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騒音トラブル

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まただ。

階下からピアノの音が聞こえる。しかもすごい下手くそ。時間は午後5時59分。うるせえ。マジでうるさい。

以前は午後8時にピアノ音がしたから、流石に我慢ならず文句を言いに行った。その時にピアノの練習は、午後6時にはやめると約束させた。

『ピアノ大会が近いから』とか『練習時間が取れなくて』とか、言い訳する母親。下手なピアノをひく少女は俺が悪いとばかりに不貞腐れていた。

午後6時。

まだピアノがなっている。
有名なクラッシク音楽なんだろうが、下手くそな奴が弾くと単なる雑音だ。階下の一家は約束を守る気はないらしい。

午後6時1分

まだピアノを弾いている。
我慢できない‥‥文句を言いに行く。頭痛がする。くそっ。反論されたときには‥‥ピアノを壊してやる。確か、ゴルフのドライバーがあったよな。あれでピアノをボコボコにすれば、もう騒音に悩まされこともない。

警察に捕まっても構わない。


◇◇◇

包丁で刺された。

玄関で口論になって扉を閉じられそうになったから、壁に立てかけておいたドライバーで扉を叩きまくった。驚いた女が部屋の奥に逃げたから追いかける。

そして、ピアノを見つけた。 
ピアノのそばで泣く少女。被害者ぶるな。お前とピアノが悪い。

全ての元凶のピアノをドライバーで叩き潰していた。鍵盤がぶっ飛び気持ちよくて夢中になって叩き壊す。

だけど、急に腰に痛みが走った。腰を見ると脇腹近くに包丁が刺さっていた。俺は痛くて床に転がった。

血まみれの女が狂ったように悲鳴をあげている。救急車をよぶ様子もなくウロウロしている。

「きゅ、救急車‥‥‥」

声は女には届かなかった。



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