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第303話 メジャーレポートの互換性なんで無いの?
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「公差院測定子、王太子の婚約者という立場を利用して行ってきた数々の悪事の証拠はここに揃っているんだぞ」
私はそう言われて頭痛で瞑っていた目を開いた。
すると、目の前には絶世の美男子が立っていた。
おかしい。
記憶が戻る直前には会社の測定室で徹夜の仕事をしていたはずだ。
それなのに、乙女ゲームの学園のような景色、そして私を取り囲む人たち。
この繋がりが理解できない。
でも、私は目の前の人物をはじめ、周囲の人たちを知っている。
「島津様?」
私がそういうと、目の前の美男子はムッとしていた表情から、呆れたへと変わった。
「普段は島津と呼び捨てにしていたのに、いざ断罪させられる立場になると途端にへりくだるのか」
そう吐き捨てるように言われたが、なにもへりくだったわけではない。
ここは自分がプレイしていた乙女ゲーム『恋のメジャーレポート』の世界だ。
目の前の美男子は攻略対象キャラの島津。
ついつい様付けで呼んでいた記憶から、同じように言ってしまったのだ。
「お嬢様、観念なさったほうがよろしいのでは」
「黒田……」
私の後ろに付き従うように立つのは、これまた攻略対象キャラの黒田。
陰のあるキャラで、一定の需要はありそうだ。
私は全然攻略する気にならなかったけど。
「もうすぐ王太子が到着される。そこで申し開きがあればするんだな」
そういったのはこれまた美形攻略対象の武田。
この乙女ゲーム『恋メジャ』は記号化された乙女ゲームの要素が盛りだくさんなのにヒットしなかった。
何故ならば、開発者が狙ったのは品管女子だったから、そもそもの需要が無かったのだ。
島津、黒田、武田と聞けば、歴女なら戦国大名を思い出すだろう。
いや、歴女に限らず一般的にはそうだろう。
だけど、このゲームのキャラはみんな測定機メーカーの名前が元ネタになっているのだ。
そしてそれは当然王太子も。
「光豊様、それに弟君の東成様もご一緒ですか」
王太子とその弟。
当然どちらも攻略対象だ。
それが揃って登場する。
これがこのゲームのラストの見せ場。
悪役令嬢の断罪イベントだ。
まさか自分が断罪される立場になるとは思ってもいなかったけど。
「今までお前が婚約者だった事が消せない過去で残念だよ」
王太子の光豊は蔑むような目でこちらを見る。
そこで、ゲームとは違った、測定子の記憶が流れ込んでくる。
あれ、光豊の罪を私に擦り付けようとしている?
そう、光豊はヒロインと遊ぶための金欲しさに、軍事転用可能な製品を隣国へ密輸していたのだ。
その事に気付いた私に罪を擦り付けて、自分は新しい女と楽しく暮らすつもりらしい。
そんな男はこちらから願い下げだが、罪人にされるのは納得いかない。
「何よこれ」
目の前のグレイスは、俺の書いた原稿から目を離してこちらを見た。
「悪役令嬢の話が読みたいっていうから、こうして書いてみたんだけど」
そう、グレイスが前世で読んでいた、悪役令嬢転生小説が読みたいっていうから、こうして書き下ろししたのだ。
「それはわかっているわよ。私が言いたいのは、どうして品質管理から離れられないのかっていうことと、企業の不祥事を絡めないと物語が進まないのかっていうことよ」
「あちら側の国に測定機を密輸した話をよくご存じで」
「社長が逮捕されたニュースを見たわよ」
そんな事件もありましたね。
事件はさておき、グレイス本人が転生悪役令嬢なのだから、本人と設定が被らないように気を遣ったのだが、どうもそれが気に入らなかったようだ。
この導入部分の受けがよければ、続きを書こうと思ったのだが、この様子だとお蔵入りだな。
また別の話を考えなければ。
