才がないと伯爵家を追放された僕は、神様からのお詫びチートで、異世界のんびりスローライフ!!

にのまえ

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35話

 食器を洗い終えた僕たちは、そろって大きなあくびをした。腹が満たされると、途端に眠くなる。畑の見回りを終えたら、少し仮眠を取ろうと決めた。

「畑の見回りを終えたら、少し休憩しようか」
「それがいいっす」
「休憩? いいわね」

 どうやらチェルシーも家へ帰らず、一緒に休むつもりらしい。僕たちは青々と育つ野菜畑を見回り、温室の様子も確認する。

「野菜がよく育ってる。ラテ、午後になったら野菜を収穫しよう」

「はいっす」

 そう決めてテントへ戻り、エアーベッドへ飛び込んだ。

⭐︎

「ふわぁ、よく寝た~」

 朝からカレーをたらふく食べ、そのまま仮眠。目を覚ますと、外はすっかり暗くなっていた。どうやら寝過ぎて、もう夕方のようだ。

(ラテとチェルシーもまだ寝てる)

 二人を起こさないよう、そっとランタンに火を灯し、ライトの魔法を使い周囲を明るくする。すると、その眩しさにラテが飛び起きる。

「うわっ、真っ暗っす! もう夜っすか⁉︎」

 その声につられてチェルシーも目を覚まし、周りを見回して目を丸くした。

「え、嘘……もう夕方? このエアーベッドが気持ちよすぎて……つい寝ちゃった」

「はは、僕もだよ。昼を食べ損ねたし、お腹すいたね」

「腹ペコっす」
「そうね、お腹空いたわね」

 チェルシーは寝起きの髪を手櫛で整えながら、身支度を始める。僕とラテは寝癖も気にせず、大きなあくびをひとつ。

(んーん。夜ご飯はカップラーメンにしようかな)

 アイテムボックスをごそごそ探り、大盛りのカップラーメン、焼きそばを取り出す。前世、ネット通販でバラエティパックを買ったから、種類は豊富だ。

「これ、初めて見るっす!」

 ラテが目ざとく、焼きそばを手に取る。
 それは僕のお気に入りでもあるが、残念ながら一つしかない。

(ラテから一口もらうか……半分こにするか、それとも譲るか)

 少し悩んでいると――

「あっ、ラテずるい! 私もそれ食べたい。でも一つしかないみたいだから、みんなで分けて他のを食べましょう」

 チェルシーがそう提案した。
 ラテもすぐに頷く。

「それはいい案っす。みんなで分けるなら、俺っちはこの味噌ラーメンにするっす」

「私はこの醤油ラーメンにするわ」

「僕も醤油にしようかな。お湯を沸かしてくるから、ちょっと待ってて」

「「はーい!」」

 消していた焚き火に薪をくべ、再び火を起こす。ヤカンに魔法で水を注ぎ火にかけ、足りない分は鍋にも水を張って焚き火台に置いた。

 パチパチと薪がはぜる音。揺れる炎。
 その静かな光景が、どこか心を落ち着かせる。

 近くにチェアを開いて腰を下ろすと、ラテが椅子を持ってきて隣に座った。その手にはしっかり味噌ラーメンのカップが握られている。

(ラテは焚き火の癒しより、食い気だな)

 まあ、今の僕も同じだけど。

 しばらくして、ヤカンと鍋の水が沸騰した。
 カップラーメンと焼きそばのフタを開け、お湯を注ぐ。

「いまから、三分待ってね」

 二人は頷き、じっとカップラーメンができるまで待っている。ぐうっとお腹の音が聞こえる。

「はぁ、お腹すいたっす」

「すいたね。そろそろ三分経つかな? 僕は中で焼きそばのお湯を切ってくるよ」

 僕がテントの中で湯切りをしている間に、ラテはみんなのラーメンを準備してくれていた。

「ラテ、ありがとう」
「いいっすよ。さあ、食べましょうっす!」
「ああ、食べよう」

「初めてのラーメン! あっち! ……んん? この細い麺、すごく美味しいわ」

「うん。ラーメンは美味しいね」

 夜の静けさの中に、ズルズルと麺をすする音が響く。

「はぁ~、つるつるの麺に味噌のコク、ピリッとした辛味がたまらないっす!」

 夢中でラーメンを食べる二人を見ながら、僕は皿の焼きそばを三等分した。

「焼きそば、いただきますっす」
「いただきます」

 ずるずると焼きそばを口にした二人は、ラーメンとは違う味に驚く。

「これも美味しいっす」
「なかなか美味しいわ」

⭐︎

 満足な食後、少し休憩してから片付けを始める。使った食器をキッチンへ運び、僕が洗い、ラテがすすぎ、チェルシーが風魔法で乾かしてくれた。

「これで、洗い物は全部かな?」
「はい、終わりっす」
「片付いたわね」

「ありがとう、ラテ。チェルシー、ご苦労さま」

 洗った食器をアイテムボックスにしまい、僕は焚き火の火を消しに向かう。

「ノエール様、チェルシー様に屋敷の中を案内してきますっす」

 そう言って、チェルシーを連れて屋敷へ入っていった。

(そうか、空いている部屋に転移鏡を置くって言ってたな)

 しばらくして、二人が戻ってくる。

「ノエール君、空いてる部屋に転移鏡を置かせてもらったわ。ありがとう。今日はこれで帰るわね」

 チェルシーは乗ってきたホウキを出すこともなく、そのまま屋敷の中へ歩いていく。どうやら、さっそく転移鏡で帰るらしいけど、なんだか少し不思議な感じがした。

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