317 / 439
第316話 RPN評価をしてみよう
しおりを挟む
流行りにのっかってみた。
それでは本編いってみましょう。
「RPNだ!」
俺は声を上げた。
場所は冒険者ギルドの会議室。
今はMMRとして、次の活動をどうしようかという話をしている。
メンバーは俺とシルビアとレオーネ。
今まで改善のツールを色々と異世界に持ち込んできたが、今回はRPNを使ってみようと思う。
RPNは日本語では危険優先指数という。
FMEAを実施するときに、故障の度合いを評価する仕組みだ。
ウィキペディアだと厳しさ・頻度・検出可能性の3項目となっているが、厳しさという表現は会社によって様々である。
頻度と検出可能性は一緒だけど。
この3項目それぞれを1~10点で評価して掛け算をする。
1~1000点までのレンジがあるが、数字が少ない方が優秀となっている。
例えばだが、厳しさの項目は死亡やリコールに繋がるものは10点となる。
走行中に屋根がはがれちゃう車なんて10点ですね。
頻度がどの程度なのかわからないが、CPKや不良率などで評価した時に、同じ不具合が数多く寄せられていれば、やはりそれも10点だろう。
そして、その検出についてどう評価するかだが、機械で評価するのであれば、点数は低くなるのだが、目視検査のみだったりすると、点数は高くなってしまう。
そもそも屋根がはがれるのを検査で見つけられるのかっていうのもあって、検査できないようであればそれも10点となってしまう。
通常100点以上は要対策っていう会社が多いのだが、この事例で行くと1000点となってしまい、そもそも売っていいのかなっていうレベルだな。
どこの会社というわけでなく、あくまでも例として挙げたまでの事。
そんなRPNを冒険者たちにも適用していこうと思う。
今回も100点以上は対策を取るということでやってみようか。
「話はわかったわ。まずはそれぞれの項目で10段階の目安をつくるわけね」
シルビアの呑み込みが早い。
俺の説明で簡単に理解したようだ。
まあ、ここからランク分けしていくのに時間が掛かりそうだよな。
なにせ、工業系の仕組みを冒険に置き換えなくてはならないので。
「今回は始めてだから、シルビアがよく知っている剣による攻撃で考えようか」
剣による攻撃というのが工程になる。
その工程でどんな故障モードがあるのかを洗い出す。
「まず、考えられるミスは色々あるけど、すっぽぬけっていうのがあるわね。手に汗をかいていたりするとやっちゃうかも」
「なるほどね。それだと剣として機能しないから、重要度、厳しさは10点かな。発生頻度はどんなもんだろうか?」
厳しさを10段階に分ける。
使えないから問題なく使えるまでを点数付けするのだが
使えない 10点
使ったら壊れる 9点
ダメージは与えられるが切れない 8点
殆ど切れない 7点
半分くらい切れる 6点
3割程度切れる 5点
殆どの剣士が違和感に気づく 4点
半数の剣士が違和感に気づく 3点
殆どの剣士が違和感に気づかない 2点
問題なく使える 1点
としようか。
「個人差があるから難しいわね。初心者だと、5回の冒険のうち、1回はやるんじゃないかしら」
「結構な頻度だな。だとすると、7点くらいかな。ただ、すっぽぬけたのは100%わかるから、合計点は10×7×1で、70点になるね」
頻度はフィーリングで決めた。
「それだと100点以下だから、問題ないのでは?」
レオーネが発言する。
「たしかに、点数では70点だから、100点未満で改善の必要は無いと思えるけど、実はそうでもないんだ。厳しさが9点10的だと命の危険があるから、50点以下まで改善しないとね」
これは俺の説明が足りなかったのも悪いな。
命に関わるようなことは100点未満であっても、改善をすべきだろうな。
「確かに、剣を落とした状態では危険ね」
シルビアが頷いた。
「だから、ここで改善をすることになるんだ。今よりも落とす頻度を下げるような工夫が必用だよね」
「滑り止めを手に塗るとかかしら?もしくは、柄の部分を滑りにくい材質に変えたり」
レオーネが対策案を考える。
かなりいい。
「握力をつければいいのよ」
それにたいして、シルビアは乱暴だな。
思わず苦笑した。
「大体、剣を落としたくらいで致命的な状況になるなんて、冒険者としては失格ね。素手や鞘、シールドでも戦えばいいのよ。だから、厳しさは3点でいいわ。だから21点よ!」
シルビアの言うことは暴論のようだが、前世では実際こんなもんだったな。
0.1ミリの寸法差がある製品を目視検査するという工程が、30点だったときには、この会社もうダメだと思いましたというのを理解していただけただろうか。
最初から改善するほどの工程は無しというのが暗黙のルールだったのだ。
多くの会社は真面目にやっていると思うけどね。
ね?