※作者の独り言
思い付いたので、勿体ないから書きました。
メジャーレポートがバージョンによっては互換性が無いの、本当に困るんですけど。
私はそう言われて頭痛で瞑っていた目を開いた。
すると、目の前には絶世の美男子が立っていた。
おかしい。
記憶が戻る直前には会社の測定室で徹夜の仕事をしていたはずだ。
それなのに、乙女ゲームの学園のような景色、そして私を取り囲む人たち。
この繋がりが理解できない。
でも、私は目の前の人物をはじめ、周囲の人たちを知っている。
「島津様?」
私がそういうと、目の前の美男子はムッとしていた表情から、呆れたへと変わった。
「普段は島津と呼び捨てにしていたのに、いざ断罪させられる立場になると途端にへりくだるのか」
そう吐き捨てるように言われたが、なにもへりくだったわけではない。
ここは自分がプレイしていた乙女ゲーム『恋のメジャーレポート』の世界だ。
目の前の美男子は攻略対象キャラの島津。
ついつい様付けで呼んでいた記憶から、同じように言ってしまったのだ。
「お嬢様、観念なさったほうがよろしいのでは」
「黒田……」
私の後ろに付き従うように立つのは、これまた攻略対象キャラの黒田。
陰のあるキャラで、一定の需要はありそうだ。
私は全然攻略する気にならなかったけど。
「もうすぐ王太子が到着される。そこで申し開きがあればするんだな」
そういったのはこれまた美形攻略対象の武田。
この乙女ゲーム『恋メジャ』は記号化された乙女ゲームの要素が盛りだくさんなのにヒットしなかった。
何故ならば、開発者が狙ったのは品管女子だったから、そもそもの需要が無かったのだ。
島津、黒田、武田と聞けば、歴女なら戦国大名を思い出すだろう。
いや、歴女に限らず一般的にはそうだろう。
だけど、このゲームのキャラはみんな測定機メーカーの名前が元ネタになっているのだ。
そしてそれは当然王太子も。
「光豊様、それに弟君の東成様もご一緒ですか」
王太子とその弟。
当然どちらも攻略対象だ。
それが揃って登場する。
これがこのゲームのラストの見せ場。
悪役令嬢の断罪イベントだ。
まさか自分が断罪される立場になるとは思ってもいなかったけど。
「今までお前が婚約者だった事が消せない過去で残念だよ」
王太子の光豊は蔑むような目でこちらを見る。
そこで、ゲームとは違った、測定子の記憶が流れ込んでくる。
あれ、光豊の罪を私に擦り付けようとしている?
そう、光豊はヒロインと遊ぶための金欲しさに、軍事転用可能な製品を隣国へ密輸していたのだ。
その事に気付いた私に罪を擦り付けて、自分は新しい女と楽しく暮らすつもりらしい。
そんな男はこちらから願い下げだが、罪人にされるのは納得いかない。
「何よこれ」
目の前のグレイスは、俺の書いた原稿から目を離してこちらを見た。
「悪役令嬢の話が読みたいっていうから、こうして書いてみたんだけど」
そう、グレイスが前世で読んでいた、悪役令嬢転生小説が読みたいっていうから、こうして書き下ろししたのだ。
「それはわかっているわよ。私が言いたいのは、どうして品質管理から離れられないのかっていうことと、企業の不祥事を絡めないと物語が進まないのかっていうことよ」
「あちら側の国に測定機を密輸した話をよくご存じで」
「社長が逮捕されたニュースを見たわよ」
そんな事件もありましたね。
事件はさておき、グレイス本人が転生悪役令嬢なのだから、本人と設定が被らないように気を遣ったのだが、どうもそれが気に入らなかったようだ。
この導入部分の受けがよければ、続きを書こうと思ったのだが、この様子だとお蔵入りだな。
また別の話を考えなければ。
※作者の独り言
思い付いたので、勿体ないから書きました。
メジャーレポートがバージョンによっては互換性が無いの、本当に困るんですけど。
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