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第6話
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昨日の不思議な……変な、出来事が気にはなるが、だからといって学校に行き忘れる。そんな事をするわけにはいかなかった。
けれど、今日はずっと昨日のあの少年の事についてずっと考えていたと和也は思う。
『じゃあ、その事はちゃんと忘れないようにしていてね』
忘れないようにしていてね? 急なこの言葉が頭に引っ掛かりを覚える。どうしても頭の隅に、集中をかき乱す様に現れてくる。昨夜、家に帰ってからずっとその事で頭を悩ませていた。
あの少年は、自分の事を知っているかのような口ぶりだった。和也からしたらあの少年は知らない少年の筈なのに、向こうは知っている。有名人とか、そういうのなら当たり前の話ではあるが、自分はそういった類の出来事を持ち合わせていない。
けれど、時間は立ち止まってくれはしない。色々と気になる事が多かったが、和也は学校へ行く準備を済ませて、そのまま向かう。
「それで、結局あの娘はお前の何なんだよ~!」
教室に入ってすぐ、やかましく問詰られる。
「龍……だから、一体何なんだよそれ」
「冷たくあしらおうとしても無駄だっつーの! 昨日の事は忘れてないからなー!」
話を終わらせたいけど、龍はやめない。
龍がここまで必死になるのは、つまり嫉妬だ。龍は色んな女子と仲良くなろうと画策している所は結構見ている。……そして、その試みはいつも失敗している。
そんな中、和也は女子と仲良く話しかけている場面を見た。龍の方から見ても、和也から見ても、その場面は特別なのだ。和也がそもそもの交友関係が広くない事を龍は知っている。だからこそ、知らない女子と仲良く話している場面は必死に問い詰めたくなる様な、衝撃的な場面だったと言う事だ。
「ノロケ話のないお前にまで、可愛い女の子の影がチラつくとか俺は何を信じればいいんだよおぉぉ~!」
「その信用なら、別に関係ないだろ……」
その後、龍の友人が止めに入ってくれたから事なきを得た。彼は暴走しやすい面があるのだから、友人達も慣れている。
和也とも普通に接してくれる相手ではあるが、龍程前のめりに交流するようなタイプでもないので、そこまで深い関係とは感じない……向こうがどう考えているかは知らないから適当な事は言えないが。
そんな感じで、朝もそれなりに騒がしかったが、今日は意外な事があった。それは、昼休みに突然訪れた。
「隣いいか?」
「いいよ」
そんな軽い会釈で、龍と……龍の友人が二人、和也の周りに集まって昼食を取る事となった。この学校には購買部があり、龍と友人の片方は購買で買ったものを昼食に、和也ともう一人の友人の方は弁当を持参して昼食に、という形になっていた。
「それでよ! あそこのゲーセンに凄い奴がいてさ……!」
大体の話題は龍から振ってくる。そして、その話題を和也含め二人がそれに対しての感想等、そして残りの一人が内容をまとめる。と言った様な構図が自然と出来上がっている。
「マジか、そこまでの実力があるのは中々じゃないか?」
「結構やり込んでるんだな、そのゲーム」
「そうなんだよ! えーっとつまりだな……」
自分としては凄く興味がある、という話題ではない。興味がないと言う事でもないけれど、何というか自分と遠い世界の話だ、と感じる事もそれなりではある。それでも、興味を持って調べた事もあり、龍の話題はなんとなーく付いていけている。
それに、朝の件で釘を刺された事により、龍があの話題をぶり返さない事が幸いだった。といっても、龍は人の注意を聞けるから、悪かった事は素直に謝るし良くない事だと学んだら、絶対にその事をしない。
一度学習できたら、その事を反省として活かして行動できるというのが彼の強みだった。だからこそ、彼の交友関係はこれだけに留まらないのは龍の振る話題からは見えていた。なおも、その強みは恋愛絡みでは微塵も活かされないのだが……。
全員昼食が食べ終わり、自然と解散したそのすぐ後だった。
「あの、高野さんいらっしゃいませんか?」
教室のドアが開かれた後、高い声で誰かを呼んでいる事が聞こえる。……いや、このクラスに高野という苗字は、和也しかいない。つまり、
「……伊豆野、さん?」
「あ、いた! 高野くん!」
こちらの存在に気づいた凛は、すぐ傍に駆け寄ってきて。
「せっかくだから、ちょっと見てもらいたい事があって。いいかしら?」
「え?」
和也はすぐに龍の方を見る。龍は唖然としたように、この場面を真っすぐと見ていた。他のクラスメイトは、一瞬凛の方に注目はしたものの、すぐに興味が消えたのか誰もこちらを向いていない。
……これは、下手したら不味い場面なのでは?
