才がないと伯爵家を追放された僕は、神様からのお詫びチートで、異世界のんびりスローライフ!!

にのまえ

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56話

 ラテとオオカミの親子に見守られながら、でっかいハンバーグミートスパゲッティがついに完成した。僕は大きなお皿を人数分並べ、山盛りのスパゲッティをよそってテーブルに置く。

「いい匂い! 我ながら美味そうだ!」
「はい! とても美味そっす!」

「さぁ、みんなで食べよう!」

 子供のオオカミはとてとて歩き、テーブルの前にちょこんと座る。けれど、お母さんのオオカミは迷うように足を止めた。

「私達もご一緒して、いいのですか?」

「もちろん。みんなで食べた方が、何倍も美味しくなる!」

 さあ「いただきます!」――そう言おうとしたその時。屋敷の方から、チェルシーと叔父様がこちらへと、歩いてくるのが見えた。

(まさか、スパゲッティの匂いにつられて……? いや、そんなわけないよな)

 チェルシーはオオカミ親子に視線を落とし、静かに頷くと、僕へと目を向ける。

「こんにちは。あの親子……ノエールが助けたのね」

「ああ、そうだよ。薬草を摘みに行ったスノート原っぱ近くの森の中で、怪我をしていたんだ。……あ、その、ここに連れてきたのは、ケガを治すときに、僕が魔法を使ったからで……」

「え? ノエール、魔法を?」

「うん。焦って、なんとか助けたい一心で……。魔法を、気がついたら眩しいほどに光ってた」

「ふーん、やっぱり。あの時、スノート原っぱの方角から、一瞬だけど膨大な魔力を感じたわ」

 あちゃ……魔女のチェルシーには、やっぱりバレてたか。

「……でもさ、僕の魔法の力が役に立って、この子のお母さんを助けられてよかったよ。……ラテに“人が来るかも”って言われたときは、正直どきどきしたけどね」

「どきどき?」

 チェルシーがふふっと笑みをこぼす。その隣で、叔父様が――泣いていた。いつもは厳格で冷静な人の目から、静かに涙がこぼれ落ちている。

「ノエール……ほんとうに、本当にありがとう」

 掠れた声でそう告げると、叔父様はお母さんオオカミをそっと抱きしめた。

「――我妻、イリーナを……助けてくれて」

 その名を呼ばれたオオカミは、静かに目を細める。僕は言葉を失い、ただ息をのむ。

(……え? 我妻? イリーナ?)

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