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第109話 異世界チート品質管理1
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異世界に品質管理のスキルを持って転生したらどうなるのかなと最初に考えた内容をやっと書くことになりましたが、他の転生小説と違いなんてあんまりないんですよね。
主人公が理屈っぽいくらいか。
それでは本編いってみましょう。
「リコールは既に使用済みなんだよな。あと使用していないスキルっていうと【作業標準書(改)】か」
脳内に表示されるスキル一覧を眺めながら、俺は考えていた。
いままで使い方がわからなかった【作業標準書(改)】をそろそろ試してみるべきではないかと。
フッ化水素精製のようなヤバイスキルだと危ないので、シルビアにお願いして冒険者ギルドの訓練所を貸し切りにしてもらった。
入り口で誰も入ってこられないように、シルビアに見張っていてもらう。
「さて、いよいよ使うわけか」
誰もいない事をもう一度確認して【作業標準書(改)】を使用した。
――改訂する作業標準書を指定してください
脳内にいつもの声が響く。
「ショートソードの作業標準書で」
――承知しました
――改訂内容は実現可能な範囲であれば自由です
ふむ。
実現可能な範囲であればとは、随分とアバウトだな。
「じゃあ試しに真空波撃てるようにしてみるか」
俺はショートソードを振るうことで真空波が撃てるようになると作業標準書を改訂してみた。
――改訂を承認しました
そうそう、作業標準書はちゃんと承認されたものを配布しないとね。
早速自分の持っていたショートソードを訓練所にある敵に見立てた人形めがけて振るう。
ショートソードの先端から真空波が飛び出して、人形を真っ二つに切り裂いた。
「凄いな……」
スキルの使い勝手の良さに感動する。
「ショートソードを振るうと、世界中のモンスターが倒れるとか設定出来るのか?」
――それは出来ません
そこまでのチートではないのか。
「じゃあ、ウィンクしたらどんな女も俺に惚れるとかは?」
――基になる作業標準書が在れば可能です
成程、それなら可能ということか。
「支援魔法の身体強化の倍率はいじくれるか?」
――可能です
試しに効果を100倍にしてみた。
これを自分に掛ける。
そして、シルビアに訓練所に入ってきてもらい、どれくらい強くなったか確認する手伝いをしてもらう。
「で、何をすればいいわけ?」
「これを俺に向かって投げてくれ」
俺はスキルで作り出したピンゲージをシルビアに手渡した。
「これをね。怪我しても知らないわよ」
「大丈夫だと思う」
「わかったわ」
シルビアには五メートル程度離れてもらった。
「行くわよ」
「いつでもいいぞ」
「はっ!!」
シルビアは気合いと共にピンゲージを投げた。
いつもなら目で追うことすら出来ないであろうそれは、とてもゆっくりと俺に向かって飛んでくるように見えている。
ここはあれだ。
右手を真っ直ぐに突きだしVサインを作る。
「二指真空把!!」
人差し指と中指でピンゲージをキャッチする。
さすがに100倍の身体能力を持つと、銀等級の冒険者の攻撃など見てからでもよけられるってことか。
飛来する運動エネルギーを指だけで受け止めるのも苦にならないし。
避けてよし、受け止めてよしだな。
「えっ?!」
俺のナイスキャッチにシルビアが驚く。
「もう一回いいかしら?」
「ああ」
シルビアにピンゲージを返し、再び距離をとる。
本気のシルビアは先程の腕だけで投げたのとは違い、全身を使って振りかぶる。
身体中の関節を使って加速させるそれは、マッハ突きでも出来そうな動きだ。
「でりゃぁー!!!!」
先程よりも遥かに早い速度でピンゲージが向かってくる。
しかし、今の俺には驚異ではない。
「スロー過ぎてあくびが出るぜ」
またも二本の指でピンゲージをキャッチする。
「くっ」
シルビアが悔しがったが、当たっていたら危なかったぞ。
「というわけだ。かなり強くなったろ」
「そうね」
その後、シルビアと【作業標準書(改)】の使い方をああでもない、こうでもないと議論していると、ギルド長からの呼び出しが来た。
どうも緊急事態らしい。
「よく集まってくれた」
ギルド長の執務室に集まったのは、俺、シルビア、プリオラ、トミーカイラ、レオーネである。
その五人をみて、ギルド長はそう言った。
「実は神殿に神託がおりた」
「神託ですか」
「そうだ」
ギルド長から聞かされた神託の内容は、スタンピードについてであった。
なんでも、迷宮のフロアボスが外の世界の侵略を狙っているらしい。
らしいと謂うのは、フロアボスを討伐しないと災いが街を覆うという神託からの想像だとか。
神様ももっと具体的な事を教えてくれてもいいのにね。
「なので、近隣の街にも募集を出して、フロアボス討伐に参加する冒険者を集めたい」
そういうことか。
しかし、なぜ俺が呼ばれているのだろうか。
「今回はMMRもフロアボス討伐に同行してもらい、万が一失敗した場合は次回への対策をお願いしたい」
そう説明された。
しかし、討伐に失敗したら俺達も戻ってこられないんじゃないだろうか?