昨日の不思議な……変な、出来事が気にはなるが、だからといって学校に行き忘れる。そんな事をするわけにはいかなかった。
けれど、今日はずっと昨日のあの少年の事についてずっと考えていたと和也は思う。
『じゃあ、その事はちゃんと忘れないようにしていてね』
忘れないようにしていてね? 急なこの言葉が頭に引っ掛かりを覚える。どうしても頭の隅に、集中をかき乱す様に現れてくる。昨夜、家に帰ってからずっとその事で頭を悩ませていた。
あの少年は、自分の事を知っているかのような口ぶりだった。和也からしたらあの少年は知らない少年の筈なのに、向こうは知っている。有名人とか、そういうのなら当たり前の話ではあるが、自分はそういった類の出来事を持ち合わせていない。
けれど、時間は立ち止まってくれはしない。色々と気になる事が多かったが、和也は学校へ行く準備を済ませて、そのまま向かう。
「それで、結局あの娘はお前の何なんだよ~!」
教室に入ってすぐ、やかましく問詰られる。
「龍……だから、一体何なんだよそれ」
「冷たくあしらおうとしても無駄だっつーの! 昨日の事は忘れてないからなー!」
話を終わらせたいけど、龍はやめない。
龍がここまで必死になるのは、つまり嫉妬だ。龍は色んな女子と仲良くなろうと画策している所は結構見ている。……そして、その試みはいつも失敗している。
そんな中、和也は女子と仲良く話しかけている場面を見た。龍の方から見ても、和也から見ても、その場面は特別なのだ。和也がそもそもの交友関係が広くない事を龍は知っている。だからこそ、知らない女子と仲良く話している場面は必死に問い詰めたくなる様な、衝撃的な場面だったと言う事だ。
「ノロケ話のないお前にまで、可愛い女の子の影がチラつくとか俺は何を信じればいいんだよおぉぉ~!」
「その信用なら、別に関係ないだろ……」
その後、龍の友人が止めに入ってくれたから事なきを得た。彼は暴走しやすい面があるのだから、友人達も慣れている。
和也とも普通に接してくれる相手ではあるが、龍程前のめりに交流するようなタイプでもないので、そこまで深い関係とは感じない……向こうがどう考えているかは知らないから適当な事は言えないが。
そんな感じで、朝もそれなりに騒がしかったが、今日は意外な事があった。それは、昼休みに突然訪れた。
「隣いいか?」
「いいよ」
そんな軽い会釈で、龍と……龍の友人が二人、和也の周りに集まって昼食を取る事となった。この学校には購買部があり、龍と友人の片方は購買で買ったものを昼食に、和也ともう一人の友人の方は弁当を持参して昼食に、という形になっていた。
「それでよ! あそこのゲーセンに凄い奴がいてさ……!」
大体の話題は龍から振ってくる。そして、その話題を和也含め二人がそれに対しての感想等、そして残りの一人が内容をまとめる。と言った様な構図が自然と出来上がっている。
「マジか、そこまでの実力があるのは中々じゃないか?」
「結構やり込んでるんだな、そのゲーム」
「そうなんだよ! えーっとつまりだな……」
自分としては凄く興味がある、という話題ではない。興味がないと言う事でもないけれど、何というか自分と遠い世界の話だ、と感じる事もそれなりではある。それでも、興味を持って調べた事もあり、龍の話題はなんとなーく付いていけている。
それに、朝の件で釘を刺された事により、龍があの話題をぶり返さない事が幸いだった。といっても、龍は人の注意を聞けるから、悪かった事は素直に謝るし良くない事だと学んだら、絶対にその事をしない。
一度学習できたら、その事を反省として活かして行動できるというのが彼の強みだった。だからこそ、彼の交友関係はこれだけに留まらないのは龍の振る話題からは見えていた。なおも、その強みは恋愛絡みでは微塵も活かされないのだが……。
全員昼食が食べ終わり、自然と解散したそのすぐ後だった。
「あの、高野さんいらっしゃいませんか?」
教室のドアが開かれた後、高い声で誰かを呼んでいる事が聞こえる。……いや、このクラスに高野という苗字は、和也しかいない。つまり、
「……伊豆野、さん?」
「あ、いた! 高野くん!」
こちらの存在に気づいた凛は、すぐ傍に駆け寄ってきて。
「せっかくだから、ちょっと見てもらいたい事があって。いいかしら?」
「え?」
和也はすぐに龍の方を見る。龍は唖然としたように、この場面を真っすぐと見ていた。他のクラスメイトは、一瞬凛の方に注目はしたものの、すぐに興味が消えたのか誰もこちらを向いていない。
……これは、下手したら不味い場面なのでは?
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