才がないと伯爵家を追放された僕は、神様からのお詫びチートで、異世界のんびりスローライフ!!

にのまえ

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ノエールたちが帰った後

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 ノエールたちが帰った後――光が放たれた場所に、数名の王族騎士団が現れた。彼らは、凶暴な魔物が徘徊するこの森で、冒険者ギルドから派遣されたSSランク冒険者と共に、瘴気の濃度を調査していた。

「……騎士団長、この森は他より瘴気が濃いですね」
 
「そうか……どうりで魔物の動きが活発なわけだ」
 
「はい。冒険者ギルド長も、討伐依頼の多さに頭を抱えております」

 その時、森一面を覆うようなまばゆい光が走った。
 騎士と冒険者たちは、思わず足を止める。冒険者リーダーの指示で仲間の魔法使いが魔力を探知し、一斉に光の発生源へと向かった。

 その騎士団の中には――ノエールの兄、ジールの姿もあった。胸の奥で、嫌な予感が走る。

(この森は、ノエールが暮らす辺境地の近く……さっきの光、まさかノエールじゃないだろうな)

 幼い頃、弟が初めて魔法を放った時に見た光と、あまりにも似ていた。もしそうなら――面倒ごとは避けられない。

 今年は「魔王が復活する」という予言が出ている。
 王家は一か月前、異界から勇者を召喚した。しかし現れた勇者のステータスは驚くほど平凡で、魔力も剣技も人並み。訓練すれば伸びるだろうと諭しても、「俺は勇者だから強いはずだ」と耳を貸さない。再召喚は不可能で、国王は彼を支えられる、魔法使いや騎士を必死に探している。

 ――そんな中で、もしあの光を放ったのがノエールだと知れたら、どうなるか。

 いやいや、そんなはずはない。我がカストール伯爵家は代々、剣の名家。家族に魔法に秀でた者はおらず、誰もノエールに剣以外の才を期待してはいない。

 これはきっと、心配性な兄の取り越し苦労――そう思い込もうとした。もっとも、その“取り越し苦労”が見事に的中してしまうことを、この時のジールはまだ知らない。

(……今日帰ったら、父上に報告しておくか)
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