暴走するシルビアをなだめながら、その後もRPNの点数付けは続いた。
※作者の独り言
同業の方はRPNの段階分け突っ込み禁止で。
まあなんにしても、新規製品や不具合が出た時は、こうしてRPNの評価をしているわけなのですが、走行中に屋根が取れるなんてのは、この段階で対策が取られるはずです。
作品中のように、数字を無理やりいじくるなんてのは、あっても100点ギリギリの奴であって、そんなヤバい不具合に繋がる工程設定はしません。
あれが多発性のある不具合だとしたら、本当にヤバいですよね。
どうなってんだ?
それでは本編いってみましょう。
「RPNだ!」
俺は声を上げた。
場所は冒険者ギルドの会議室。
今はMMRとして、次の活動をどうしようかという話をしている。
メンバーは俺とシルビアとレオーネ。
今まで改善のツールを色々と異世界に持ち込んできたが、今回はRPNを使ってみようと思う。
RPNは日本語では危険優先指数という。
FMEAを実施するときに、故障の度合いを評価する仕組みだ。
ウィキペディアだと厳しさ・頻度・検出可能性の3項目となっているが、厳しさという表現は会社によって様々である。
頻度と検出可能性は一緒だけど。
この3項目それぞれを1~10点で評価して掛け算をする。
1~1000点までのレンジがあるが、数字が少ない方が優秀となっている。
例えばだが、厳しさの項目は死亡やリコールに繋がるものは10点となる。
走行中に屋根がはがれちゃう車なんて10点ですね。
頻度がどの程度なのかわからないが、CPKや不良率などで評価した時に、同じ不具合が数多く寄せられていれば、やはりそれも10点だろう。
そして、その検出についてどう評価するかだが、機械で評価するのであれば、点数は低くなるのだが、目視検査のみだったりすると、点数は高くなってしまう。
そもそも屋根がはがれるのを検査で見つけられるのかっていうのもあって、検査できないようであればそれも10点となってしまう。
通常100点以上は要対策っていう会社が多いのだが、この事例で行くと1000点となってしまい、そもそも売っていいのかなっていうレベルだな。
どこの会社というわけでなく、あくまでも例として挙げたまでの事。
そんなRPNを冒険者たちにも適用していこうと思う。
今回も100点以上は対策を取るということでやってみようか。
「話はわかったわ。まずはそれぞれの項目で10段階の目安をつくるわけね」
シルビアの呑み込みが早い。
俺の説明で簡単に理解したようだ。
まあ、ここからランク分けしていくのに時間が掛かりそうだよな。
なにせ、工業系の仕組みを冒険に置き換えなくてはならないので。
「今回は始めてだから、シルビアがよく知っている剣による攻撃で考えようか」
剣による攻撃というのが工程になる。
その工程でどんな故障モードがあるのかを洗い出す。
「まず、考えられるミスは色々あるけど、すっぽぬけっていうのがあるわね。手に汗をかいていたりするとやっちゃうかも」
「なるほどね。それだと剣として機能しないから、重要度、厳しさは10点かな。発生頻度はどんなもんだろうか?」
厳しさを10段階に分ける。
使えないから問題なく使えるまでを点数付けするのだが
使えない 10点
使ったら壊れる 9点
ダメージは与えられるが切れない 8点
殆ど切れない 7点
半分くらい切れる 6点
3割程度切れる 5点
殆どの剣士が違和感に気づく 4点
半数の剣士が違和感に気づく 3点
殆どの剣士が違和感に気づかない 2点
問題なく使える 1点
としようか。
「個人差があるから難しいわね。初心者だと、5回の冒険のうち、1回はやるんじゃないかしら」
「結構な頻度だな。だとすると、7点くらいかな。ただ、すっぽぬけたのは100%わかるから、合計点は10×7×1で、70点になるね」
頻度はフィーリングで決めた。
「それだと100点以下だから、問題ないのでは?」
レオーネが発言する。
「たしかに、点数では70点だから、100点未満で改善の必要は無いと思えるけど、実はそうでもないんだ。厳しさが9点10的だと命の危険があるから、50点以下まで改善しないとね」
これは俺の説明が足りなかったのも悪いな。
命に関わるようなことは100点未満であっても、改善をすべきだろうな。
「確かに、剣を落とした状態では危険ね」
シルビアが頷いた。
「だから、ここで改善をすることになるんだ。今よりも落とす頻度を下げるような工夫が必用だよね」
「滑り止めを手に塗るとかかしら?もしくは、柄の部分を滑りにくい材質に変えたり」
レオーネが対策案を考える。
かなりいい。
「握力をつければいいのよ」
それにたいして、シルビアは乱暴だな。
思わず苦笑した。
「大体、剣を落としたくらいで致命的な状況になるなんて、冒険者としては失格ね。素手や鞘、シールドでも戦えばいいのよ。だから、厳しさは3点でいいわ。だから21点よ!」
シルビアの言うことは暴論のようだが、前世では実際こんなもんだったな。
0.1ミリの寸法差がある製品を目視検査するという工程が、30点だったときには、この会社もうダメだと思いましたというのを理解していただけただろうか。
最初から改善するほどの工程は無しというのが暗黙のルールだったのだ。
多くの会社は真面目にやっていると思うけどね。
ね?
