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材木相場
41 週末のお茶会
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早いものでもう週末。
過去の値動きで気になることがあり、ハーバーにお願いして調べ物をしてもらっている。
王都から離れなければならないのだが、ヨーナスが王都から動けないので、ハーバーを使うことになった。
ハーバーを使うにはそれなりの理由がある。
彼のようにフリーでないと困るのだ。
ハーバーは依頼をしたら鳩が豆鉄砲を食ったような顔を見せたのは印象的だった。
「自分の事を信用してくれるんですか?」
と聞いてきたハーバーに僕は言ってやった。
「僕は本尊になるつもりだ。本尊とその他仕手筋の関係なんて儲けさせてくれるかどうかじゃない。ついてくれば勝たせてやるという夢を見させてあげるよ。だめだと思ったら向かい玉で潰せばいいだろう?」
それを聞いたハーバーはニヤリと歯を見せて笑った。
「確かにその通りだ。ただね、マクシミリアン様を見ていると本当の年齢はいくつなんだろうって思うことが多いんですよね。間違いなく老獪な本尊のやり口だが、まだ14歳だって言うんでしょ。こうして顔をあわせてなければ、とてもじゃないけど信じられませんって」
「見た目通りの年齢だよ」
「ま、そういうことにしておきましょう」
そう言ってハーバーは依頼を引き受けてくれたのである。
そして、ハーバーからの連絡を待ちつつ、僕はブリュンヒルデへのご褒美として、彼女の開くお茶会に女装して出席させられている。
カツラにドレスを身にまとい、お化粧をさせられた姿を自分で見たが、どこから見ても女の子であった。
それでも、バレたらどうしようと考えると、余計に緊張して顔が引き攣る。
庭に今回のために作られた会場は、太陽が降り注いでおり、秋の終わりとは思えない陽気のはずなのだが、今暖かいのか寒いのかわからない。
ブリュンヒルデ、エリーゼ、マルガレータの他に五人の女性を招待してある。
そこで早速正面の妙齢の女性が
「ブリュンヒルデ様、そちらのお嬢さんは?」
とブリュンヒルデに質問する。
「メルケル男爵夫人、こちらは婚約者のローエンシュタイン侯爵の従姉妹でマクシーネ嬢ですわ。まだ社交界にデビューしていないので、ご存知ないかと思います。さあ、マクシーネご挨拶を」
ブリュンヒルデが背筋も凍るような獰猛な笑みを浮かべる。
どうしてこの人はこんなに悪役令嬢みたいな表情が似合うのだろうか。
「はじめまして、マクシーネ・フォン・ローエンシュタインです。田舎の辺境伯寮から中々王都に出てくる機会が無かったので、皆様ご存知ないかと思います。来年成人して魔法学園に入学するのでその時は王都に住む予定ですので、よろしくおねがいします」
耳まで真っ赤になっているのが自分でも良くわかる。
今日ほど自分がまだ声変わりしていなくて良かったと思ったことはない。
でも、いつバレるかと思うと、胸の鼓動が極限まで高くなる。
今血圧と心拍数を測定されたら、間違いなく即入院レベルのはずだ。
「初々しいわねえ」
メルケル男爵夫人は姉のような眼差しで僕を見る。
愛玩動物になった気分だな。
テーブルにはブルーノが作ってくれたお菓子がこれでもかと並んでいる。
砂糖やシナモンは僕が魔法で作り出したものだ。
特に砂糖は金額を気にせずふんだんに使っているので、甘くて美味しいお菓子が出来上がっている。
味付けに使うブランデーなども、調味料扱いなので魔法で作り出した。
このアバウトな設定の魔法のお陰で、ブランデーも嗜好品として貴族に配るアイテムとなっており、シェーレンベルク公爵家の影響力を拡大させるのに一役買っていたりする。
他にも日本酒やワインも調理用の酒として作ることができたりする。
今夜も強目の酒を飲まないと、女装していたのを思い出して眠れそうにないな。
そんなお茶とお菓子を口に入れながら、他愛もないうわさ話などで盛り上がる。
その中で気になる話題が出てきた。
「ドミニク殿下とマクシミリアン様が許されぬ恋に堕ちていると、魔法学園に通う妹から教えて貰いましたが、それは事実なのでしょうか?」
僕は思わず口にしていたお茶を吹き出した。
「まあ、マクシーネったらはしたない。でも、貴女には刺激が強過ぎたかしらね」
とエリーゼが笑いながら僕にハンカチを差し出してくれた。
そのハンカチで吹きこぼしたお茶を拭く。
「それは初めて聞きましたわ。ナターリエ様も面白いお話をご存知ですわね。出来ればもう少し詳しくお聞かせ願いたいですわ」
ブリュンヒルデがその話題をロックオンした。
ナターリエと呼ばれたフロイラインは、妹から聞いたという僕と殿下のラブロマンスを語ってくれる。
曰く、いつも一緒にいて距離が近い。
二人とも学園では女生徒とほとんど会話がない。
などが想像を掻き立てる要因なんだとか。
女生徒とほとんど会話がないというところで、エリーゼからホッとした空気が流れてきた。
マルガレータは顔が赤いんだけど、なにか良からぬことを想像している気がしてならない。
間違いないと確信している。
反論したいところだけど、万が一迂闊なことを口走って、女装しているのがバレたら噂に強烈な燃料を注ぐことになるから、黙って聞いておくだけにした。
全く身に覚えのない噂話を聞いていると、屋敷の庭を高級そうな法衣を着た一団が歩いていくのが見えた。
その中心にいる人物がこちらを振り返ったときに視線があい、ぞわりと寒気が走った。
ナイスミドルというのが似合う、スタイルの良い中年男性だが、視線の内容に僕の中の危険感知アラームが鳴り響く。
「ブリュンヒルデ様あちらの方たちは?」
そう訊ねると
「ヴァルハラ教の副教皇のであらせられるコンスタンティン・フォン・ビッテンフェルト様の一行ですわ。本日父との面会があるとうかがっておりますの」
「副教皇様ですか」
なんとなく、あの視線には邪な意思を感じた。
だとしたら、小さい女の子が好きなのだろう。
やれやれ、宗教家なんてものはどこの世界でも倫理観が欠如しているなと、僕は心のなかで肩をすくめた。
副教皇は義父との約束があるのであろう、直ぐにまた歩きだして屋敷に入っていった。
その後はまた僕とドミニク殿下の話題で盛り上がる。
女子は身分の貴賤にかかわらず、この手の話が好きだよね。
散々会話を楽しんで、最後はブルーノが腕によりをかけた焼き菓子をお土産に持ち、来客者たちは帰っていった。
そして、身内だけになった途端に、エリーゼに唇を奪われた。
「んっっ」
抗議の声をあげようにも、口を塞がれていて言葉が出ない。
エリーゼは最後に少し僕の下唇を噛んでから放してくれた。
「まさかマクシミリアンがドミニク殿下と恋仲だったなんて、妬けてしまいます」
エリーゼが拗ねたような態度を見せるけど、これは絶対にわかっていてやっている時のエリーゼだ。
「私も殿下とのラブロマンスをお伺いしたいですわ」
ブリュンヒルデも目をランランと輝かせて迫ってくる。
「あの、じゃあまず着替えてから――」
「「そのまま着替えずにベッドに行きましょうか!」」
二人の声がハモった。
マルガレータに助けを求めようと、彼女の方を見たら、ほっぺたに手を当てて、腰をくねらせている。
うん、救援は無理そうだ。
結局晩御飯の時間までしゃぶり尽くされて、晩御飯を食べたあとはお風呂でまたしゃぶり尽くされて、ベッドの上に戻るとまたマクシーネを演じさせられながらとなった。
