召喚をされて期待したのだけど、聖女ではありませんでした。ただの巻き込まれって……

にのまえ

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プロローグ

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 準備は早朝より王の間で始まった。

 カーテンが引かれた暗い王の間を、煌びやかなシャンデリアの灯火が照らしている。
 上級貴族たちは壁際に集まり、ことの成り行きを固唾を飲み見守っていた。

 その奥の王座にはこの国の王がどっしりと構え、傍には王子がいた。

 ーーここはとある国の王城の王の間。

 王の前で作業するローブを着た魔術師は胸に手を当て頭をさげ、

「国王陛下、王子殿下、魔法陣の準備が整いました」

 二人の目の前にはデカデカと魔術師達によって描かれた、幾何学模様の魔法陣があった。
 静かに見守っていた、陛下は立ち上がり声を上げる。


「魔術師達よ、これより召喚の儀を始めよ!」


 陛下の合図で魔術師達が円を描くように魔法陣の周りに立ち、各々杖をかざして魔法陣に魔力を注ぐ。
 その中、白いローブを着た魔術師は召喚魔法の詠唱を始めた。

「【この国を救いし聖なる巫女、遥か次元より召喚いたせ】」

 魔術師の詠唱が終わると、魔力を注がれた魔法陣は眩い光を放つ。
 その光はが徐々に収まると、魔法陣の中に人影が見えた。

 その人影を見つけた魔術師達は、術の成功に喜びの声を上げた。


「「おおー!!」」


 その声に静かに見守っていた、貴族たちもこぞって声を上げるのだった。

「聖女召喚は成功した!」
「この国は救われる」

「我々の為に異国より、聖女様が来てくださった!」

 王の間に歓喜の声はしばらく響いた。
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