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第31話 PPM管理
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こんにちは、栗田でもゆう子でもないアルトです。
今日は文化部のみんな……
じゃなかった、冒険者ギルドの仲間と迷宮にマンドラゴラを採取しにやってきました。
どうしてこうなったかというと……
「最近冒険者のクエスト失敗が多くて、ポーションの原料になるマンドラゴラが不足していてなぁ」
ポーション製造工程の親方が困った顔をして相談をしに来ていた。
来ていたといっても、ギルド長の執務室にであり、俺とシルビアが後から呼ばれたのだ。
「マンドラゴラってなんでしょうか?」
俺はマンドラゴラを見たことが無い。
ポーションの原材料は何度か見させてもらったが、既に原型を留めていなかったので、それがマンドラゴラだったのか知らない。
前世の知っている知識で言うと、人間の欲望を使って遠くに種子を運ぶダイヤが生る木だ。
目、鼻、耳と呼ばれる冒険者と、よくしゃべる「口」の俺が一緒にその原木を探しに行くというのか?
「薬草だね。土の中にある根の部分が人間のような形をしているんだ」
そっちか。
俺の考えていたのはマンドラドだな。
「抜くときに叫び声を聞くと死にますか?」
「それは100本に1本くらいだね」
1%の確率で死んじゃうとか怖い。
今どきはPPM管理だぞ。
PPMとはパーツ・パー・ミリオンの略で1/1,000,000の事だ。
現在の製造業ではそれくらいの不良率が求められている。
それでも死にたくはないので、確率は0がいいけど。
「そういうわけで、シルビアとアルトは仲間を募ってマンドラゴラを採取してきて欲しいんだ」
「わかったわ、行きましょうアルト」
「う、うん」
そういう理由で俺とシルビア、コルベット、カビーネ、スターレット、コンパーノの六人でマンドラゴラを採取することになったのだ。
「ここがマンドラゴラの群生地の地下15階層でーす」
先頭を行くコルベットが教えてくれた。
この階層になると、強敵も多いので、採取しに来られる冒険者も限られる。
加えて、実力不足でトレインを作ってしまう冒険者が多かったので、ベテランが敬遠していたのだ。
「周囲は警戒しておくから、さっさと抜いちゃって」
「抜いたら死ぬかも知れないじゃないか」
俺はシルビアに抗議した。
安全衛生委員会があったら大変なことになっているぞ。
そんなものは無いけど。
※安全衛生委員会は労働安全衛生法で定められた委員会です。
「そんなの偶にあるかないかよ」
駄目だ、説得する方法を変えよう。
「マンドラゴラは土から抜けば死ぬんです、板山社長」
「板山社長って誰よ?」
「ニューギンザデパートの社長だよ」
「は?」
だめだ、板山社長が伝わらない。
いや、土がついたままを強調したかったんだ。
板山社長は関係なかった。
「周りの土ごともって帰って、安全なところで引っこ抜こう。その方が新鮮なマンドラゴラを確保できる」
「それもそうね」
シルビアがやっと納得してくれた。
土ごと地面から掘り出したマンドラゴラは、鳴くことはなかったが、その分重量があった。
運搬人のコンパーノでも20個持つのが限界である。
「もっともって帰りたいわね」
「すいません、俺がアイテムボックスのスキルを取得していれば」
コンパーノが申し訳無さそうにする。
「いや、後は俺も少し持つよ」
俺も5個マンドラゴラを持ったところで限界が来た。
これでどれくらいのポーションが作れるのか判らないが、これ以上は持てないので諦めて帰る事にした。
群生地にはまだまだマンドラゴラが生えているので、足りなければもう一度来ればいいか。
街に戻りギルドでマンドラゴラを買い取ってもらう。
職員だけど、これを給料のうちでやる気にはならないからな。
因みにマンドラゴラだが、水洗いをして泥を落とせば鳴かない事が判明した。
その後数度迷宮に潜ってはマンドラゴラを土が付いたまま持ち帰ってきて確認をしたが、何百と耳栓をしながら水洗いをしたが、マンドラゴラが鳴くことは無かったのである。
どんなに確率が低くても、死ぬ可能性がある作業はやりたくないからね。
品質管理的には-6σを越える確率は仕方がないのだが、じゃあその低確率で死んでもいいかと言われたら、そうですねと言う人はいないのだ。
だからこそ無理と判っていても、「不良ゼロ」を目標として掲げているのである。
「アルトのお陰で、色々なパーティーから引っ張りだこで、休む暇がないよ」
今日もマンドラゴラを迷宮から持ち帰ったコンパーノが俺に声を掛けてきた。
マンドラゴラの水洗いが広まった結果、重量があるけど土を付けたまま持ち帰るのが主流となり、運搬人の需要が跳ね上がったのである。
アイテムボックスのスキルをまだ取得出来ていないコンパーノですら、通常の冒険者よりも持ち運べる重量が多いということで、色々なところから声がかかっているのである。
アルトのステータス
品質管理レベル17
スキル
作業標準書
作業標準書(改)
ノギス測定
三次元測定
マクロ試験
振動試験
電子顕微鏡
塩水噴霧試験
引張試験
硬度測定
蛍光X線分析
シックネスゲージ作成
ブロックゲージ作成
ピンゲージ作成
品質偽装
リコール
今日は文化部のみんな……
じゃなかった、冒険者ギルドの仲間と迷宮にマンドラゴラを採取しにやってきました。
どうしてこうなったかというと……
「最近冒険者のクエスト失敗が多くて、ポーションの原料になるマンドラゴラが不足していてなぁ」
ポーション製造工程の親方が困った顔をして相談をしに来ていた。
来ていたといっても、ギルド長の執務室にであり、俺とシルビアが後から呼ばれたのだ。
「マンドラゴラってなんでしょうか?」
俺はマンドラゴラを見たことが無い。
ポーションの原材料は何度か見させてもらったが、既に原型を留めていなかったので、それがマンドラゴラだったのか知らない。
前世の知っている知識で言うと、人間の欲望を使って遠くに種子を運ぶダイヤが生る木だ。
目、鼻、耳と呼ばれる冒険者と、よくしゃべる「口」の俺が一緒にその原木を探しに行くというのか?
