魔力なし悪役令嬢の"婚約破棄"後は、楽しい魔法と美味しいご飯があふれている。

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第二章 ストレーガ国までの帰路

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「初めまして、ベルーガ殿下」

「ルーチェちゃん……殿下はやめて、ベルーガでいいよ」

「はい、ベルーガ様」

 もう、彼を子犬ちゃんとは呼べない。だって、彼はこのストレーガ国の王子なのだから。アサンテ国の港街で出会い、今まで一緒に過ごしてきたから……少し寂しいかな。

「今までありがとう、ルーチェ……さん。貴女と出会い、一緒に過ごせてよかった。シエルと一緒に王城に遊びに来てくれ」

「はい」

 子犬ちゃん――ベルーガ様は挨拶を済ませると、王族の席へと戻っていった。

「寂しそうな顔をするな。ルーはこれから先もこの国にいるんだ、いつでも会えるよ」
 
「うん、そうだね。ハァ……お腹すいちゃった、何か食べよう、シエルさんと、あれラエルさんは?」

「ん? あぁ、ラエルは人が集まるところが苦手だから、先に家に帰るって言って帰った」

 家? あ、そうだ……これから、私はどうすればいい? どこに住むの? シエルさんの婚約者だと言っても、まだ口約束みたいなものだから――私には住む場所がない?


「あの、シエラさん、私……」


 見上げると、シエルさんは私の髪を撫で。
 
「ルー、安心しろ。今日は遅くなりそうだから、両親への挨拶は明日にして、王都にある俺の持ち家に行くよ。ラエルも両親に会うのは明日にして、今日は自分の家に帰ったんじゃないかな?」

「そっか……」

 ストレーガ国までの帰路はみんながいたけど、シエルさんと2人きりなんだ。そりゃ、コテージでは2人だったけど、それとは違う感じがする。

 彼と正式に婚約して、結婚して子供を産んで。
 これからも、ズッと一緒に生きていく……私は大好きな人と。

「よろしくお願いします、シエルさん」
 
「あぁと言いたいが。ルーと婚約できても……2人きりになれるのは、まだ先が長いかもしれないなぁ」

「え? どうして?」

「クレだよ。アイツをドラゴンの群れに連れて行かないと。あの人と約束したろ」

「あ!」

 そうだった――帰路途中の島にあった古代遺跡で、クレのお母様と約束した。

「でも、どうやって、ドラゴンの群れをどう探すの?」
「ん……国王陛下に聞くか、王城の書庫で調べないと俺にもわからん」

 そっか、シエルさんも知らない事なら、2人で一緒に探せば良いっか。

「大変なことは明日からで、今日はゆっくりしましょう」

「あぁ明日からでいい、今日はまったりしよう」

「先ずは腹ごしらえから」

「そうだな、魔力を使ったからお腹すいたよ」

「私も、お腹ぺこぺこ」

 2人で仲良く、食事にすることにした。
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