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七
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「魔王の封印が解けてしまうんだ、俺達は聖女の楓さんに力を貸してもらいたい」
「そんな力はわたしになんてないわ」
二人は見合って『頼む」「嫌」「頼む」……を言い合っている、それを二人に手を掴まれて、見ているだけのわたし。
言い争う二人を止めるべく、会場にパーンと手を打つ音が響く。
「ここで聖女と親睦を深めるために、皆で食事を取ろう」
いきなり話し始めた、王冠を被った、トラ王子よりも良い服のおじさん。
両隣のガタイのいい騎士。金の椅子。まさかあれは国王陛下?
トラ王子にどことなく似たイケメンで、ダンディおじ様だ。
「お腹も出ていない!」
「お前はいきなり、なにを言い出した?」
「別に」
隣のトラ王子と見比べて、女性なら気になると、反対側の楓さんに聞く。
ゴニョ、ゴニョ「トラ王子と、王様どっちがタイプ?」
「えっ、私は……ミカさんかな」
王と王子ではなくわたし⁉︎ 聞いた趣旨が通じてない? あ、いつの間にか楓さんと手を繋いでた手が恋人繋ぎになってる……
まさかわたしが余りにも、胸平過ぎて、気付いていない?
「わたし、女だよ」
「知ってる。ミカさんが私を守り、凛々しく声を上げた時に……キャッ」
頬が赤くなる楓さん。うーん、まっいいか。嫌われるより好かれる方が断然いい。
「改めてよろしくね。楓さん」
「よろしくね、ミカさん」
食堂は離れにあるらしく、移動するらしい。わたし達の案内はトラ王子。
城の中をトラ王子の後について行ってる。
やはり城の中は軽い迷路だ。トラ王子を見失うと迷子にいつでもなれる。
しばらく進むと、中央の庭園か多くの手入れの行き届いた薔薇が見えた。薔薇ってこんな風に咲くんだ。香りもいい。
ガサッ、ガサッ。
庭園の奥の茂みで何か動いた⁉︎
♢
動く者に好奇心。獲物を狩る、猫の様に近付いた。
動いた茂みにはふわもこの耳と角⁉︎ 右から黄金色の耳とたてがみ、その横は白いふわもこな耳。その横は耳じゃない立派な角だ。
「耳は分かるけど、角ってなに?」
「それは私のことかな? お嬢さん」
「おい! ルア」
「やだ、後で隊長に怒られちゃうじゃない」
茂みから立ち上がった、トラ王子よりも大きな三人の男達?
ライオンと猫の獣人と竜の人⁉︎
「すまない。君は、男の子だったのだな」
あーはいはい、竜の人。胸平だけを見て、決めつけたね。
「ルア、違うわよ。この子は女の子よ」
「そうだ。王達は召喚で聖女を呼んでんだ、男が来るはずない……多分」
言い返そうとした、けど、三人がまたガサッと茂みに隠れた。と同時にわたしの体が宙に浮いた。
後ろから、脇に手を入れられて、持ち上げられたんだ。
「ミカ、こんな所で何してんだ?」
「トラ王子⁉︎ 薔薇が見事で、つい、ふらっと見に行っちゃった」
「そうか。父上達が食堂で待ってる、ほら行くぞ」
「あーい」
茂みに隠れ切れていない、みんなに、またね。の意味を込めて手を振った。
「そんな力はわたしになんてないわ」
二人は見合って『頼む」「嫌」「頼む」……を言い合っている、それを二人に手を掴まれて、見ているだけのわたし。
言い争う二人を止めるべく、会場にパーンと手を打つ音が響く。
「ここで聖女と親睦を深めるために、皆で食事を取ろう」
いきなり話し始めた、王冠を被った、トラ王子よりも良い服のおじさん。
両隣のガタイのいい騎士。金の椅子。まさかあれは国王陛下?
トラ王子にどことなく似たイケメンで、ダンディおじ様だ。
「お腹も出ていない!」
「お前はいきなり、なにを言い出した?」
「別に」
隣のトラ王子と見比べて、女性なら気になると、反対側の楓さんに聞く。
ゴニョ、ゴニョ「トラ王子と、王様どっちがタイプ?」
「えっ、私は……ミカさんかな」
王と王子ではなくわたし⁉︎ 聞いた趣旨が通じてない? あ、いつの間にか楓さんと手を繋いでた手が恋人繋ぎになってる……
まさかわたしが余りにも、胸平過ぎて、気付いていない?
「わたし、女だよ」
「知ってる。ミカさんが私を守り、凛々しく声を上げた時に……キャッ」
頬が赤くなる楓さん。うーん、まっいいか。嫌われるより好かれる方が断然いい。
「改めてよろしくね。楓さん」
「よろしくね、ミカさん」
食堂は離れにあるらしく、移動するらしい。わたし達の案内はトラ王子。
城の中をトラ王子の後について行ってる。
やはり城の中は軽い迷路だ。トラ王子を見失うと迷子にいつでもなれる。
しばらく進むと、中央の庭園か多くの手入れの行き届いた薔薇が見えた。薔薇ってこんな風に咲くんだ。香りもいい。
ガサッ、ガサッ。
庭園の奥の茂みで何か動いた⁉︎
♢
動く者に好奇心。獲物を狩る、猫の様に近付いた。
動いた茂みにはふわもこの耳と角⁉︎ 右から黄金色の耳とたてがみ、その横は白いふわもこな耳。その横は耳じゃない立派な角だ。
「耳は分かるけど、角ってなに?」
「それは私のことかな? お嬢さん」
「おい! ルア」
「やだ、後で隊長に怒られちゃうじゃない」
茂みから立ち上がった、トラ王子よりも大きな三人の男達?
ライオンと猫の獣人と竜の人⁉︎
「すまない。君は、男の子だったのだな」
あーはいはい、竜の人。胸平だけを見て、決めつけたね。
「ルア、違うわよ。この子は女の子よ」
「そうだ。王達は召喚で聖女を呼んでんだ、男が来るはずない……多分」
言い返そうとした、けど、三人がまたガサッと茂みに隠れた。と同時にわたしの体が宙に浮いた。
後ろから、脇に手を入れられて、持ち上げられたんだ。
「ミカ、こんな所で何してんだ?」
「トラ王子⁉︎ 薔薇が見事で、つい、ふらっと見に行っちゃった」
「そうか。父上達が食堂で待ってる、ほら行くぞ」
「あーい」
茂みに隠れ切れていない、みんなに、またね。の意味を込めて手を振った。
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