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第330話 インサイダー取引はやめよう
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相場をテーマにした小説書きたいと思いながら、全く出来てない。
今回はそんな想いを入れたお話です。
それでは本編いってみましょう。
「ところで、アルトもオッティも散々インサイダー情報に触れていたけど、それを使て株式の売買をしなかったの?」
小籠包を食べ終わってしまい、再び口が動くようになると、グレイスがとんでもないことを言いだした。
「インサイダー情報で売買したら犯罪だろ。損してもインサイダー取引は罰則は適用されるからな」
俺は呆れた顔でグレイスを見た。
これはコンプライアンス教育を受けてないとわからないか。
「そんなことないわよ。二人が取引していたのって大手の自動車メーカーでしょ」
「直接の取引じゃないけどな」
オッティがグレイスの言葉を訂正した。
ティア2だったので、納品先はティア1だったのだ。
そこでさらにアッセンブリされたものが、自動車メーカーの工場に納品されていたので、直接的には取引は無かったのだ。
「それでもリコール情報とか持っていたんでしょ」
「まあ、自社の関連部品だったらそうなるな」
俺はそう答えたが、実際は少し違う。
その違いを説明するのは面倒だったので、今回は省略した。
リコール情報なんて簡単には外部に漏れない。
確かに自社の部品を組み込んでいるユニットがリコールともなれば、作りだめの注文がくるのだが、それはリコールを発表した後の事だ。
極稀にリコールが来るとわかる事もあるのだが、それは本当に偶然が重ならないと無理である。
流石にそれをここでは書けないが。
「言っておくが、家族の口座で売買しても、証券取引等監視委員会は発見するからな。それで逮捕されたなんて散々ニュースになったろう」
俺はグレイスが言いそうなことを先に否定しておいた。
「そんなことしないわよ。というか、該当する銘柄を売買せずに、インサイダーで利益を出せるわよ」
「売買しなければ利益も損失も出ないんじゃないか?」
オッティがグレイスに疑問をぶつけた。
俺も頷く。
インサイダー取引と言いながら、取引しないとはどういうことか。
「取引はするわよ。ただ、該当銘柄は除くってだけ。日経平均株価って知ってる?」
「それくらいは知っているよ」
俺は馬鹿にされたようで、少しムッとして言い返した。
「大手自動車メーカーは日経平均採用銘柄に採用されているの。ヤマハ、日野、トヨタ、日産、三菱、SUBARU、いすゞ、日野、ホンダってね。日産車体は採用されてないけど。それで、その中のどれかの銘柄で大規模リコールの情報を掴んだとしたら、その銘柄以外の全部の日経平均採用銘柄を購入するの。そして、同額の日経平均先物を売ればいいの。そうすると、該当銘柄の下落分だけ利益になるわ。これならインサイダー取引にならないのよ」
グレイスの話を整理すると、日経平均先物は日経平均採用銘柄の値動きとリンクしている。
つまり、日経平均採用銘柄を加重平均に応じて購入し、同額の日経平均先物を売った場合、利益も損失も出ないのだ。
まあ、実際は手数料分損するのだが。
そして、インサイダー情報を持っている企業が下がると思えば、先述のようにそれ以外の企業を購入して、日経平均先物を売ることで、現物と先物の差分が利益になるという訳である。
尚、先物についてはインサイダー取引は適用されないので、これなら確かにインサイダー取引には該当しないような気もする。
「これはインサイダー取引じゃないけど、東日本大震災の時に東京電力を空売り出来ない機関投資家が取った戦略よ。様々な理由で東京電力を空売り出来なかったから、東京電力以外の日経平均採用銘柄を買って、同額の日経平均先物を売ったの。まあ、これが出来る条件も限られているから、誰でも出来るってわけじゃないけどね」
「条件?」
