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第224話 火の威力――逆襲のチャーハン――
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俺は今久しぶりにグレイス領に来ている。
馬車に取り付けるエアコンのFMEAを作るからと呼ばれたのだ。
そんなもんネット会議でやれば移動しなくてすむのだが、残念ながらそんなものはここにはない。
ゲートの魔法とか、水晶を通した会話が出来る魔法とか有ってもよさそうだが。
今度、カレンに会った時にでも聞いてみようか。
そんな会議を朝からやっていたのだが白熱してしまい、時刻はお昼をかなり過ぎてしまって、やっと昼食休憩を取ることになった。
さて、何を食おうかと悩んでいたときに、オッティが誘ってきた。
「アルト、近くに新しく出来た定食屋があるんだけど、ここが中華料理みたいなんだ。行ってみないか?」
「中華料理があるのか。転生してからずっと食ってなかったから、是非とも行ってみたいな」
俺は中華料理には目がない。
中国工場に出張したときに、朝からホテルの脂っこい中華料理の食事をしていたくらいだ。
一緒に行った連中は、パンとコーヒーだけしか口にしていなかったな。
昼の弁当も中華料理だから、油が腹に来るとか言ってた。
「あら、ひょっとしてアプリオの店かしら。それなら私も行くわ」
グレイスも一緒に行くことになり、三人でその店に来た。
外見は街の小さな中華料理屋そっくりだ。
建物が薄汚れているのは何故だろう?
ここは新興の領地で、新築ばかりのはずなのに。
そんな疑問はあったが、そこはそれ、フレーバーだなと割りきった。
「いらっしゃいませ」
中に入ると、小さな子供を背負った若い女性が挨拶をしてくれた。
厨房には気の弱そうな若い男の料理人が居る。
店員はその二人だけなので、夫婦なのかな?
時間がずれたこともあって、店内には俺たち以外の客は居ない。
「久しぶりね、ヴェロッサ。アプリオはどう?」
グレイスは常連らしく、女性と気軽に会話をする。
「お父様からの課題のチャーハンがうまく出来なくて……」
今まで明るかったヴェロッサの顔が曇った。
課題のチャーハン?
不思議そうにしている俺に、オッティが事情を説明してくれる。
「この店を経営しているアプリオとヴェロッサは外国から移住してきた人達のまとめ役だった人の屋敷にいたんだが駆け落ちしてきたんだ。アプリオは元々ヴェロッサの親の屋敷の料理人だったのだが、ヴェロッサの親が使用人との結婚に反対してね。ここまで逃げてきて店を構えたんだが、アプリオの腕が良くて評判になったんだ。店を大きなところに構えようと、やはり元居た国から移住してきた人達から金を借りようとしたんだけど、その事で身バレして両親に見つかってしまったわけだ。向こうの両親も子供まで出来たから、料理の腕を見せてくれたら結婚を認めて、資金も出そうって話になったんだが、その試験の時にチャーハンで失敗してな……」
説明がとても長い。
一言で言えば◯王飯店だろ。
それを言っちゃ駄目か。
「なんでチャーハンが失敗したんだ?自分の妻を『お嬢様』って呼ぶくらいの気弱さだから、火の主人になりきれなくてチャーハンがパラッとしなかったとか?」
俺の疑問にオッティが答えてくれる。
「それは漫画の話だろ。と言いたいところだが、その通りだ。他の料理は完璧なんだが、チャーハンだけはどうにもいけない。で、アルトに相談って訳だ」
まんまの設定でなんかごめん。
まあ、きっと偶然の一致だよね。
「なんで俺なんだよ」
「アプリオにチャーハンの作業標準書をつくってやってほしい。幸い、ヴェロッサの両親も再試験を認めてくれたんだが、時間がない。作業標準書にそって訓練すれば間に合うだろうけどな」
オッティは俺の両肩をガシッと掴んだ。
店内の全員が期待の目で俺を見る。
だが、
「作業標準書は難しい」
俺は首を横に振った。
「どうしてだよ」
オッティが強めの口調になる。
