をしている
「ここは、一旦出てアカリ達の手当てをしよう。聞きたい話は後で……」
「ルカ!」
アカリがノドカ達と話していると、ルカもページを書き終え、疲れた顔で座り込む。ルカの本もまた新しくページが加わり、本の姿のサクラが戻ってきたのを見て、泣き顔で抱きつくルナ。顔を赤く泣いているのを見て、ルカが笑う
「お母さん。泣きすぎだよ。大丈夫って言ったのに……」
「ごめんね。本当によかった……」
ルカの元気な声を聞いて、ホッとして泣き笑うルナ。サクラも本からネコの姿に変えて、二人の間に無理矢理入り、一緒に笑っている
「スズ……」
アカリがノドカ達と話していると、アカリから離れて本棚の周りをキョロキョロと見て回り、消えていったスズの姿をヒカリが探している。それに気づいたアカリが話しかけた
「……ヒカリ、泣いてるの?」
「泣いて……」
目を擦りごまかそうとするヒカリに、クスッと笑ってヒカリの両手をつかみ、ぎゅっと優しく抱きしめた
「帰ろうヒカリ。お家に帰って、一緒におやつ作って食べよう」
アカリの腕から抜け出して、またページを書きはじめたヒカリ。だが、先程よりも書く速度は更に遅くなって、苛立ちはじめる。あと数行書いたら終わりというところで、また後ろからヒカリを抱きしめた
「アカリ……」
さっきまでの強い力とは違い優しく抱きしめるアカリに、ページを書くのを止めるヒカリ。ちょっとだけ体に寄せたアカリの顔を見ると、アカリが優しく微笑んでいた
「ヒカリ、ゴメンね。ヒカリの願い叶えたいけど、その願いは、私やルカちゃん、ユイさんにミナモ君、カグヤさんもみんな泣いちゃうから……。だから、ルカちゃんやスズさんにも手伝ってもらって、今からヒカリに私の願い叶えてもらおうかなって……」
「アカリの願い……」
二人が話しているとスズが二人を包むように抱きしめた。そして三人、ヒソヒソと秘密の会話を話しはじめる。アカリ達の後ろ姿をユイ達が不安そうに見ていると、すぐ側で、まだ本を書き進めていたルカが、力尽きてゆっくりと倒れてしまった。さっきよりも熱くなっている体を支えるルナ。そして、アカリとスズとの話が終わったのか、ルカ達の様子を見るヒカリの表情はどこか暗い。ゆっくりとアカリ達の方に振り向くと、優しく微笑み頷くアカリとスズ。ヒカリも小さく頷いて、本の姿に戻りページを書きはじめた
ヒカリがページを書きはじめると、本を書き進めていたルカのペースも早くなって、更に苦しそうなルカ。それでも最後のページをアカリとヒカリと一緒に書き終えた。ぐったりと倒れこむアカリとルカ。しばらくすると、消えかけていたヒカリの本棚が、少しずつもとに戻りはじめた。ヒカリの本棚の姿が、ユイ達の周りにも現れはじめた時、消えていたはずのリリがユイの前に現れた
「リリ!」
大声で駆け寄り、リリを力強く抱きしめるユイ。予想以上の強さで抱きしめて息苦しそうなリリ。離れようとしても離さないユイに、ふぅ。と微笑みため息ついて、頭を撫でた
「モナカ……」
「あらあら、ミナモ、泣いているの?泣き虫ね」
リリから少し遅れて、モナカもミナモの目の前に現れた。嬉しさで泣いているミナモを見て、クスッと笑っている
「カグヤ。ただいま」
アンズもカグヤの隣に現れると微笑みカグヤの頬に触れると、カグヤがアンズをそっと優しく抱きしめた
「……おかえり、アンズ」
アカリが書き終えたページが、ヒカリの本棚の隅にヒラヒラと飛んでいく。中身が空っぽになった本は、また新たな真っ白なページが加わり、アカリのもとに飛んでいく
「楽しい思い出も美味しいおやつも、たくさん貰わなかったら、消えちゃうからね」
本からネコの姿に変えて、アカリから顔を背けて話すヒカリ。ヒカリの言葉を聞いたアカリが頷いて、またぎゅっとヒカリを抱きしめるていると、部屋の外では騒がしい声と足音が、段々と部屋に近づいてくる音が聞こえてくる
「アカリ!ヒナタ!」
バタバタと大勢の本の管理人を引き連れ現れたノドカとミツキ。いるとは思っていなかった二人の登場に、アカリが驚いた顔をする
「お父さん、お兄ちゃん……。どうしてここに?」
「アカリ、無事でよかった……」
ノドカとミナモが元気そうなアカリを見て、ホッとしているとヒナタもアカリの側に来て、同じく元気そうなアカリの手をつかんで微笑んでいると、本の管理人がノドカの側に来て、何やら頷いて話をしている
