召喚聖女が十歳だったので、古株の男聖女はまだ陛下の閨に呼ばれるようです

月歌(ツキウタ)

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パウル陛下の愛情は?

◆◆◆◆◆

パウル陛下ーー!
内乱状態とか聞いてないぞ!

戦争が終わったら結婚したいとか言っておいて、国が滅んだらどうやって生活していくんだよ!

くっ、落ち着くんだ。とにかく情報の確保を優先しよう。俺は核心をつくことにした。

「内乱を起こされるほど、エクストランド王国は荒廃しているのですか?もしも、国を疲弊させた張本人がパウル陛下ならば、陛下は愚王ということになります。どうか、私に真実を教えて下さい、ブリギッタ殿下」

ブリギッタ殿下が、目を大きく見開いた。そして、強い口調で俺の言葉を否定する。

「それは違います、聖女様!」
「違うのですか?」

「パウル陛下を、愚王と呼ぶとは!その言葉を口にした方がセツ様でなければ・・この場で斬り殺していました」

何時もは穏やかなブリギッタ殿下から殺気を感じて、俺は慌てて言い訳をした。

「では、パウル陛下は優れた統治者なのですね!とても安心しました。不快な思いをさせてご免なさい、ブリギッタ殿下」

俺が謝ると、ブリギッタ殿下の表情が俄に穏やかになる。俺はひそかに安堵の息を付いた。

「もちろんです、セツ様。陛下は優れた統治者です!」

俺は第二王子の横に座るウルスラに、さりげなく視線を向けた。彼は俺と視線が合うと小さく頷く。どうやら、身内贔屓から、第二王子が陛下を称賛している訳ではなさそうだ。

でも、統治が上手くいっているのに、アイナ・ハロンステーン公はどうしてこの国から独立しようとしているんだろう?

「ブリギッタ殿下。実は、陛下から結婚を申し込まれたのです。戦争が終わればとの条件付きですが・・」

「おめでとうございます、聖女様!」
「はぁ?あり得ないだろ!?」

ブリギッタ殿下とウルスラが同時に声を上げた。俺を祝福してくれたのが、第二王子。祝福する気が全くないのが、ウルスラ。

俺はさらに話を進める。

「その・・陛下は私と結婚した後は、弟である第二王子に玉座を譲り、統治者としては退くつもりのようです」

「え、それは困ります!?お二人の結婚には賛成です。ですが、陛下に玉座を降りられては困ります」

ブリギッタ殿下が困惑しながらそう返事をした。その言葉に被せるように、ウルスラが発言する。

「パウル陛下は側室を持たずに、男聖女のセツ様を正妃となさるつもりなのでしょう。そうなれば、臣下の反発は免れず、セツ様も非難の声に曝される。それを避けるために、陛下がブリギッタ殿下に玉座を譲るつもりならば・・国の統治者として、あまりに身勝手です」

「ウルスラ!」

ブリギッタ殿下が、ウルスラを制止しようとした。だが、彼はさらに発言する。

「ブリギッタ!俺は乳母兄弟として、黙ってはいられない。お前は陛下から戦争の後始末を押し付けられようとしているんだぞ!」

なるほど。ウルスラの指摘は正しいかもな。陛下は玉座から退くために、俺との結婚を利用するつもりなのかもしれない。うーむ、複雑な気分。

パウル陛下の愛の言葉が真実でないなら・・ちょっと辛いな。


◆◆◆◆◆

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