「手ロウ付けの作業標準書が役に立ったか?あの作業を作業標準書をみながらやるくらいなら、道場で訓練して作業標準書を見ずにやった方がうまく出来ただろ。職人を作業標準書で作ることは出来ないんだ。オッティがチャーハン作る機械をスキルで作ればいいじゃないか」
作業標準書は完璧という建前なんだが、手ロウ付けには向かない。
材料に熱を加える感覚や、濡れ具合を作業標準書におとしこめるのであればやって見せてほしい。
なんでもかんでも作業標準書を要求してこないでくれ。
俺の言葉にオッティが反論する。
「ふざけるな。たかがチャーハン一つ、作業標準書で美味しくつくってやる!」
「馬鹿なことはやめろ!」
俺は止めるが、オッティは聞かない。
「やってみなければ分からん!」
「正気か!?」
「貴様ほど急ぎもしなければ、人類に絶望もしていない!」
「再試験へのカウントダウンは始まっているんだぞ!」
「作業標準書は伊達じゃない!!」
「やめなさい、二人とも。ただでさえゼータと声優被っているのに、旦那はオルテガだし、奥さんの旦那はネオ◯オンの総帥なのよ!おっさんのオタクが脱線する事例じゃない」
「「はい……」」
グレイスに怒られて、二人ともシュンとしてしまった。
悪のりしすぎたな。
アプリオにはグレイスの屋敷で使っていた、エッセが作った最高品質の中華鍋をプレゼントして、再試験当日まで特訓したことで、無事に両親を納得させることが出来た。
やはり、作業標準書よりも道場だな。
俺としては人による作業を無くしたいところだが。
後日、アプリオとヴェロッサの結婚式が執り行われ、ライスシャワーはチャーハンだったとか。
服に油がつくだろ!
※作者の独り言
手ロウ付けや手直しにも作者標準書が要求されますが、慣れた職人の作業には及びません。
というか、作業標準書見ただけで、手ロウ付け出来る作業者が居るならつれてきてほしい。
もしくは、見るだけで手ロウ付けが出来るようになる作業標準書を作れる人。
あのグルメアニメの声優陣は豪華でしたね。
米は外国にあったらしいですよ。
指摘してくれた人、ありがとうございます。
馬車に取り付けるエアコンのFMEAを作るからと呼ばれたのだ。
そんなもんネット会議でやれば移動しなくてすむのだが、残念ながらそんなものはここにはない。
ゲートの魔法とか、水晶を通した会話が出来る魔法とか有ってもよさそうだが。
今度、カレンに会った時にでも聞いてみようか。
そんな会議を朝からやっていたのだが白熱してしまい、時刻はお昼をかなり過ぎてしまって、やっと昼食休憩を取ることになった。
さて、何を食おうかと悩んでいたときに、オッティが誘ってきた。
「アルト、近くに新しく出来た定食屋があるんだけど、ここが中華料理みたいなんだ。行ってみないか?」
「中華料理があるのか。転生してからずっと食ってなかったから、是非とも行ってみたいな」
俺は中華料理には目がない。
中国工場に出張したときに、朝からホテルの脂っこい中華料理の食事をしていたくらいだ。
一緒に行った連中は、パンとコーヒーだけしか口にしていなかったな。
昼の弁当も中華料理だから、油が腹に来るとか言ってた。
「あら、ひょっとしてアプリオの店かしら。それなら私も行くわ」
グレイスも一緒に行くことになり、三人でその店に来た。
外見は街の小さな中華料理屋そっくりだ。
建物が薄汚れているのは何故だろう?
ここは新興の領地で、新築ばかりのはずなのに。
そんな疑問はあったが、そこはそれ、フレーバーだなと割りきった。
「いらっしゃいませ」
中に入ると、小さな子供を背負った若い女性が挨拶をしてくれた。
厨房には気の弱そうな若い男の料理人が居る。
店員はその二人だけなので、夫婦なのかな?
時間がずれたこともあって、店内には俺たち以外の客は居ない。
「久しぶりね、ヴェロッサ。アプリオはどう?」
グレイスは常連らしく、女性と気軽に会話をする。
「お父様からの課題のチャーハンがうまく出来なくて……」
今まで明るかったヴェロッサの顔が曇った。
課題のチャーハン?
