魔力なし悪役令嬢の"婚約破棄"後は、楽しい魔法と美味しいご飯があふれている。

にのまえ

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牢屋のシエル。王城に向かうウルラ(ラエル、子犬、ガット)

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「待っていろ、ルー! 絶対に助ける」

 深く深呼吸しろ、落ち着け……怒りに取り込まれるな……って、いま鉄格子を怒りで吹っ飛ばしてしまった、クク。

『主人!』
『兄貴!』 
『シエル!』 
 
 あいかわらず俺を呼んで、うるさいな。

 そんな奴らに『俺は、大丈夫だ』と、だけ返しておいた。それより――鉄格子を飛ばしたときに、近くの牢屋の奴が目を覚ましたのか喋りだした。

 こいつは更にうるさい。――側近の部屋に移されたと聞いていたが、知らないうちに地下牢に入れられていた……カロールの婚約者、リリーナ。

 週一で顔を見に行けと命令されて、仕方がなくきていた……初めてあった日。リリーナ様は俺たち双子のことも知っていた。カロールに話を聞いたのかと思ったが。よくフラグ、乙女ゲームだと訳の分からんことを言いはじめた――こんな場所に入れられれば、おかしくもなると解釈した。
 

「なに? いまの音? 近くに誰かいるの? 深夜もガチャガチャうるさかった。誰か、ここから私を出してよー!」
 

 俺は自分の牢屋を抜けて、奴の鉄格子の前に立ち。

「リリーナ様も、ここから出たいのですか?」

「あったりまえじゃん。出たい、出してよ……って、あれ? シエルじゃん。少し前に来たのに、こんな所で何してんの? プーッ! なに、そのきったねぇ格好、あんたも捕まったの? うけるぅ~!」

「「うるさい!」」

 こいつの口調はいちいち腹が立つな。

「ハハハッ、何か悪い事をして捕まったのか? 何したの?」
 
「リリーナ様にいう必要はありません…………あ、(そうだ、いいことを思いついた)リリーナ様、もし叶うとしたら――あなた様の願いはなんですか?」

「ええ、私の願い? シエルと結婚したい」 

「それは却下だ」
「ラエルとの結婚」
「絶対に無理だ」
 
 なんでよと、頬をみっともなく膨らました。

「膨れるな、俺と弟は無理だ!」

「わかった、あなた達とはフラグを立ててないし無理かぁ~じゃあー、カロール様と結婚したいかなぁ。それでね、美味しいものをたくさん食べて、贅沢したい」

「贅沢はご自分でどうぞ。カロール殿下との結婚を叶えましょう。願ってください、カロール殿下と一緒になりたいとな。また後で呼びにきます」

「ちょっと、ここから出してくれるんじゃないの!」

「いまはまだ、すぐに戻ります」

「ほんとに、ほんと? 信じるからね!」

 地下牢から出て手前の壁を火の魔法でぶっ飛ばす! それに驚いた騎士たちが集まる。怪我人をださず、あまりやりすぎない。騎士たちはカロールのわがままに振り回されているだけ、怪我人を出して、ルーの悲しい顔は見たくないものな。


「「ルー、待っていろ、俺が迎えにいく!」」


 集まってきた騎士を「スリープ」の魔法で眠らせた。








「今頃、主人が城で暴れているな……」

「……兄貴」

 念話を飛ばしても「俺は大丈夫だ!」のあとから返事はない。王城では主人が魔法で暴れて、下ではガットがビービー泣いていた。

「あるじ、あるじ、もう走れないよ。暗闇が怖いよ。高いところ我慢するから抱っこして~お願い!」

 やはりそうなったか、ガット。

「ウルラ悪いんだけど、ガットも背中に乗せてもらっていい?」

「わかった、ガットが「高い所は怖い」と暴れぬよう気をつけて」

 既に下で動けないと、転がったガットを拾った。

「うわぁ、温かい、温かいよ。あるじ~あるじ~!

 主人――ラエル様に抱っこしてもらって、ご満悦なガット、お前だけこんな状況でも緊迫しないのか。

「ははっ、いつまで経ってもガットはラエルに甘えん坊だな」

 ぬくぬくガットは子犬様の言葉に反論する。
 
「ボク知ってるっス。子犬様もシエル様にスキンシップはダメだって言われた日。ルーチェ姉さんにベタベタしてたっス、甘えに甘えていたっス」
 
「へぇ、そうなんだ。兄貴には知られないようにね」

 うぐっ、と声を詰まらせて子犬様は黙った。ガットもあの場面を見ていたのか、さすがだガットの気配消しは誰も見抜けぬ。

 ガット、その才能を持っておるのだから……あのとき、震えていないで助けに来ないんだ。

 

 城の着き、庭園の端に降り立った。王城はバタバタと騎士やメイドが真夜中なのにも関わらず、働いている。

 その近くの建物では物騒な爆発音もしていた……やっているのは主人のようだ。

 ラエル様はガットに。

「いい、ガット。怖くなったら僕の影に戻るんだよ」
「平気っス。ボク、あるじの役に立ちたいっス」

「ガットの能力なら、人族には見つからないと思うが。無理ならやめて、ラエル様のところに戻るんだぞ」
 
「そうだ、無理と怪我だけはするなよ」

 はい、あるじ、子犬様、ウルラ、ボク頑張るっす! とやる気満々の様子。ラエル様と子犬様は【姿消しの魔法】で姿を消してお嬢を探しに向かうと言った。

 自分は夜目と聴力をいかして空から探索する。

「みんな、ルーチェちゃんを見つけたら念話してね」

「了解」
「了解っス」
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