今週は夜ずっと書庫に籠もって、彼女たちの相手を出来なかったので、その分が一気に押し寄せてきたわけだ。
若くても体がもたないです。
過去の値動きで気になることがあり、ハーバーにお願いして調べ物をしてもらっている。
王都から離れなければならないのだが、ヨーナスが王都から動けないので、ハーバーを使うことになった。
ハーバーを使うにはそれなりの理由がある。
彼のようにフリーでないと困るのだ。
ハーバーは依頼をしたら鳩が豆鉄砲を食ったような顔を見せたのは印象的だった。
「自分の事を信用してくれるんですか?」
と聞いてきたハーバーに僕は言ってやった。
「僕は本尊になるつもりだ。本尊とその他仕手筋の関係なんて儲けさせてくれるかどうかじゃない。ついてくれば勝たせてやるという夢を見させてあげるよ。だめだと思ったら向かい玉で潰せばいいだろう?」
それを聞いたハーバーはニヤリと歯を見せて笑った。
「確かにその通りだ。ただね、マクシミリアン様を見ていると本当の年齢はいくつなんだろうって思うことが多いんですよね。間違いなく老獪な本尊のやり口だが、まだ14歳だって言うんでしょ。こうして顔をあわせてなければ、とてもじゃないけど信じられませんって」
「見た目通りの年齢だよ」
「ま、そういうことにしておきましょう」
そう言ってハーバーは依頼を引き受けてくれたのである。
そして、ハーバーからの連絡を待ちつつ、僕はブリュンヒルデへのご褒美として、彼女の開くお茶会に女装して出席させられている。
カツラにドレスを身にまとい、お化粧をさせられた姿を自分で見たが、どこから見ても女の子であった。
それでも、バレたらどうしようと考えると、余計に緊張して顔が引き攣る。
庭に今回のために作られた会場は、太陽が降り注いでおり、秋の終わりとは思えない陽気のはずなのだが、今暖かいのか寒いのかわからない。
ブリュンヒルデ、エリーゼ、マルガレータの他に五人の女性を招待してある。
そこで早速正面の妙齢の女性が
「ブリュンヒルデ様、そちらのお嬢さんは?」
とブリュンヒルデに質問する。
「メルケル男爵夫人、こちらは婚約者のローエンシュタイン侯爵の従姉妹でマクシーネ嬢ですわ。まだ社交界にデビューしていないので、ご存知ないかと思います。さあ、マクシーネご挨拶を」
ブリュンヒルデが背筋も凍るような獰猛な笑みを浮かべる。
どうしてこの人はこんなに悪役令嬢みたいな表情が似合うのだろうか。
「はじめまして、マクシーネ・フォン・ローエンシュタインです。田舎の辺境伯寮から中々王都に出てくる機会が無かったので、皆様ご存知ないかと思います。来年成人して魔法学園に入学するのでその時は王都に住む予定ですので、よろしくおねがいします」
耳まで真っ赤になっているのが自分でも良くわかる。
今日ほど自分がまだ声変わりしていなくて良かったと思ったことはない。
でも、いつバレるかと思うと、胸の鼓動が極限まで高くなる。
今血圧と心拍数を測定されたら、間違いなく即入院レベルのはずだ。
「初々しいわねえ」
メルケル男爵夫人は姉のような眼差しで僕を見る。
愛玩動物になった気分だな。
テーブルにはブルーノが作ってくれたお菓子がこれでもかと並んでいる。
砂糖やシナモンは僕が魔法で作り出したものだ。
特に砂糖は金額を気にせずふんだんに使っているので、甘くて美味しいお菓子が出来上がっている。
味付けに使うブランデーなども、調味料扱いなので魔法で作り出した。
このアバウトな設定の魔法のお陰で、ブランデーも嗜好品として貴族に配るアイテムとなっており、シェーレンベルク公爵家の影響力を拡大させるのに一役買っていたりする。
他にも日本酒やワインも調理用の酒として作ることができたりする。
今夜も強目の酒を飲まないと、女装していたのを思い出して眠れそうにないな。
そんなお茶とお菓子を口に入れながら、他愛もないうわさ話などで盛り上がる。