俺はオッティのグラスにワインを注ぎながら、グレイスに条件を訊ねた。
「まず、常に株価は動いているから、高速で注文できるシステムを持っていないと駄目なの。何せ先物と現物の裁定取引なんだから、鞘がない事が条件になるのよ。同じ理由で全銘柄が取引成立していることね。何かの銘柄がストップ高やストップ安だと、これも裁定取引が成立しないから。そして、その裁定取引を出来るだけの証拠金を持っている事。この条件があって初めてできるのよ」
なるほど、現物と先物で同じ日経平均の商品を作らなければならないから、高速取引が出来る環境が必要なのか。
合計225回も注文しなきゃならないので、手動ではまず無理だな。
グレイスの実家が使っている証券会社は注文を受けてくれるだろうとのこと。
そりゃあ大口顧客ですからねえ。
そして、株価が値幅いっぱいまで行ってしまうと、先物との連動が切れてしまう。
TOPIXでも理論上は同じ事が出来るのだが、やりにくい点はそれだろうな。
後は取引が極端に薄い銘柄があって、合成するのに手間がかかるってのがある。
なので、日経平均株価がいいのだそうだ。
そして、日経平均採用銘柄を全部買うだけの資金力。
そんなもんがあったら仕事していない。
まあ、全部の条件がそろうことなんて殆どなさそうだが、理論上はインサイダー情報を使って、インサイダー取引にならずに利益を出せるって事か。
異世界に東京証券取引所はないけどな。
※作者の独り言
この方法で売買したときに、インサイダー取引に抵触するのかどうか、証券取引等監視委員会の見解を訊いてみたいですね。
東日本大震災の時は、株主の売りが集中して、貸し株を調達できなかったっていうのと、東電とのお付き合いから、つなぎ売りするのが出来なかったっていう理由だったかと思います。
東電を空売りしないけど、東電の下げで利益を出すっていう手口がありましたね。
以前から使われていたみたいですが。
どことは言えませんが、自社株の取引きが出来ない会社のあそことかね。
ルールは破ってないよっていうことなのですかね。
違反して罰金の支払いを命じられたってニュースが無かったですから。
今回はそんな想いを入れたお話です。
それでは本編いってみましょう。
「ところで、アルトもオッティも散々インサイダー情報に触れていたけど、それを使て株式の売買をしなかったの?」
小籠包を食べ終わってしまい、再び口が動くようになると、グレイスがとんでもないことを言いだした。
「インサイダー情報で売買したら犯罪だろ。損してもインサイダー取引は罰則は適用されるからな」
俺は呆れた顔でグレイスを見た。
これはコンプライアンス教育を受けてないとわからないか。
「そんなことないわよ。二人が取引していたのって大手の自動車メーカーでしょ」
「直接の取引じゃないけどな」
オッティがグレイスの言葉を訂正した。
ティア2だったので、納品先はティア1だったのだ。
そこでさらにアッセンブリされたものが、自動車メーカーの工場に納品されていたので、直接的には取引は無かったのだ。
「それでもリコール情報とか持っていたんでしょ」
「まあ、自社の関連部品だったらそうなるな」
俺はそう答えたが、実際は少し違う。
その違いを説明するのは面倒だったので、今回は省略した。
リコール情報なんて簡単には外部に漏れない。
確かに自社の部品を組み込んでいるユニットがリコールともなれば、作りだめの注文がくるのだが、それはリコールを発表した後の事だ。
極稀にリコールが来るとわかる事もあるのだが、それは本当に偶然が重ならないと無理である。
流石にそれをここでは書けないが。
「言っておくが、家族の口座で売買しても、証券取引等監視委員会は発見するからな。それで逮捕されたなんて散々ニュースになったろう」
俺はグレイスが言いそうなことを先に否定しておいた。
「そんなことしないわよ。というか、該当する銘柄を売買せずに、インサイダーで利益を出せるわよ」
「売買しなければ利益も損失も出ないんじゃないか?」
オッティがグレイスに疑問をぶつけた。