「薬草だね。土の中にある根の部分が人間のような形をしているんだ」
そっちか。
俺の考えていたのはマンドラドだな。
「抜くときに叫び声を聞くと死にますか?」
「それは100本に1本くらいだね」
1%の確率で死んじゃうとか怖い。
今どきはPPM管理だぞ。
PPMとはパーツ・パー・ミリオンの略で1/1,000,000の事だ。
現在の製造業ではそれくらいの不良率が求められている。
それでも死にたくはないので、確率は0がいいけど。
「そういうわけで、シルビアとアルトは仲間を募ってマンドラゴラを採取してきて欲しいんだ」
「わかったわ、行きましょうアルト」
「う、うん」
そういう理由で俺とシルビア、コルベット、カビーネ、スターレット、コンパーノの六人でマンドラゴラを採取することになったのだ。
「ここがマンドラゴラの群生地の地下15階層でーす」
先頭を行くコルベットが教えてくれた。
この階層になると、強敵も多いので、採取しに来られる冒険者も限られる。
加えて、実力不足でトレインを作ってしまう冒険者が多かったので、ベテランが敬遠していたのだ。
「周囲は警戒しておくから、さっさと抜いちゃって」
「抜いたら死ぬかも知れないじゃないか」
俺はシルビアに抗議した。
安全衛生委員会があったら大変なことになっているぞ。
そんなものは無いけど。
※安全衛生委員会は労働安全衛生法で定められた委員会です。
「そんなの偶にあるかないかよ」
駄目だ、説得する方法を変えよう。
「マンドラゴラは土から抜けば死ぬんです、板山社長」
「板山社長って誰よ?」
「ニューギンザデパートの社長だよ」
「は?」
だめだ、板山社長が伝わらない。
いや、土がついたままを強調したかったんだ。
板山社長は関係なかった。
「周りの土ごともって帰って、安全なところで引っこ抜こう。その方が新鮮なマンドラゴラを確保できる」
「それもそうね」
シルビアがやっと納得してくれた。
土ごと地面から掘り出したマンドラゴラは、鳴くことはなかったが、その分重量があった。
運搬人のコンパーノでも20個持つのが限界である。
「もっともって帰りたいわね」
「すいません、俺がアイテムボックスのスキルを取得していれば」
コンパーノが申し訳無さそうにする。
「いや、後は俺も少し持つよ」
俺も5個マンドラゴラを持ったところで限界が来た。
これでどれくらいのポーションが作れるのか判らないが、これ以上は持てないので諦めて帰る事にした。
群生地にはまだまだマンドラゴラが生えているので、足りなければもう一度来ればいいか。
街に戻りギルドでマンドラゴラを買い取ってもらう。
職員だけど、これを給料のうちでやる気にはならないからな。
因みにマンドラゴラだが、水洗いをして泥を落とせば鳴かない事が判明した。
その後数度迷宮に潜ってはマンドラゴラを土が付いたまま持ち帰ってきて確認をしたが、何百と耳栓をしながら水洗いをしたが、マンドラゴラが鳴くことは無かったのである。
どんなに確率が低くても、死ぬ可能性がある作業はやりたくないからね。
品質管理的には-6σを越える確率は仕方がないのだが、じゃあその低確率で死んでもいいかと言われたら、そうですねと言う人はいないのだ。
だからこそ無理と判っていても、「不良ゼロ」を目標として掲げているのである。
「アルトのお陰で、色々なパーティーから引っ張りだこで、休む暇がないよ」
今日もマンドラゴラを迷宮から持ち帰ったコンパーノが俺に声を掛けてきた。
マンドラゴラの水洗いが広まった結果、重量があるけど土を付けたまま持ち帰るのが主流となり、運搬人の需要が跳ね上がったのである。
アイテムボックスのスキルをまだ取得出来ていないコンパーノですら、通常の冒険者よりも持ち運べる重量が多いということで、色々なところから声がかかっているのである。
アルトのステータス
品質管理レベル17
スキル
作業標準書
作業標準書(改)
ノギス測定
三次元測定
マクロ試験
振動試験
電子顕微鏡
塩水噴霧試験
引張試験
硬度測定
蛍光X線分析
シックネスゲージ作成
ブロックゲージ作成
ピンゲージ作成
品質偽装
リコール
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