その中で気になる話題が出てきた。
「ドミニク殿下とマクシミリアン様が許されぬ恋に堕ちていると、魔法学園に通う妹から教えて貰いましたが、それは事実なのでしょうか?」
僕は思わず口にしていたお茶を吹き出した。
「まあ、マクシーネったらはしたない。でも、貴女には刺激が強過ぎたかしらね」
とエリーゼが笑いながら僕にハンカチを差し出してくれた。
そのハンカチで吹きこぼしたお茶を拭く。
「それは初めて聞きましたわ。ナターリエ様も面白いお話をご存知ですわね。出来ればもう少し詳しくお聞かせ願いたいですわ」
ブリュンヒルデがその話題をロックオンした。
ナターリエと呼ばれたフロイラインは、妹から聞いたという僕と殿下のラブロマンスを語ってくれる。
曰く、いつも一緒にいて距離が近い。
二人とも学園では女生徒とほとんど会話がない。
などが想像を掻き立てる要因なんだとか。
女生徒とほとんど会話がないというところで、エリーゼからホッとした空気が流れてきた。
マルガレータは顔が赤いんだけど、なにか良からぬことを想像している気がしてならない。
間違いないと確信している。
反論したいところだけど、万が一迂闊なことを口走って、女装しているのがバレたら噂に強烈な燃料を注ぐことになるから、黙って聞いておくだけにした。
全く身に覚えのない噂話を聞いていると、屋敷の庭を高級そうな法衣を着た一団が歩いていくのが見えた。
その中心にいる人物がこちらを振り返ったときに視線があい、ぞわりと寒気が走った。
ナイスミドルというのが似合う、スタイルの良い中年男性だが、視線の内容に僕の中の危険感知アラームが鳴り響く。
「ブリュンヒルデ様あちらの方たちは?」
そう訊ねると
「ヴァルハラ教の副教皇のであらせられるコンスタンティン・フォン・ビッテンフェルト様の一行ですわ。本日父との面会があるとうかがっておりますの」
「副教皇様ですか」
なんとなく、あの視線には邪な意思を感じた。
だとしたら、小さい女の子が好きなのだろう。
やれやれ、宗教家なんてものはどこの世界でも倫理観が欠如しているなと、僕は心のなかで肩をすくめた。
副教皇は義父との約束があるのであろう、直ぐにまた歩きだして屋敷に入っていった。
その後はまた僕とドミニク殿下の話題で盛り上がる。
女子は身分の貴賤にかかわらず、この手の話が好きだよね。
散々会話を楽しんで、最後はブルーノが腕によりをかけた焼き菓子をお土産に持ち、来客者たちは帰っていった。
そして、身内だけになった途端に、エリーゼに唇を奪われた。
「んっっ」
抗議の声をあげようにも、口を塞がれていて言葉が出ない。
エリーゼは最後に少し僕の下唇を噛んでから放してくれた。
「まさかマクシミリアンがドミニク殿下と恋仲だったなんて、妬けてしまいます」
エリーゼが拗ねたような態度を見せるけど、これは絶対にわかっていてやっている時のエリーゼだ。
「私も殿下とのラブロマンスをお伺いしたいですわ」
ブリュンヒルデも目をランランと輝かせて迫ってくる。
「あの、じゃあまず着替えてから――」
「「そのまま着替えずにベッドに行きましょうか!」」
二人の声がハモった。
マルガレータに助けを求めようと、彼女の方を見たら、ほっぺたに手を当てて、腰をくねらせている。
うん、救援は無理そうだ。
結局晩御飯の時間までしゃぶり尽くされて、晩御飯を食べたあとはお風呂でまたしゃぶり尽くされて、ベッドの上に戻るとまたマクシーネを演じさせられながらとなった。
今週は夜ずっと書庫に籠もって、彼女たちの相手を出来なかったので、その分が一気に押し寄せてきたわけだ。
若くても体がもたないです。
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