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公爵の生き方
◆◆◆◆◆
第二王子とウルスラはがっくりと肩を落としていたが、俺は構わず会話を再開した。
「一度は目の前に現れた玉座に、ハロンステーン公爵は囚われてしまったのでしょうか、ブリギッタ殿下?」
会話を再開すると、二人は同時に顔を上げる。俺の言葉に応じたのは、ブリギッタ殿下だった。
「生まれた赤子のラミ・エクストランドは、病弱な方でした。その為、ハロンステーン公は玉座を諦めきれなかったのでしょう。だが、ダライ王は息子が10歳になると玉座を譲りました。そして、玉座についたラミ王は、王位継承権を持つ男子を三人得ました。それが、パウル陛下と第二王子の俺と、第三王子のダニエルです」
「なるほど。三人も男子が生まれては、公爵が玉座につく夢は完全に絶たれましたね。ですが、国王になれないからといって、公国を樹立して国から独立する事を夢見るとは・・あまりに、飛躍し過ぎではありませんか?」
俺の疑問にブリギッタ殿下が答える。ウルスラは傍観を決め込んでいるようだ。まあ、構わないけど。
「公爵は当初から公国の樹立を目指していた訳ではありません。彼は外戚として、宮廷で権力を得ようとしました。一度は他家に嫁いだ実の娘を離婚させ、ラミ王に嫁がせたのです。そして、外孫である第三王子のダニエルを得ました。又、娘の連れ子であるパール嬢を、第一王子の婚約者にすることにも成功しました」
俺は第一王子の婚約者の名を耳にして、思わず髪飾りにした純白の薔薇に触れた。
俺はウルスラに視線を向け尋ねる。
「私の頬を白バラで叩いた少女・・パール様は、祖父である公爵の野心に利用されて、パウル陛下の婚約者になったって事?」
「まあ、そうなりますね。ですが、パール様は、第一王子の婚約者の座に満足しておいででした。王妃の座を約束された上に、パウル様に惚れておられましたから」
パール様はパウル陛下に惚れていたのか。それなら、突然パウル陛下から婚約破棄を言い渡されたら怒るよね。
「うーん。それにしても、あまりに公爵はやりたい放題だと思うのだけれど?どうして、先々代の王や先代の王は、それを許したのかな?」
俺の疑問に答えたのは、第二王子だった。彼はゆっくりと言葉を紡ぐ。
「先代王のラミ国王はともかく、先々代のダライ国王は、約束を反故にした公爵に対して負い目を感じていました。その為、彼が望むことにはできる限り応じられたのです。それにより、公爵の不平不満を抑えられると、お考えだったのかもしれません」
「私には悪手に思えます。公爵を自由にすべきではなかった」
俺がそう答えると、第二王子は少し考えてから応じた。
「公爵家の次期当主は、王家に対して忠誠を誓う律儀な人物でした。公爵を無下に扱うよりも、次期当主が実権を握った後に、公爵を抑えて貰う方が良いと考えたのでしょう。ですが、目算が甘かった」
「と、いいますと?」
「予想外の事が起こりました」
「予想外の事?」
「流行り病です」
「・・流行り病。確かに予想外の出来事ですね。でも、権力闘争に大きな影響を及ぼすものなのですか?」
ブリギッタ殿下が俺を見つめながらゆっくりと答えた。
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第二王子とウルスラはがっくりと肩を落としていたが、俺は構わず会話を再開した。
「一度は目の前に現れた玉座に、ハロンステーン公爵は囚われてしまったのでしょうか、ブリギッタ殿下?」
会話を再開すると、二人は同時に顔を上げる。俺の言葉に応じたのは、ブリギッタ殿下だった。
「生まれた赤子のラミ・エクストランドは、病弱な方でした。その為、ハロンステーン公は玉座を諦めきれなかったのでしょう。だが、ダライ王は息子が10歳になると玉座を譲りました。そして、玉座についたラミ王は、王位継承権を持つ男子を三人得ました。それが、パウル陛下と第二王子の俺と、第三王子のダニエルです」
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俺の疑問にブリギッタ殿下が答える。ウルスラは傍観を決め込んでいるようだ。まあ、構わないけど。
「公爵は当初から公国の樹立を目指していた訳ではありません。彼は外戚として、宮廷で権力を得ようとしました。一度は他家に嫁いだ実の娘を離婚させ、ラミ王に嫁がせたのです。そして、外孫である第三王子のダニエルを得ました。又、娘の連れ子であるパール嬢を、第一王子の婚約者にすることにも成功しました」
俺は第一王子の婚約者の名を耳にして、思わず髪飾りにした純白の薔薇に触れた。
俺はウルスラに視線を向け尋ねる。
「私の頬を白バラで叩いた少女・・パール様は、祖父である公爵の野心に利用されて、パウル陛下の婚約者になったって事?」
「まあ、そうなりますね。ですが、パール様は、第一王子の婚約者の座に満足しておいででした。王妃の座を約束された上に、パウル様に惚れておられましたから」
パール様はパウル陛下に惚れていたのか。それなら、突然パウル陛下から婚約破棄を言い渡されたら怒るよね。
「うーん。それにしても、あまりに公爵はやりたい放題だと思うのだけれど?どうして、先々代の王や先代の王は、それを許したのかな?」
俺の疑問に答えたのは、第二王子だった。彼はゆっくりと言葉を紡ぐ。
「先代王のラミ国王はともかく、先々代のダライ国王は、約束を反故にした公爵に対して負い目を感じていました。その為、彼が望むことにはできる限り応じられたのです。それにより、公爵の不平不満を抑えられると、お考えだったのかもしれません」
「私には悪手に思えます。公爵を自由にすべきではなかった」
俺がそう答えると、第二王子は少し考えてから応じた。
「公爵家の次期当主は、王家に対して忠誠を誓う律儀な人物でした。公爵を無下に扱うよりも、次期当主が実権を握った後に、公爵を抑えて貰う方が良いと考えたのでしょう。ですが、目算が甘かった」
「と、いいますと?」
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「予想外の事?」
「流行り病です」
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ブリギッタ殿下が俺を見つめながらゆっくりと答えた。
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