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ただ殺したいと思ったんだ
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◆◆◆◆◆
人生が嫌になって自殺しようとしたけど…できなかった。
一人住まいのボロアパートで、扉のノブにロープを引っ掛けて首を突っ込む。後は睡眠薬を飲むだけ。
「死んでない…」
目覚めたら生きてた。
服には吐いたあとがあって、下半身も濡れている。
「ションベンかよ…ださ」
ダサいのは俺の人生だ。
社会に出て会社勤めしてイジメにあって、退職して引きこもって…母親を殺した。
母子家庭で必死に育てた息子が母親のパート代をせびってパチンコ。そりゃ、キレるよな。まあ、キレても仕方ない。
でもさ、俺の事を全否定はないだろ?駄目な息子だけどあんたの息子だろ?
「出ていけって…行き先ね~し」
本当に行くところがない。
どこにもないんだ。
俺の居場所はこのボロアパート以外にはない。
隣の部屋に母親の遺体があって臭いけど、ここしか俺の居場所はないから。
「くそっ!」
平凡な人生だった。
途中までは上手くいってたんだ。
学生時代はまあまあだった。友達は一人もできなかったけど…仕方ない。気を使って話して、疲れるだけだ。いつも疲れていた。
それでも、社会に出るまではまだマシだったんだ。会社に入ったら、仕事ができなかった。毎日、毎日、上司に叱られて、それでも仕事は上手く出来なかった。
書類が山積みになって、いくら整理しても片付かない。毎日のように残業したのに仕事は終わらなくて。俺の職場は同僚や上司の舌打ちだらけ。
気が狂いそうだった。
で、退職を促されて…辞めた。
母親はすぐに次の仕事は見つかるからと笑ってくれた。でも、その笑顔が続いたのはいつまでだったか。
笑顔が消える瞬間を俺は見た。
失望と諦めの眼差しで、「やっぱり」とそう言った気がした。舌打ちをした気もして…いつの間にかボロアパートが母親の舌打ちでいっぱいになった。
毎日、毎日。
舌打ち。
鬱陶しくて。辛くて。
母親がパートに出ているときにさえ、なんでか舌打ちが聞こえて。おかしいと思った。思ったけど、それでも舌打ちが聞こえるから…消したかった。
そう思ったら止まらなかった。
母親がパートから帰ったら、包丁で腹を刺してた。倒れた母親を何度も刺して動かなくした。
「母親はすぐに死んだのに…なんで俺は死ねないんだ?」
俺は男だから母親より丈夫なのかもしれない。包丁で腹を刺したら死ねる気もするけど、痛そうでできない。
一回手首をカッターナイフで切ったけど、痛すぎてすぐにやめて治療した。
「これからどーすんだよ、俺」
母親が稼がないからパート代が入らない。貯金もなかった。節約してたのに、なんで母親は金が貯められなかったんだ?
「殺さなけりゃよかった」
金蔓が無くなって、俺は死ぬことばかり考えてる。それに、殺したのに舌打ちの音が消えない。忌々しい。
「腹減った」
腹が減った。
腹減ったな。
生きてるからな…。
死ねたらいいのに。
誰かが俺を殺してくれたら、もう腹も減らないのにな。
「ああ、そうか」
気に入らないからって燃やした奴がいた。自分も燃えて生き残って裁判中だっけ?
馬鹿なやつ。
馬鹿なやつがここにも一人。
会社を燃やせば舌打ちは消えるかな?舌打ちを消すのはつまらない理由じゃない。
俺の存在を馬鹿にする舌打ち音は消して良い。
「いくか…」
着替えてから行こう。
流石にションベンチビッたズボンではいけねーわ。
End
◆◆◆◆◆
人生が嫌になって自殺しようとしたけど…できなかった。
一人住まいのボロアパートで、扉のノブにロープを引っ掛けて首を突っ込む。後は睡眠薬を飲むだけ。
「死んでない…」
目覚めたら生きてた。
服には吐いたあとがあって、下半身も濡れている。
「ションベンかよ…ださ」
ダサいのは俺の人生だ。
社会に出て会社勤めしてイジメにあって、退職して引きこもって…母親を殺した。
母子家庭で必死に育てた息子が母親のパート代をせびってパチンコ。そりゃ、キレるよな。まあ、キレても仕方ない。
でもさ、俺の事を全否定はないだろ?駄目な息子だけどあんたの息子だろ?
「出ていけって…行き先ね~し」
本当に行くところがない。
どこにもないんだ。
俺の居場所はこのボロアパート以外にはない。
隣の部屋に母親の遺体があって臭いけど、ここしか俺の居場所はないから。
「くそっ!」
平凡な人生だった。
途中までは上手くいってたんだ。
学生時代はまあまあだった。友達は一人もできなかったけど…仕方ない。気を使って話して、疲れるだけだ。いつも疲れていた。
それでも、社会に出るまではまだマシだったんだ。会社に入ったら、仕事ができなかった。毎日、毎日、上司に叱られて、それでも仕事は上手く出来なかった。
書類が山積みになって、いくら整理しても片付かない。毎日のように残業したのに仕事は終わらなくて。俺の職場は同僚や上司の舌打ちだらけ。
気が狂いそうだった。
で、退職を促されて…辞めた。
母親はすぐに次の仕事は見つかるからと笑ってくれた。でも、その笑顔が続いたのはいつまでだったか。
笑顔が消える瞬間を俺は見た。
失望と諦めの眼差しで、「やっぱり」とそう言った気がした。舌打ちをした気もして…いつの間にかボロアパートが母親の舌打ちでいっぱいになった。
毎日、毎日。
舌打ち。
鬱陶しくて。辛くて。
母親がパートに出ているときにさえ、なんでか舌打ちが聞こえて。おかしいと思った。思ったけど、それでも舌打ちが聞こえるから…消したかった。
そう思ったら止まらなかった。
母親がパートから帰ったら、包丁で腹を刺してた。倒れた母親を何度も刺して動かなくした。
「母親はすぐに死んだのに…なんで俺は死ねないんだ?」
俺は男だから母親より丈夫なのかもしれない。包丁で腹を刺したら死ねる気もするけど、痛そうでできない。
一回手首をカッターナイフで切ったけど、痛すぎてすぐにやめて治療した。
「これからどーすんだよ、俺」
母親が稼がないからパート代が入らない。貯金もなかった。節約してたのに、なんで母親は金が貯められなかったんだ?
「殺さなけりゃよかった」
金蔓が無くなって、俺は死ぬことばかり考えてる。それに、殺したのに舌打ちの音が消えない。忌々しい。
「腹減った」
腹が減った。
腹減ったな。
生きてるからな…。
死ねたらいいのに。
誰かが俺を殺してくれたら、もう腹も減らないのにな。
「ああ、そうか」
気に入らないからって燃やした奴がいた。自分も燃えて生き残って裁判中だっけ?
馬鹿なやつ。
馬鹿なやつがここにも一人。
会社を燃やせば舌打ちは消えるかな?舌打ちを消すのはつまらない理由じゃない。
俺の存在を馬鹿にする舌打ち音は消して良い。
「いくか…」
着替えてから行こう。
流石にションベンチビッたズボンではいけねーわ。
End
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