暴走するシルビアをなだめながら、その後もRPNの点数付けは続いた。
※作者の独り言
同業の方はRPNの段階分け突っ込み禁止で。
まあなんにしても、新規製品や不具合が出た時は、こうしてRPNの評価をしているわけなのですが、走行中に屋根が取れるなんてのは、この段階で対策が取られるはずです。
作品中のように、数字を無理やりいじくるなんてのは、あっても100点ギリギリの奴であって、そんなヤバい不具合に繋がる工程設定はしません。
あれが多発性のある不具合だとしたら、本当にヤバいですよね。
どうなってんだ?
0
あなたにおすすめの小説
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
転生幼女のチートな悠々自適生活〜伝統魔法を使い続けていたら気づけば賢者になっていた〜
犬社護
ファンタジー
ユミル(4歳)は気がついたら、崖下にある森の中に呆然と佇んでいた。
馬車が崖下に落下した影響で、前世の記憶を思い出したのだ。前世、日本伝統が子供の頃から大好きで、小中高大共に伝統に関わるクラブや学部に入り、卒業後はお世話になった大学教授の秘書となり、伝統のために毎日走り回っていたが、旅先の講演の合間、教授と2人で歩道を歩いていると、暴走車が突っ込んできたので、彼女は教授を助けるも、そのまま跳ね飛ばされてしまい、死を迎えてしまう。
享年は25歳。
周囲には散乱した荷物だけでなく、さっきまで会話していた家族が横たわっている。
25歳の精神だからこそ、これが何を意味しているのかに気づき、ショックを受ける。
大雨の中を泣き叫んでいる時、1体の小さな精霊カーバンクルが現れる。前世もふもふ好きだったユミルは、もふもふ精霊と会話することで悲しみも和らぎ、互いに打ち解けることに成功する。
精霊カーバンクルと仲良くなったことで、彼女は日本古来の伝統に関わる魔法を習得するのだが、チート魔法のせいで色々やらかしていく。まわりの精霊や街に住む平民や貴族達もそれに振り回されるものの、愛くるしく天真爛漫な彼女を見ることで、皆がほっこり心を癒されていく。
人々や精霊に愛されていくユミルは、伝統魔法で仲間たちと悠々自適な生活を目指します。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう
お餅ミトコンドリア
ファンタジー
パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。
だが、全くの無名。
彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。
若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。
弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。
独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。
が、ある日。
「お久しぶりです、師匠!」
絶世の美少女が家を訪れた。
彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。
「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」
精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。
「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです!
何卒宜しくお願いいたします!)
今日からはじめる錬金生活〜家から追い出されたので王都の片隅で錬金術店はじめました〜
束原ミヤコ
ファンタジー
マユラは優秀な魔導師を輩出するレイクフィア家に生まれたが、魔導の才能に恵まれなかった。
そのため幼い頃から小間使いのように扱われ、十六になるとアルティナ公爵家に爵位と金を引き換えに嫁ぐことになった。
だが夫であるオルソンは、初夜の晩に現れない。
マユラはオルソンが義理の妹リンカと愛し合っているところを目撃する。
全てを諦めたマユラは、領地の立て直しにひたすら尽力し続けていた。
それから四年。リンカとの間に子ができたという理由で、マユラは離縁を言い渡される。
マユラは喜び勇んで家を出た。今日からはもう誰かのために働かなくていい。
自由だ。
魔法は苦手だが、物作りは好きだ。商才も少しはある。
マユラは王都の片隅で、錬金術店を営むことにした。
これは、マユラが偉大な錬金術師になるまでの、初めの一歩の話──。
転生したら、伯爵家の嫡子で勝ち組!だけど脳内に神様ぽいのが囁いて、色々依頼する。これって異世界ブラック企業?それとも社畜?誰か助けて
ゆうた
ファンタジー
森の国編 ヴェルトゥール王国戦記
大学2年生の誠一は、大学生活をまったりと過ごしていた。
それが何の因果か、異世界に突然、転生してしまった。
生まれも育ちも恵まれた環境の伯爵家の嫡男に転生したから、
まったりのんびりライフを楽しもうとしていた。
しかし、なぜか脳に直接、神様ぽいのから、四六時中、依頼がくる。
無視すると、身体中がキリキリと痛むし、うるさいしで、依頼をこなす。
これって異世界ブラック企業?神様の社畜的な感じ?
依頼をこなしてると、いつの間か英雄扱いで、
いろんな所から依頼がひっきりなし舞い込む。
誰かこの悪循環、何とかして!
まったりどころか、ヘロヘロな毎日!誰か助けて
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる