才がないと伯爵家を追放された僕は、神様からのお詫びチートで、異世界のんびりスローライフ!!

にのまえ

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55話

 急いで森を抜けると、僕とラテはホウキに乗り、オオカミの親子はラテの魔法でふわりと宙を舞った。狼の毛並みが風に揺れ、四つの影が夜空を駆けていく。――こんなすごい魔法まで使えるなんて、驚きよりも羨ましさの方が勝ってしまう。

「ラテ、その魔法、僕も覚えたい!」
「いやぁ、無理っすね。ノエール様はまず基本からっす。さっきも森をピカッと光らせてたじゃないっすか」

「……そうだね」

 あっさり言い切るラテの即答に、僕でもこの魔法を使うのは無理だと悟る。
――わかってる。僕が魔法を使えば、制御できずに魔力が溢れ、森ごと光らせてしまうなんて。

(チート級の魔力を持つのはいいけれど、不器用で扱いが難しいんだよな。のんびりスローライフを楽しみたいけど……あの光は何かと危ない。少しずつ練習するべきか)

「わ、わ、わぁ! 母ちゃん、空を飛んでる!」
「ええ、本当に飛んでいるわ」

 ケガが癒えた母オオカミと、はしゃぐ子供の声に、思わず頬が緩む。

「もうすぐ僕の屋敷に着くよ。着いたら、何か食べよう」
「はいっす!」

 親子にも声をかけながら、僕たちは辺境の屋敷へと舞い降りた。
 庭のエアーテントに入り、僕はさっそく食料を物色する。僕のスキル一日恩恵で貰える食料を、ここにまとめてあるのだ。

(千円以内とはいえ、毎日積み重なると結構たまるもんだな。生ものはアイテムボックスに入れてあるし)

「うーん。パンもいいけど、今日はアイテムボックスに残ってるハンバーグと、大量のパスタとレトルトのミートソースで……ハンバーグスパゲッティにしよう」

「いいっすね!」

 焚き火に火をつけ、大きな鍋と小さな鍋に魔法で水を張り、お湯を沸かす。ぐらぐらと泡立ったところで塩をひとつまみ。パスタを放り込み、別の鍋ではレトルトのミートソースを温めていく。

「ラテ、中のキッチンでハンバーグ焼いてきて」
「了解っす!」

 ラテはアイテムボックスから取り出した、大きなハンバーグを四つ持ち、軽やかに屋敷のキッチンへ。

 その様子を、母オオカミと、涎を垂らしながら待ちきれない子オオカミがじっと見つめていた。

「もうすぐ出来るから、一緒に食べよう!」

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