俺も頷く。
インサイダー取引と言いながら、取引しないとはどういうことか。
「取引はするわよ。ただ、該当銘柄は除くってだけ。日経平均株価って知ってる?」
「それくらいは知っているよ」
俺は馬鹿にされたようで、少しムッとして言い返した。
「大手自動車メーカーは日経平均採用銘柄に採用されているの。ヤマハ、日野、トヨタ、日産、三菱、SUBARU、いすゞ、日野、ホンダってね。日産車体は採用されてないけど。それで、その中のどれかの銘柄で大規模リコールの情報を掴んだとしたら、その銘柄以外の全部の日経平均採用銘柄を購入するの。そして、同額の日経平均先物を売ればいいの。そうすると、該当銘柄の下落分だけ利益になるわ。これならインサイダー取引にならないのよ」
グレイスの話を整理すると、日経平均先物は日経平均採用銘柄の値動きとリンクしている。
つまり、日経平均採用銘柄を加重平均に応じて購入し、同額の日経平均先物を売った場合、利益も損失も出ないのだ。
まあ、実際は手数料分損するのだが。
そして、インサイダー情報を持っている企業が下がると思えば、先述のようにそれ以外の企業を購入して、日経平均先物を売ることで、現物と先物の差分が利益になるという訳である。
尚、先物についてはインサイダー取引は適用されないので、これなら確かにインサイダー取引には該当しないような気もする。
「これはインサイダー取引じゃないけど、東日本大震災の時に東京電力を空売り出来ない機関投資家が取った戦略よ。様々な理由で東京電力を空売り出来なかったから、東京電力以外の日経平均採用銘柄を買って、同額の日経平均先物を売ったの。まあ、これが出来る条件も限られているから、誰でも出来るってわけじゃないけどね」
「条件?」
俺はオッティのグラスにワインを注ぎながら、グレイスに条件を訊ねた。
「まず、常に株価は動いているから、高速で注文できるシステムを持っていないと駄目なの。何せ先物と現物の裁定取引なんだから、鞘がない事が条件になるのよ。同じ理由で全銘柄が取引成立していることね。何かの銘柄がストップ高やストップ安だと、これも裁定取引が成立しないから。そして、その裁定取引を出来るだけの証拠金を持っている事。この条件があって初めてできるのよ」
なるほど、現物と先物で同じ日経平均の商品を作らなければならないから、高速取引が出来る環境が必要なのか。
合計225回も注文しなきゃならないので、手動ではまず無理だな。
グレイスの実家が使っている証券会社は注文を受けてくれるだろうとのこと。
そりゃあ大口顧客ですからねえ。
そして、株価が値幅いっぱいまで行ってしまうと、先物との連動が切れてしまう。
TOPIXでも理論上は同じ事が出来るのだが、やりにくい点はそれだろうな。
後は取引が極端に薄い銘柄があって、合成するのに手間がかかるってのがある。
なので、日経平均株価がいいのだそうだ。
そして、日経平均採用銘柄を全部買うだけの資金力。
そんなもんがあったら仕事していない。
まあ、全部の条件がそろうことなんて殆どなさそうだが、理論上はインサイダー情報を使って、インサイダー取引にならずに利益を出せるって事か。
異世界に東京証券取引所はないけどな。
※作者の独り言
この方法で売買したときに、インサイダー取引に抵触するのかどうか、証券取引等監視委員会の見解を訊いてみたいですね。
東日本大震災の時は、株主の売りが集中して、貸し株を調達できなかったっていうのと、東電とのお付き合いから、つなぎ売りするのが出来なかったっていう理由だったかと思います。
東電を空売りしないけど、東電の下げで利益を出すっていう手口がありましたね。
以前から使われていたみたいですが。
どことは言えませんが、自社株の取引きが出来ない会社のあそことかね。
ルールは破ってないよっていうことなのですかね。
違反して罰金の支払いを命じられたってニュースが無かったですから。
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