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学園でのお昼ご飯

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「環ちゃん、お昼を食堂で一緒に食べない?」

 環を誘いに、三年の教室から一年の教室に来た狐森先輩。周りの生徒がざわつく、弥白はスポーツ万能で勉強ができる優等生で学園の人気者。三年を始めとする学園の女子学生が、みんな弥白と一緒に過ごしたいと思っている。

 ――だから、目立って仕方がない。

「狐森先輩とお昼ですか? あの……下宿先でお弁当を作ってもらっていて……中庭で食べるので、ごめんなさい」

 お弁当を理由に、環はお断りした。

「ええ、お弁当? そのお弁当、環ちゃんの手作りじゃないのか残念。購買でパン買って来るから先に行ってて」

「え、狐森先輩は狐塚先輩とお昼、食べないんですか?」

 二人は婚約者だからという理由で環は聞いた。弥白はブンブン首を振る。

「いや、一緒に食べてないよ。行ってくるね」

「狐森先輩!」

 弥白は環の話を聞かず、足早に購買に行ってしまう。
 環は周りの女子達の視線を気にして、いつもの場所へと向かった。

 向かったのは学園の中庭。
 学生が休暇、食事がとれるように木製のベンチが置いてあり、木々が生え、花が咲く環のお気に入りの場所だ。

 環がフウっとため息を吐き、ベンチに座ると隣に誰かが座った。弥白が購買から戻ってきたのかと思ったが、違った。

「シンヤ君?」
「俺も今日はここで弁当を食う」

 いつもは友達と学園の屋上に行くのに、何故が今日は中庭の、それも環の隣で持ってきた弁当を開いた。


「食べようぜ、いただきます」
「うん、いただきます」

 環も自分のお弁当を開く。
 竹製の曲げわっぱに入った、甘辛く味付けされた野菜の肉巻き、甘めの卵焼きとひじきに煮物、ブロッコリー環の好物ばかりのお弁当だ。

「環、野菜の肉巻きと一口ハンバーグ交換して」
「いいよ」

 中庭でベンチに並んでお昼をとっていた、そこに購買で買ったパンを持って弥白が来る。
 弥白は環の隣にいる、シンヤを見つけて口を尖らした。

「なんでシンヤがここに居る?」

「たまたまっすよ。それより狐塚先輩が弥先輩が食堂にいないって、チャットを使って探してますよ」

「え?」

 シンヤは制服のポケットから、スマホを取り出して弥白に見せた。
 それはあやかし治療院の見習いだけが集まるチャットだ。環はまだスマホになれず、壊しそうで怖くて、学園のカバンに入れっぱなし。

(うわぁ……ミハルさんからのチャットだらけだ。大学に通う、アキラさんとマリさんも巻き込んでる)

 そのチャットを見て弥白は肩を落とす。

「ハァ、今日は一緒に食べないって言ったのに……環ちゃんまたね」

 手を振ると、サッサとミハルが待つ食堂に向かっていった。
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