「腕が鳴るわね」
「久しぶりにシルビアと冒険ね」
俺の心配をよそに、シルビアとプリオラはやる気満々だ。
こうなったら、できる限り多くの作業標準書を作って、冒険に備えるしかないようだな。
その後、各地の冒険者ギルドにステラの迷宮フロアボス討伐の依頼が貼りだされ、冒険者が集まるのを待つことになった。
主人公が理屈っぽいくらいか。
それでは本編いってみましょう。
「リコールは既に使用済みなんだよな。あと使用していないスキルっていうと【作業標準書(改)】か」
脳内に表示されるスキル一覧を眺めながら、俺は考えていた。
いままで使い方がわからなかった【作業標準書(改)】をそろそろ試してみるべきではないかと。
フッ化水素精製のようなヤバイスキルだと危ないので、シルビアにお願いして冒険者ギルドの訓練所を貸し切りにしてもらった。
入り口で誰も入ってこられないように、シルビアに見張っていてもらう。
「さて、いよいよ使うわけか」
誰もいない事をもう一度確認して【作業標準書(改)】を使用した。
――改訂する作業標準書を指定してください
脳内にいつもの声が響く。
「ショートソードの作業標準書で」
――承知しました
――改訂内容は実現可能な範囲であれば自由です
ふむ。
実現可能な範囲であればとは、随分とアバウトだな。
「じゃあ試しに真空波撃てるようにしてみるか」
俺はショートソードを振るうことで真空波が撃てるようになると作業標準書を改訂してみた。
――改訂を承認しました
そうそう、作業標準書はちゃんと承認されたものを配布しないとね。
早速自分の持っていたショートソードを訓練所にある敵に見立てた人形めがけて振るう。
ショートソードの先端から真空波が飛び出して、人形を真っ二つに切り裂いた。
「凄いな……」
スキルの使い勝手の良さに感動する。
「ショートソードを振るうと、世界中のモンスターが倒れるとか設定出来るのか?」
――それは出来ません
そこまでのチートではないのか。
「じゃあ、ウィンクしたらどんな女も俺に惚れるとかは?」
――基になる作業標準書が在れば可能です
成程、それなら可能ということか。
「支援魔法の身体強化の倍率はいじくれるか?」
――可能です
試しに効果を100倍にしてみた。
これを自分に掛ける。
そして、シルビアに訓練所に入ってきてもらい、どれくらい強くなったか確認する手伝いをしてもらう。
「で、何をすればいいわけ?」
「これを俺に向かって投げてくれ」
俺はスキルで作り出したピンゲージをシルビアに手渡した。
「これをね。怪我しても知らないわよ」
「大丈夫だと思う」
「わかったわ」
シルビアには五メートル程度離れてもらった。
「行くわよ」
「いつでもいいぞ」
「はっ!!」
シルビアは気合いと共にピンゲージを投げた。
いつもなら目で追うことすら出来ないであろうそれは、とてもゆっくりと俺に向かって飛んでくるように見えている。
ここはあれだ。
右手を真っ直ぐに突きだしVサインを作る。
「二指真空把!!」
人差し指と中指でピンゲージをキャッチする。
さすがに100倍の身体能力を持つと、銀等級の冒険者の攻撃など見てからでもよけられるってことか。
飛来する運動エネルギーを指だけで受け止めるのも苦にならないし。
避けてよし、受け止めてよしだな。
「えっ?!」
俺のナイスキャッチにシルビアが驚く。
「もう一回いいかしら?」
「ああ」
シルビアにピンゲージを返し、再び距離をとる。
本気のシルビアは先程の腕だけで投げたのとは違い、全身を使って振りかぶる。
身体中の関節を使って加速させるそれは、マッハ突きでも出来そうな動きだ。
「でりゃぁー!!!!」
先程よりも遥かに早い速度でピンゲージが向かってくる。
しかし、今の俺には驚異ではない。
「スロー過ぎてあくびが出るぜ」
またも二本の指でピンゲージをキャッチする。
「くっ」
シルビアが悔しがったが、当たっていたら危なかったぞ。
「というわけだ。かなり強くなったろ」
「そうね」
その後、シルビアと【作業標準書(改)】の使い方をああでもない、こうでもないと議論していると、ギルド長からの呼び出しが来た。
どうも緊急事態らしい。
「よく集まってくれた」
ギルド長の執務室に集まったのは、俺、シルビア、プリオラ、トミーカイラ、レオーネである。
その五人をみて、ギルド長はそう言った。
「実は神殿に神託がおりた」
「神託ですか」
「そうだ」
ギルド長から聞かされた神託の内容は、スタンピードについてであった。
なんでも、迷宮のフロアボスが外の世界の侵略を狙っているらしい。
らしいと謂うのは、フロアボスを討伐しないと災いが街を覆うという神託からの想像だとか。
神様ももっと具体的な事を教えてくれてもいいのにね。
「なので、近隣の街にも募集を出して、フロアボス討伐に参加する冒険者を集めたい」
そういうことか。
しかし、なぜ俺が呼ばれているのだろうか。
「今回はMMRもフロアボス討伐に同行してもらい、万が一失敗した場合は次回への対策をお願いしたい」
そう説明された。
しかし、討伐に失敗したら俺達も戻ってこられないんじゃないだろうか?
「腕が鳴るわね」
「久しぶりにシルビアと冒険ね」
俺の心配をよそに、シルビアとプリオラはやる気満々だ。
こうなったら、できる限り多くの作業標準書を作って、冒険に備えるしかないようだな。
その後、各地の冒険者ギルドにステラの迷宮フロアボス討伐の依頼が貼りだされ、冒険者が集まるのを待つことになった。
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