37 / 75
37話
しおりを挟む
カサンドラ達がカーシン国へ向かったすぐ、別荘に妹からの手紙が早馬で届いた。受け取ったお祖母様は手紙をみて、ため息をつく。
「封筒にはうまく付けず、中の手紙は毒まみれかい……あの子もこりないねぇ」
だが、令嬢のあの子がこの毒薬――いや薬のレシピを手に入れて、調合しているとは考えにくい。これは数十年前、ある国で婚約破棄の末、心を痛めて食べることをやめてしまった姫のために作った、少しの量で体をふくよかにする薬だ。
数年前、この薬を作るレシピと魔導具を盗んだ弟子をあちらこちらで探してみれば、こんなところで悪さしているなんてね。
薬に体に害はないが量に問題ありだ……あの子、シャリィをそこまで掻き立てるものはなんなのかね。姉のカサンドラから両親、婚約者を奪ったのにまだ足りないと見える……訳がわからない。お祖母様は手紙をすぐに薬の効能を消して、屋敷の中へと持っていく。
――ふぅ、意図的に使ったら薬も毒だね。
♱♱♱
カーシン国にあるララサ街の冒険者ギルドで、パーティークエスト一人20匹、合計スライム100匹の討伐クエストを受けた。アオが操る荷馬車で前回採取クエストとピクニックをした、近くのロロの森にカサンドラ達は到着した。
ロロの森にアオを先頭に入ったカサンドラとシュシュ、スズとチロちゃん。すぐ草むらからポヨヨーンとつぶらな黒い瞳、両手に乗りそうな大きさ、丸いフォルムの半透明なスライムが現れる。
「きゃぁー! シュシュ、思っていたスライムと違いますわ」
「ドラお嬢様、私もです……丸くて、つぶらな瞳が可愛い」
カサンドラとシュシュは初魔物のスライムと出会い興奮する。今回、出会った魔物のスライムは青、赤、緑の3色で数匹カサンドラ達の前でポヨヨン、ポヨヨーンと飛び跳ねた。
「こら! カサンドラ、いくら可愛いからってスライムを素手で触ろうとするな! シュシュ、お前もだ!」
「アオ君、こんなに可愛いのにダメなのですか?」
「そうですよ」
「ハァ? 可愛くても魔物は魔物だ! スライスは可愛いが、どんなモノでも溶かす危険な魔物だ!」
「「きゃぁー!」」
こんな調子の3人を、スズとチロちゃんは斧と小型ナイフを使い、簡単にスライムを倒しながら笑ってみていた。
「スズ、チロ、笑っていないで助けろぉ! カサンドラ、シュシュ、チョロチョロするなぁ!」
「アオは大変だな」
「アオにぃ、がんばれ!」
アオは困惑する。ほかの魔物がでる森の中で自由に動き回る2人に。そして、20匹のスライムを倒すのにどれだけの時間がかかるんだと……
「シュシュ、このお花かわいい」
「はい、お嬢様」
「カサンドラ! シュシュ!……クク、ハハハ、こんな冒険あるかよ!」
どこまでもマイペースすぎる2人だが、楽しそうなのでいいかとアオは笑った。
「封筒にはうまく付けず、中の手紙は毒まみれかい……あの子もこりないねぇ」
だが、令嬢のあの子がこの毒薬――いや薬のレシピを手に入れて、調合しているとは考えにくい。これは数十年前、ある国で婚約破棄の末、心を痛めて食べることをやめてしまった姫のために作った、少しの量で体をふくよかにする薬だ。
数年前、この薬を作るレシピと魔導具を盗んだ弟子をあちらこちらで探してみれば、こんなところで悪さしているなんてね。
薬に体に害はないが量に問題ありだ……あの子、シャリィをそこまで掻き立てるものはなんなのかね。姉のカサンドラから両親、婚約者を奪ったのにまだ足りないと見える……訳がわからない。お祖母様は手紙をすぐに薬の効能を消して、屋敷の中へと持っていく。
――ふぅ、意図的に使ったら薬も毒だね。
♱♱♱
カーシン国にあるララサ街の冒険者ギルドで、パーティークエスト一人20匹、合計スライム100匹の討伐クエストを受けた。アオが操る荷馬車で前回採取クエストとピクニックをした、近くのロロの森にカサンドラ達は到着した。
ロロの森にアオを先頭に入ったカサンドラとシュシュ、スズとチロちゃん。すぐ草むらからポヨヨーンとつぶらな黒い瞳、両手に乗りそうな大きさ、丸いフォルムの半透明なスライムが現れる。
「きゃぁー! シュシュ、思っていたスライムと違いますわ」
「ドラお嬢様、私もです……丸くて、つぶらな瞳が可愛い」
カサンドラとシュシュは初魔物のスライムと出会い興奮する。今回、出会った魔物のスライムは青、赤、緑の3色で数匹カサンドラ達の前でポヨヨン、ポヨヨーンと飛び跳ねた。
「こら! カサンドラ、いくら可愛いからってスライムを素手で触ろうとするな! シュシュ、お前もだ!」
「アオ君、こんなに可愛いのにダメなのですか?」
「そうですよ」
「ハァ? 可愛くても魔物は魔物だ! スライスは可愛いが、どんなモノでも溶かす危険な魔物だ!」
「「きゃぁー!」」
こんな調子の3人を、スズとチロちゃんは斧と小型ナイフを使い、簡単にスライムを倒しながら笑ってみていた。
「スズ、チロ、笑っていないで助けろぉ! カサンドラ、シュシュ、チョロチョロするなぁ!」
「アオは大変だな」
「アオにぃ、がんばれ!」
アオは困惑する。ほかの魔物がでる森の中で自由に動き回る2人に。そして、20匹のスライムを倒すのにどれだけの時間がかかるんだと……
「シュシュ、このお花かわいい」
「はい、お嬢様」
「カサンドラ! シュシュ!……クク、ハハハ、こんな冒険あるかよ!」
どこまでもマイペースすぎる2人だが、楽しそうなのでいいかとアオは笑った。
27
あなたにおすすめの小説
完】異端の治癒能力を持つ令嬢は婚約破棄をされ、王宮の侍女として静かに暮らす事を望んだ。なのに!王子、私は侍女ですよ!言い寄られたら困ります!
仰木 あん
恋愛
マリアはエネローワ王国のライオネル伯爵の長女である。
ある日、婚約者のハルト=リッチに呼び出され、婚約破棄を告げられる。
理由はマリアの義理の妹、ソフィアに心変わりしたからだそうだ。
ハルトとソフィアは互いに惹かれ、『真実の愛』に気付いたとのこと…。
マリアは色々な物を継母の連れ子である、ソフィアに奪われてきたが、今度は婚約者か…と、気落ちをして、実家に帰る。
自室にて、過去の母の言葉を思い出す。
マリアには、王国において、異端とされるドルイダスの異能があり、強力な治癒能力で、人を癒すことが出来る事を…
しかしそれは、この国では迫害される恐れがあるため、内緒にするようにと強く言われていた。
そんな母が亡くなり、継母がソフィアを連れて屋敷に入ると、マリアの生活は一変した。
ハルトという婚約者を得て、家を折角出たのに、この始末……。
マリアは父親に願い出る。
家族に邪魔されず、一人で静かに王宮の侍女として働いて生きるため、再び家を出るのだが………
この話はフィクションです。
名前等は実際のものとなんら関係はありません。
【本編完結】王子の寝た子を起こしたら、夢見る少女では居られなくなりました!
こさか りね
恋愛
私、フェアリエル・クリーヴランドは、ひょんな事から前世を思い出した。
そして、気付いたのだ。婚約者が私の事を良く思っていないという事に・・・。
婚約者の態度は前世を思い出した私には、とても耐え難いものだった。
・・・だったら、婚約解消すれば良くない?
