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14話

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「オレの飯~今日は特に美味い飯~。いつもは味が面白いが、今日のは美味い飯~食べたい」

 猫神様はポロポロ涙を流した。いつもは面白いメシとは、私の作るご飯のことを言っているのだろう。

 そして猫神様は。

「お前らは、家があるからいいじゃないかぁ」

 と小さな前足を、屋敷神の方へと向けた。
 春と小春には屋敷神の家はあるが、猫神様には家がないといった。

 私はそんな猫神様に声をかけた。

「泣かないで、一緒にご飯を食べましよう。家がないのなら、ここに住んでもいいよ」

「そうだな。猫神様も一緒に食べよう」

「オレもいいのか? ありがとう」

 みんなで家に入って、居間で食卓を囲みお昼ご飯を食べる。

「このレタスのチャーハン美味い! 味噌汁最高! キュウリもいい塩梅!」

「ほんと、美味しいです」
「美味いな」
「えへへ、おいしいね」

 私達の家に、猫神様の茶々丸が増えた。
 茶々丸は屋敷を持たない神様で、お供えするモノがいない。そのため、屋敷神を転々として、お供物をもらっていたみたい。

 ウチのおばあちゃんからもよく、ご飯を貰っていたとも話した。

 おばあちゃんが亡くなり、私が作ったお供えのご飯も食べていたらしく。面白い味のご飯だといい、食べてくれたみたい。

「味はまちまちだったけど。サツキが作ってくれたんだ、美味しくいただいた」

「あ、食べていたのは茶々丸様だけじゃない、オレ達もちゃんと食べていました」

「そうです、どんな料理も残しはしません」

 まあ、美味しとはいえないけど、食べていてくれたんだね。
 
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