「ここは、一旦出てアカリ達の手当てをしよう。聞きたい話は後で……」
「ルカ!」
アカリがノドカ達と話していると、ルカもページを書き終え、疲れた顔で座り込む。ルカの本もまた新しくページが加わり、本の姿のサクラが戻ってきたのを見て、泣き顔で抱きつくルナ。顔を赤く泣いているのを見て、ルカが笑う
「お母さん。泣きすぎだよ。大丈夫って言ったのに……」
「ごめんね。本当によかった……」
ルカの元気な声を聞いて、ホッとして泣き笑うルナ。サクラも本からネコの姿に変えて、二人の間に無理矢理入り、一緒に笑っている
「スズ……」
アカリがノドカ達と話していると、アカリから離れて本棚の周りをキョロキョロと見て回り、消えていったスズの姿をヒカリが探している。それに気づいたアカリが話しかけた
「……ヒカリ、泣いてるの?」
「泣いて……」
目を擦りごまかそうとするヒカリに、クスッと笑ってヒカリの両手をつかみ、ぎゅっと優しく抱きしめた
「帰ろうヒカリ。お家に帰って、一緒におやつ作って食べよう」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
靴屋の娘と三人のお兄様
こじまき
恋愛
靴屋の看板娘だったデイジーは、母親の再婚によってホークボロー伯爵令嬢になった。ホークボロー伯爵家の三兄弟、長男でいかにも堅物な軍人のアレン、次男でほとんど喋らない魔法使いのイーライ、三男でチャラい画家のカラバスはいずれ劣らぬキラッキラのイケメン揃い。平民出身のにわか伯爵令嬢とお兄様たちとのひとつ屋根の下生活。何も起こらないはずがない!?
※小説家になろうにも投稿しています。
クラス最底辺の俺、ステータス成長で資産も身長も筋力も伸びて逆転無双
四郎
ファンタジー
クラスで最底辺――。
「笑いもの」として過ごしてきた佐久間陽斗の人生は、ただの屈辱の連続だった。
教室では見下され、存在するだけで嘲笑の対象。
友達もなく、未来への希望もない。
そんな彼が、ある日を境にすべてを変えていく。
突如として芽生えた“成長システム”。
努力を積み重ねるたびに、陽斗のステータスは確実に伸びていく。
筋力、耐久、知力、魅力――そして、普通ならあり得ない「資産」までも。
昨日まで最底辺だったはずの少年が、今日には同級生を超え、やがて街でさえ無視できない存在へと変貌していく。
「なんであいつが……?」
「昨日まで笑いものだったはずだろ!」
周囲の態度は一変し、軽蔑から驚愕へ、やがて羨望と畏怖へ。
陽斗は努力と成長で、己の居場所を切り拓き、誰も予想できなかった逆転劇を現実にしていく。
だが、これはただのサクセスストーリーではない。
嫉妬、裏切り、友情、そして恋愛――。
陽斗の成長は、同級生や教師たちの思惑をも巻き込み、やがて学校という小さな舞台を飛び越え、社会そのものに波紋を広げていく。
「笑われ続けた俺が、全てを変える番だ。」
かつて底辺だった少年が掴むのは、力か、富か、それとも――。
最底辺から始まる、資産も未来も手にする逆転無双ストーリー。
物語は、まだ始まったばかりだ。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
英雄召喚〜帝国貴族の異世界統一戦記〜
駄作ハル
ファンタジー
異世界の大貴族レオ=ウィルフリードとして転生した平凡サラリーマン。
しかし、待っていたのは平和な日常などではなかった。急速な領土拡大を目論む帝国の貴族としての日々は、戦いの連続であった───
そんなレオに与えられたスキル『英雄召喚』。それは現世で英雄と呼ばれる人々を呼び出す能力。『鬼の副長』土方歳三、『臥龍』所轄孔明、『空の魔王』ハンス=ウルリッヒ・ルーデル、『革命の申し子』ナポレオン・ボナパルト、『万能人』レオナルド・ダ・ヴィンチ。
前世からの知識と英雄たちの逸話にまつわる能力を使い、大切な人を守るべく争いにまみれた異世界に平和をもたらす為の戦いが幕を開ける!
完結まで毎日投稿!
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる