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セツのフルネーム
◆◆◆◆◆
神官長のマルヘリート様は、俺にエクストランド語を教えるだけではなく、異世界で生きていく術を沢山教えてくれた。
言葉を教えてくれる神官長に、俺は孤独感から深く依存していった。だけど、俺が言葉と簡単な文字の読み書きが解るようになると、パウル陛下は別の教育係を俺につけた。
あの時は、めっちゃ泣いたな。
それ以来、マルヘリート様とは逢っていない。それでも彼の顔を思い浮かべると心が和む。まじ、逢いたいな。
「セツ様」
「ん?どうしたの、ウルスラ?」
「顔がにやけています」
「あれ、そう?」
ウルスラに視線を向けると、彼は目を細めて俺を見つめてきた。俺が見つめ返すと、ウルスラが口を開く。
「第二王子が貴重な時間を割き、セツ様の為にエクストランド王国の現状について説明されています。マルヘリート様の妄想は、今は控えてください」
「何故わかった、ウルスラ!?」
「やはり、大神官様の事をお考えでしたか。セツ様とは長い付き合いです。にやけ顔の種類により、セツ様がどの方をお考えなのかは全て把握しております」
「そ、そうなんだ・・」
ウルスラが若干ストーカーの様に思えたが、その事は口にすまい。それより、ウルスラが気になる事を話した。
「ちょっと待って、ウルスラ。いま、マルヘリート様の事を大神官様と呼んでなかった?」
「マルヘリート様は大神官になられましたので、そう呼ばせていただきましたが・・何か?」
「何かじゃないよ!大神官って、神殿のトップだよね?私の大切な人が出世したのなら、教えてほしかった!」
「お待ち下さい、聖女様!」
「はい?」
「パウル陛下に結婚を申し込まれたセツ様が、浮気を思わせるような発言をなさるべきではありません。伴侶となられる自覚をお持ちください、セツ様」
何故か、ブリギッタ殿下まで真剣な口調で、マルヘリート様の件に食いついてきた。流石に第二王子に突っ込まれては、言い訳をするしかないか。
「もしも、私が陛下の伴侶となろうとも、マルヘリート様が大切な人である事は変わりません。何故なら、マルヘリート様だけが、私のフルネームを言えるからです。私に言葉を教え、私の名をフルネームで呼べる人を、大切に想わない訳がないですよね?」
「フルネーム!?」
「フルネーム!?」
ブリギッタ殿下とウルスラが、同時に声を上げた。いや、シンクロしすぎだから。しかし、エクストランド王国の現状を知る為に情報収集していたのに、何故俺はマルヘリート様の事を語っているんだ。
「お待ち下さい、聖女様!」
「お待ち下さい、セツ様!」
「なに?」
「聖女様のフルネームなら、俺も言えます!何度も練習しましたから。今まで、フルネームで呼ぶ機会がなかってだけです!」
「俺はセツ様の護衛騎士を長く務めて参りました。当然、フルネームは言えます」
俺は結果がわかりつつも、二人の意思を尊重することにした。
「では、私をフルネームで呼んで下さいますか?正確に呼べた方は、大切な人として私の心に刻みますね。では、どうぞ」
「※※※※※※※セツ様!」
「♂♂♂♂♂♂♂セツ様!」
「はい、二人とも駄目です!それでは、お話をエクストランド王国の件に戻しましょうか?」
ブリギッタ殿下とウルスラが、がっくりと頭を垂れた。
◆◆◆◆◆
神官長のマルヘリート様は、俺にエクストランド語を教えるだけではなく、異世界で生きていく術を沢山教えてくれた。
言葉を教えてくれる神官長に、俺は孤独感から深く依存していった。だけど、俺が言葉と簡単な文字の読み書きが解るようになると、パウル陛下は別の教育係を俺につけた。
あの時は、めっちゃ泣いたな。
それ以来、マルヘリート様とは逢っていない。それでも彼の顔を思い浮かべると心が和む。まじ、逢いたいな。
「セツ様」
「ん?どうしたの、ウルスラ?」
「顔がにやけています」
「あれ、そう?」
ウルスラに視線を向けると、彼は目を細めて俺を見つめてきた。俺が見つめ返すと、ウルスラが口を開く。
「第二王子が貴重な時間を割き、セツ様の為にエクストランド王国の現状について説明されています。マルヘリート様の妄想は、今は控えてください」
「何故わかった、ウルスラ!?」
「やはり、大神官様の事をお考えでしたか。セツ様とは長い付き合いです。にやけ顔の種類により、セツ様がどの方をお考えなのかは全て把握しております」
「そ、そうなんだ・・」
ウルスラが若干ストーカーの様に思えたが、その事は口にすまい。それより、ウルスラが気になる事を話した。
「ちょっと待って、ウルスラ。いま、マルヘリート様の事を大神官様と呼んでなかった?」
「マルヘリート様は大神官になられましたので、そう呼ばせていただきましたが・・何か?」
「何かじゃないよ!大神官って、神殿のトップだよね?私の大切な人が出世したのなら、教えてほしかった!」
「お待ち下さい、聖女様!」
「はい?」
「パウル陛下に結婚を申し込まれたセツ様が、浮気を思わせるような発言をなさるべきではありません。伴侶となられる自覚をお持ちください、セツ様」
何故か、ブリギッタ殿下まで真剣な口調で、マルヘリート様の件に食いついてきた。流石に第二王子に突っ込まれては、言い訳をするしかないか。
「もしも、私が陛下の伴侶となろうとも、マルヘリート様が大切な人である事は変わりません。何故なら、マルヘリート様だけが、私のフルネームを言えるからです。私に言葉を教え、私の名をフルネームで呼べる人を、大切に想わない訳がないですよね?」
「フルネーム!?」
「フルネーム!?」
ブリギッタ殿下とウルスラが、同時に声を上げた。いや、シンクロしすぎだから。しかし、エクストランド王国の現状を知る為に情報収集していたのに、何故俺はマルヘリート様の事を語っているんだ。
「お待ち下さい、聖女様!」
「お待ち下さい、セツ様!」
「なに?」
「聖女様のフルネームなら、俺も言えます!何度も練習しましたから。今まで、フルネームで呼ぶ機会がなかってだけです!」
「俺はセツ様の護衛騎士を長く務めて参りました。当然、フルネームは言えます」
俺は結果がわかりつつも、二人の意思を尊重することにした。
「では、私をフルネームで呼んで下さいますか?正確に呼べた方は、大切な人として私の心に刻みますね。では、どうぞ」
「※※※※※※※セツ様!」
「♂♂♂♂♂♂♂セツ様!」
「はい、二人とも駄目です!それでは、お話をエクストランド王国の件に戻しましょうか?」
ブリギッタ殿下とウルスラが、がっくりと頭を垂れた。
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