不思議そうにしている俺に、オッティが事情を説明してくれる。
「この店を経営しているアプリオとヴェロッサは外国から移住してきた人達のまとめ役だった人の屋敷にいたんだが駆け落ちしてきたんだ。アプリオは元々ヴェロッサの親の屋敷の料理人だったのだが、ヴェロッサの親が使用人との結婚に反対してね。ここまで逃げてきて店を構えたんだが、アプリオの腕が良くて評判になったんだ。店を大きなところに構えようと、やはり元居た国から移住してきた人達から金を借りようとしたんだけど、その事で身バレして両親に見つかってしまったわけだ。向こうの両親も子供まで出来たから、料理の腕を見せてくれたら結婚を認めて、資金も出そうって話になったんだが、その試験の時にチャーハンで失敗してな……」
説明がとても長い。
一言で言えば◯王飯店だろ。
それを言っちゃ駄目か。
「なんでチャーハンが失敗したんだ?自分の妻を『お嬢様』って呼ぶくらいの気弱さだから、火の主人になりきれなくてチャーハンがパラッとしなかったとか?」
俺の疑問にオッティが答えてくれる。
「それは漫画の話だろ。と言いたいところだが、その通りだ。他の料理は完璧なんだが、チャーハンだけはどうにもいけない。で、アルトに相談って訳だ」
まんまの設定でなんかごめん。
まあ、きっと偶然の一致だよね。
「なんで俺なんだよ」
「アプリオにチャーハンの作業標準書をつくってやってほしい。幸い、ヴェロッサの両親も再試験を認めてくれたんだが、時間がない。作業標準書にそって訓練すれば間に合うだろうけどな」
オッティは俺の両肩をガシッと掴んだ。
店内の全員が期待の目で俺を見る。
だが、
「作業標準書は難しい」
俺は首を横に振った。
「どうしてだよ」
オッティが強めの口調になる。
「手ロウ付けの作業標準書が役に立ったか?あの作業を作業標準書をみながらやるくらいなら、道場で訓練して作業標準書を見ずにやった方がうまく出来ただろ。職人を作業標準書で作ることは出来ないんだ。オッティがチャーハン作る機械をスキルで作ればいいじゃないか」
作業標準書は完璧という建前なんだが、手ロウ付けには向かない。
材料に熱を加える感覚や、濡れ具合を作業標準書におとしこめるのであればやって見せてほしい。
なんでもかんでも作業標準書を要求してこないでくれ。
俺の言葉にオッティが反論する。
「ふざけるな。たかがチャーハン一つ、作業標準書で美味しくつくってやる!」
「馬鹿なことはやめろ!」
俺は止めるが、オッティは聞かない。
「やってみなければ分からん!」
「正気か!?」
「貴様ほど急ぎもしなければ、人類に絶望もしていない!」
「再試験へのカウントダウンは始まっているんだぞ!」
「作業標準書は伊達じゃない!!」
「やめなさい、二人とも。ただでさえゼータと声優被っているのに、旦那はオルテガだし、奥さんの旦那はネオ◯オンの総帥なのよ!おっさんのオタクが脱線する事例じゃない」
「「はい……」」
グレイスに怒られて、二人ともシュンとしてしまった。
悪のりしすぎたな。
アプリオにはグレイスの屋敷で使っていた、エッセが作った最高品質の中華鍋をプレゼントして、再試験当日まで特訓したことで、無事に両親を納得させることが出来た。
やはり、作業標準書よりも道場だな。
俺としては人による作業を無くしたいところだが。
後日、アプリオとヴェロッサの結婚式が執り行われ、ライスシャワーはチャーハンだったとか。
服に油がつくだろ!
※作者の独り言
手ロウ付けや手直しにも作者標準書が要求されますが、慣れた職人の作業には及びません。
というか、作業標準書見ただけで、手ロウ付け出来る作業者が居るならつれてきてほしい。
もしくは、見るだけで手ロウ付けが出来るようになる作業標準書を作れる人。
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米は外国にあったらしいですよ。
指摘してくれた人、ありがとうございます。
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