それに、前世の私の夢は『のんびりと田舎暮らしがしたい!』と常々思っていたのだ。
結婚しないで済むのなら、それに越したことはない。
「ウィルフォード様、覚悟する事ね!婚約やめます。って言わせてみせるわ!!」
これは、婚約解消をする為に奮闘する少女と、本当は好きなのに、好きと気付いていない王子との攻防戦だ。
そして、覚醒した王子によって、嫌でも成長しなくてはいけなくなるヒロインのコメディ要素強めな恋愛サクセスストーリーが始まる。
※序盤は恋愛要素が少なめです。王子が覚醒してからになりますので、気長にお読みいただければ嬉しいです。
※本編完結しました。
※後日談を更新中です。
【完結】『運命』を『気のせい』と答えたら、婚姻となりまして
うり北 うりこ@ざまされ2巻発売中
恋愛
ヴォレッカ・サミレットは、領地の危機をどうにかするために、三年ぶりに社交界へと婚姻相手を探しにやってきた。
第一にお金、次に人柄、後妻ではなく、できれば清潔感のある人と出会いたい。 そう思っていたのだが──。
「これは、運命だろうか……」 誰もが振り返るほどの美丈夫に、囁かれるという事態に。
「気のせいですね」 自身が平凡だと自覚があり、からかって遊ばれていると思って、そう答えたヴォレッカ。
だが、これがすべての始まりであった。 超絶平凡令嬢と、女性が苦手な美丈夫の織りなす、どこかかみ合わない婚姻ラブストーリー。
全43話+番外編です。
白百合の君を瞼に浮かべて
蒼あかり
恋愛
騎士隊副隊長のレイモンドは、第二王子アーサーの婚約者アリシアの事を密かに想っていた。
『白百合の君』と呼ばれるほどに美しいアリシアが、自分の起こした行動により婚約破棄を告げられてしまう。酔った勢いで婚約破棄を告げ後悔するアーサーだが、大きな力で婚約の存続は途絶えてしまった。それでもアリシアを手放せないアーサーが、執拗にアリシアを追い詰めてくる。そんなアリシアを守るために求め続けるも、二人はすれ違い続けついには行方知れずに。
年月を重ね、二人は再び出会うことができるだろうか?
他サイトでも掲載しております。
【完結】虐げられて自己肯定感を失った令嬢は、周囲からの愛を受け取れない
春風由実
恋愛
事情があって伯爵家で長く虐げられてきたオリヴィアは、公爵家に嫁ぐも、同じく虐げられる日々が続くものだと信じていた。
願わくば、公爵家では邪魔にならず、ひっそりと生かして貰えたら。
そんなオリヴィアの小さな願いを、夫となった公爵レオンは容赦なく打ち砕く。
※完結まで毎日1話更新します。最終話は2/15の投稿です。
※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています。
(自称)我儘令嬢の奮闘、後、それは誤算です!
みん
恋愛
双子の姉として生まれたエヴィ。双子の妹のリンディは稀な光の魔力を持って生まれた為、体が病弱だった。両親からは愛されているとは思うものの、両親の関心はいつも妹に向いていた。
妹は、病弱だから─と思う日々が、5歳のとある日から日常が変わっていく事になる。
今迄関わる事のなかった異母姉。
「私が、お姉様を幸せにするわ!」
その思いで、エヴィが斜め上?な我儘令嬢として奮闘しているうちに、思惑とは違う流れに─そんなお話です。
最初の方はシリアスで、恋愛は後程になります。
❋主人公以外の他視点の話もあります。
❋独自の設定や、相変わらずのゆるふわ設定なので、ゆるーく読んでいただけると嬉しいです。ゆるーく読んで下さい(笑)。
【完結】私の望み通り婚約を解消しようと言うけど、そもそも半年間も嫌だと言い続けたのは貴方でしょう?〜初恋は終わりました。
るんた
恋愛
「君の望み通り、君との婚約解消を受け入れるよ」
色とりどりの春の花が咲き誇る我が伯爵家の庭園で、沈痛な面持ちで目の前に座る男の言葉を、私は内心冷ややかに受け止める。
……ほんとに屑だわ。
結果はうまくいかないけど、初恋と学園生活をそれなりに真面目にがんばる主人公のお話です。
彼はイケメンだけど、あれ?何か残念だな……。という感じを目指してます。そう思っていただけたら嬉しいです。
彼女視点(side A)と彼視点(side J)を交互にあげていきます。
【完結】異世界から来た聖女ではありません!
五色ひわ
恋愛
ミシュリーヌは、第四王子オーギュストの妃としてフルーナ王国の王宮で暮らしている。しかし、夫であるオーギュストがミシュリーヌの寝室に訪れることはない。ミシュリーヌは聖女の力を持っていたため、妻に望まれただけなのだ。それでも、ミシュリーヌはオーギュストとの関係を改善したいと考えている。
どうすれば良いのかしら?
ミシュリーヌは焦っていた。七年間かけて国中の水晶を浄化したことにより、フルーナ王国は平穏を取り戻しつつある。それは同時に聖女の力がこの国に必要なくなったことを意味していた。
このまま、オーギュストの優しさに縋ってお飾りの妻を続けるしかないのだろうか。思い悩むミシュリーヌの前に現れたのは、オーギュストの恋人を名乗る女性だった。
・本編141話
・おまけの短編 ①9話②1話③5話
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる