冒険者ギルド品質管理部 ~生まれ変わっても品管だけは嫌だと言ったのに~

犬野純

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第117話 醤油と百貫でぶ

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 俺は今日大発見をひっさげて、グレイスのところにやってきた。

「迷宮大豆が発見された」
「それって何?」
「多分地球の大豆に近いものだな」

 そう、大豆の発見である。
 今まで冒険者が到達しても帰還できなかった地下の階層に、俺達が踏み入って無事に帰ってきたことで、少しずつ探索に行く冒険者が増えてきたのだ。
 かなり危険なモンスターは俺が倒したので、今の所オーガロードみたいな奴は出てこない。
 そのうちまたどこかから湧いてくるのかもしれないが、今は銀等級のパーティーでも編成がきちんとしていれば、地下55階層くらいまでは探索できるようになっているのだ。
 そしてそこで発見されたのが迷宮大豆である。
 なんで迷宮大豆とわかったかというと、偉い賢者の先生が、鑑定スキルで鑑定した結果なんだとか。
 しかし、賢者も鑑定はできるがその使い道までわかるわけではない。
 迷宮大豆を買い取った冒険者ギルドも、販売先に困っていたのを俺が知って、それを買い占めてきたというわけである。

「大豆なんてどうするのよ。豆乳でも作る気?」
「そこは醤油だろ」
「出来るの?」
「醤油の原料は何だと思っているんだ」
「そうじゃなくて作り方を知っているのってことよ。あんたJIS規格以外知らないでしょ」
「それは心外な。ちゃんと料理漫画で醤油の作り方を学んだぞ」
「大手の醤油メーカーは添加物を使っているから云々ってやつでしょ」
「よく知っているな」
「全巻買ったからね」
「そうですか……」

 なんてこった。
 折角知識を自慢できると思ったのに。
 花村さんと三谷さんのことでわかってくれる人ができたのは嬉しいが。

「じゃあ、小麦を炒って、大豆を煮て、もろみを作るのをはじめようか」
「でも熟成させるのに時間がかかるんでしょ」
「俺のスキルに【温度管理】があるから、麹菌が活動するのに最適な温度を作り出せる。かなり効率的にできるはずだ」

 本来は測定室の温度を一定に保つためのスキルなのだが、レンジ4兆度を自由に設定できるチートスキルだ。
 こいつを使って発酵に最適な温度を維持してやる。

「麹室はどうするのよ」
「すでに手配済みだ。俺がJISの食料品加工機械の全及び衛生に関する設計基準通則に則った設備も搬入してある」
「随分と段取りがいいわね」
「JIS規格については嘘だけどな」
「なによそれ」
「だってこの世界にJIS規格はないだろ。流石に俺も全部暗記しているわけじゃないからな」

 こんな未発達の世界にJIS規格があっても使い道がないけどな。
 いや、社会が発展していくときに、世界基準がJIS規格になるのはありだな。
 どうも日本は世界規格を作るのが弱い。
 海外が日本の規格にあわせるように動けないものか。
 センチもインチもなくして、尺貫法を復活させよう。
 百貫デブと相手をけなすと計量法違反で罰則がある社会は間違っている。
 いや、他の法律にも引っかかりそうではあるが。
 国営放送が「ハロン」、「ヤード」っていうのはどうなんだろうか。
 ちなみに、三十三間堂も法律違反です。
 うん、醤油の話じゃねぇ。

「まあなんにしてもだ、ステラから少し離れた森の中に小屋を建てて、その中でゴーレムに撹拌させながら発酵を進めるようにした。計算では半年で醤油が完成する」
「コンビニで買ったほうが早いわね」
「あればな」
「冗談よ。すっかりこっちの世界の味になれちゃったけど、たまには日本の味もいいかもね」
「おでんならあるぞ」
「本当に?」
「ああ、以前趣味でおでん鍋作ったんだけど、料理ができないからプロにプレゼントしたんだ。その代わりおでんを再現してもらったんだけど」
「早く言いなさいよ」
「聞かれなかったからな」
「おでんがあるなんて思うわけないじゃない」
「異世界転生したら、日本の料理を再現するのは定番だろ」
「異世界におでん鍋がないのよ」
「作るのはそんなに難しくないんだけどな。材料さえあれば。中華鍋も作ったし」
「それなら寸胴もできそうね」
「深絞りの技術がないんだよ」
「鍋つくれるんでしょ」
「鍋といっても色々な工法で作られているんだ」

 この辺は油圧の設備ができればいいのかな?

「残念ね。美味しい鍋料理が食べられるかと思ったのに」
「料理できるの?」
「作ってもらうにきまってるでしょ。前世でも今世でも料理なんてしたことないわ。あんたなに、女は料理ができなきゃとかいうジェンダーフリーの抵抗勢力なの!?」

 あー、めんどくせー。
 なんで、料理できるのの一言でそこまで言い返されなきゃならんのだ。
 しかし、言われてみれば異世界でもどうして母親が決まってご飯を作っているんですかね?
 違う発展をする社会があってもよさそうですが。

 まあそれはそれとして、半年後に美味しい醤油ができるといいな。


品質管理レベル35
スキル
 作業標準書
 作業標準書(改)
 温度測定
 硬度測定
 三次元測定
 重量測定
 照度測定
 投影機測定
 ノギス測定
 pH測定
 輪郭測定
 マクロ試験
 塩水噴霧試験
 振動試験
 引張試験
 電子顕微鏡
 温度管理
 照度管理
 レントゲン検査
 蛍光X線分析
 粗さ標準片作成 new!
 C面ゲージ作成
 シックネスゲージ作成
 定盤作成
 テーパーゲージ作成
 ネジゲージ作成
 ピンゲージ作成
 ブロックゲージ作成
 溶接ゲージ作成
 リングゲージ作成
 ラディアスゲージ作成
 ゲージR&R
 品質偽装
 リコール


※作者の独り言
計量法に違反している事って結構ありますよね。
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